眠り
「ティーフェンさん、居ますか!」
静かな午後、我が家にいきなり飛び込んで来たのは大賢者さんであった。
「お久しぶりです」
「お久しぶりです、コタケさん。いきなりやって来て申し訳無いのですが、ティーフェンさんに用事がありまして」
「ティーなら外に出てて、もう少しで帰って来ると思いますよ」
「少し待たせて貰っても良いですか?」
「勿論ですよ。お茶飲みます?」
「えぇ、頂きます」
それから20分程が経過して、ティーが帰って来る。
「なんじゃ?久々に顔を見たの」
「ティーフェンさん、こんにちは。貴女に少し用事があるんです」
「妾にか?ラーブルクの事か?」
「いいえ。実は今、世界中を飛び回っているのですが、とある物を見つけまして確認して欲しいのです」
「おぉ?」
「見て貰った方が早いので来て貰えますか?」
「別に良いのじゃ」
「いってらっしゃい」
「お主も来るんじゃ。別に良いじゃろ?」
「えぇ、コタケさんも来て貰って構わないです」
強制的に連れて行かれる。
〜〜〜〜〜〜
「それでこんな寒い場所に何があるんじゃ?」
連れて来られたのは雪山の頂上付近である。
吹雪いており視界がかなり悪く、ティーの肩に手を置いて迷わないように付いて行く。
「この先の洞窟に見て欲しい物があるんです」
大賢者さんの後を追い進むと、人1人が通れるくらいの横穴が空いていた。
そこを通りしばらく細い道を歩いていると、真っ暗な巨大な空間へと出た。
「明かりを出しますので驚かないで下さいね」
大賢者さんが明かり代わりに火の魔法を出すと、目の前で大きく口を開けた真っ黒な巨大なドラゴンが横たわっていた。
今も生きている様な姿にゴクリと息を呑む。
「ふむ、生きておるの」
「えっ!?」
「えぇ、その様なんです」
ドラゴンのサイズは100m超えと、ティーの2倍は大きい。
「それを確かめたかったのか?」
「いえいえ、このドラゴンを起こしても良いかどうか聞きたかったんです」
「別に妾に確認せんでも、お主1人でどうにか出来るじゃろ」
「一応、元龍王の意見を伺いたかったのです。危険なドラゴンの可能性もありますから」
「このサイズじゃと、妾より長生きしてる可能性はあるのじゃ」
「封印などを施されている訳では無さそうですし、問題無いと願いたいところですね」
「まっ、勝手にするのじゃ」
「そんなテキトーな」
「こやつが何とかするわい」
「では起こしますね」
大賢者さんはドラゴンに手を軽く叩き声を掛ける。
しかし、起きる気配は全く無い。
「そんなんで起きるわけ無いじゃろ。どくのじゃ」
ティーはドラゴンの前に向かい、手を変化させて思い切り叩き付けるのであった。
ドゴーン!
大きな音と衝撃が空洞に伝わり響く。
「ガオォォォォ!」
ティーに殴られて起きたドラゴンは咆哮を上げる。
「グルゥ、誰だ我の眠りを妨げた奴はぁ」
口から白い煙を出しながら、野太い声で話すドラゴンは完全に怒っているのだった。
次回に続きます。




