入れ替わり
ポヨン ポヨン
「あっ!そっちにクロ居る!」
「エレオノーラさん、早く」
「メア、待ってくれ」
庭でクロ達と遊ぶ子供達と、何処かに向かう途中のメアさん達。
「「あっ!」」
メアさんが不注意で石につまずき、前にいたクロに頭突きをかます。
何とも不運な状況だったが、そんな2人を更なる不運が襲う。
「すべったー!」
不注意なのか、はたまたワザとなのか、イルシーナさんの家の窓から緑の液体が入った小瓶が飛び出し、メアさんの頭にぶつかって割れてしまい液体が両名に掛かるのであった。
「大丈夫!?」
その場の全員が駆け寄り確認すると、どちらも問題無さそうでメアさんもすぐに起き上がったのだが、
「め、メアどうしたんだ?」
少し怒った表情をしてその場でピョンピョンとジャンプする。
その姿はまるでクロのようであった。
「まさかだけど・・・・・・」
俺は何となく察してクロの方を見ると、何やら激しく動揺していた。
「もしかして入れ替わってる?」
クロ(メア)がジャンプをし、メア(クロ)が自分の体を改めて見て驚く。
「いや〜、ごめんごめん。掃除してたら滑っちゃった」
元凶がやって来る。
「イルシーナさん、どうしてくれるんですか。2人が入れ替わっちゃったじゃないですか」
「ふぇ?どゆこと?」
事情を説明するが本人は納得いかない様子だ。
「私が飛ばしちゃったのは体が発光する薬だよー」
「それはそれで何で作ったんですか」
「光るキノコがあってさ、それで体も光らせられるんじゃね?って思って作ってみたんだけど、まさか入れ替わる薬になるとは」
一応本人も意図しない効果だった様だが、どのみち変な薬を飛ばした罰は後から受けて貰う。
「作ったのは飲み薬だし、掛かっただけだから多分効果時間も短いと思う」
「クロは喋れそう?」
人の体になって声帯を得たとは言え、喋り方が分からないから無理そうだと首を横に振る。
当然ながらメアさんの方も、声帯の無いクロの体なので喋れない。
「少しの間、この状態で過ごして貰うしか無いな」
そんな話をしていたら、森から他のスライム達がクロを呼びに来た。
驚いた事にスライム達は本能か何かで察知したのか、クロとメアさんを交互に見た後にメアさんの体の方に向かう。
慣れない手足を駆使して指示を出すとスライム達は帰って行く。
「折角だからそのままで遊ぼうよ」
子供達はメア(クロ)に提案し再び追いかけっこを始める。
最初は走る事に少し苦戦していた様だが、慣れてくると普段出ないスピードに楽しんでいる様だった。
一方でクロ(メア)はと言うと、普段の体とは全く違う動かし方にかなり苦戦していた。
それを見かねたエレオノーラさんが抱き上げると、どこか嬉しそうな表情になるのであった。
他にもクロの体で魔法が使えるか試してみたが、やはり使い方を分かっていないと無理なようであった。
そして入れ替わりから1時間程して、急にそれぞれが元の体に戻る。
「あっ!あーあー。戻りました!」
メアさんの声が戻って来て、クロがエレオノーラさんの腕から降りる。
「やっぱり自分の体が1番ですね」
クロもそうだと同意している。
「ただ、エレオノーラさんに包まれてる感覚は中々良かったですよ」
「う、うむそうか」
満足そうなメアさんに、エレオノーラさんは頷くしかなかった。
「さてそれじゃあ・・・・・・イルシーナさん、覚悟は良いですか?」
「良くないかも」
「それは残念ですね。クロさんいきましょう」
2対1で、イルシーナさんは猛攻になす術なくやられるのであった。




