よわよわドラゴン
「誰だ!我の眠りを妨げる奴は!」
ビリビリと衝撃が走り耳を塞ぐ。
「なんじゃ、お主は?」
「なんだ小童?この偉大な我の姿が見えないのか?」
「あの〜、ティーフェン様?ここは穏便に」
「面倒じゃ。力で分からせた方が早いじゃろ」
ティーがドラゴンに変身するのだが、目の前のドラゴンでいっぱいいっぱいの洞窟が耐えきれず崩壊を始める。
「コタケさん、逃げましょう!」
大賢者さんと外に出ると、洞窟をぶち破ってティー達が現れる。
「どれほど生きたドラゴンか知らんが、元龍王の力見せてやるのじゃ!」
「こ゛め゛ん゛な゛さ゛い゛!!」
正体不明の黒ドラゴンは勢いよく、頭を雪の中に突っ込む。
「なんじゃ?」
3人で首を横に傾げる。
「ごめんなさい、逆らいません。なので、どうにか命まではぁぁぁ!」
何度も何度も頭を雪の中に出し入れして謝る姿に気が抜け、ティーは人の姿に戻る。
「妾達が悪者に見えるから止めるのじゃ」
「寝ていた所を叩き起こした訳だし、悪者ではあるんだけどね」
「それは言わなくていいのじゃ」
黒ドラゴンが落ち着くのを待って話を聞く前に、外は寒いと大賢者さんが洞窟を直して中で話をする。
「僕の家まで直してくれて、ありがとうございます」
「壊した私達が悪いですから」
「お主、さっきと口調が違うのじゃ」
「あれは人を驚かせる為の役作りなんです」
1人称が我から僕になり、野太い声も少し高い自信の無さげな物になっていた。
「お主、名前はあるのか?」
「カークです。ドラゴンです」
「見れば分かるのじゃ。人化は出来んのか?」
「そんな高等な技使えませんよー」
「見た目に反して、か弱い奴じゃの。そもそも何年生きておるんじゃ?」
「1000年くらいです」
「1000年でこんなに大きくなるものなの?」
「ほとんどのドラゴンは長く生きれば生きるほど身体が大きくなるのじゃが、例外も偶におるがの」
カークを見ながら話す。
「そもそも何でこんな所におるんじゃ」
「僕、図体ばかり大きくなって争いに巻き込まれる事が多くなって、ここに隠れる様に生きてるんです」
「本当にドラゴンか怪しくなってきたのう。そんな奴聞いた事無いのじゃ」
「だ、だって痛いじゃないですか」
「ドラゴンなら、しゃんとせい!」
「ひえぇぇぇ」
ティーが頭をバシッと叩き、涙目で叩かれた所を押さえる。
「そうとも知らず、私達が起こしてしまって大変申し訳ない」
「い、いえここにも人が来ると思って無かった僕が悪かったんです」
「こやつが特別なだけで、普通の人間はこんな所にこんのじゃ」
「偶々見つけたとは言え申し訳ない」
「あれ?じゃあ僕ここに居ていいってこと?」
「いや、お主は外にも出るのじゃ」
「ご飯と用を足す時は外出ますよ」
「当たり前じゃろ。と言うか食事は何を摂っておるんじゃ?」
「草ですよ。美味しいですよね」
「いや、妾は肉食じゃが」
「えぇ!?草食べないんですか?あんなに美味しいのに」
「はぁ・・・・・・」
ティーが頭を抱え、ため息を吐く。
「何でコヤツが生き残っておるのか甚だ不思議じゃ」
「僕も強くはなろうとしたけど出来なくて。その内、よわよわドラゴンって言われる様になっちゃって」
「それなら私に良い案があります」
大賢者さんが1つ提案をする。
「私の移動手段になって下さい」
「何を言っておるんじゃ?」
「各地を移動しながら鍛錬していくのですよ」
「僕が強く・・・・・・」
「もちろん、貴方のやる気次第ですがね」
「酔狂な事を考えるの」
「ちょうど旅に変化が欲しいと思っていましたので」
「僕やってみるよ!」
「それは良かった。早速外に出ましょう」
「所でお主、ここにはどうやって入ったんじゃ?」
確かにここの入口は人が1人通れるサイズだった。
「僕の後ろが火口になってて上まで繋がってるんですよ。ちょっと待ってて下さいね。よいしょ、よいしょ」
ゆっくりと後退していき、外で待っていると頂上から飛んで現れる。
100mもある巨体はティー以上に迫力がある。
バサバサ ドシーン
「これからよろしくお願いします!えーっと?」
「大賢者です」
「大賢者さん!」
「本当に大丈夫かのう?」
一抹の不安を抱えながらも、大賢者さんがカークの背に乗って飛び立つのを見送るのだった。




