地獄巡り①
ヒューーー ドスン!
「着いたのだ」
穴から落下し続ける事1分で、地獄に到着する。
辺りは赤茶色の地面が広がり、枯れた茶色の木々が並んでいた。
「なんか既視感あるような・・・・・・」
「家がある森と同じ地形ではないですか?」
メアリーさんの一言にそうだと頷く。
「地獄は現世の映し鏡だからな」
グリートがそう言う。
「しかし殺風景ですね」
「この先に地獄に落ちた人間の溜まり場があるのだ」
一先ずそこを目指す事になり歩き出して少しすると、上空からバサバサと羽音が聞こえて見上げる。
そこに居たのは直径30cm程の球体の体に、コウモリの様な羽と大きな1つ目と鋭い牙を携えた生物だった。
「やっぱり集まって来たか」
「何あれ」
「権能すら持たない低級の悪魔だ。生者の気配を察知して飛んできたんだろう。知能はほぼなく本能で動いているから邪魔なだけだな」
「ならば私が倒しましょう」
メアリーさんが血の槍を飛ばして目を貫いたが、すぐに回復してこちらに向かって来る。
「あぁ、お前の攻撃は悪魔に相性が悪い」
「そう言う事は先に言って下さい」
「じゃあ俺がやる?」
「止めておけ。そこな悪魔にも被害が出る」
「私はそんな弱っちく無いのだ!」
「ふん、だそうだ。私は忠告したぞ」
グリートがやれと顎で指示するので聖剣を取り出すと、
「ぎゃああぁぁぁ!眩しいのだ!肌がピリピリするのだ!」
ラルムは地面をのたうち回り、聖剣を収める。
「なんなのだ!その剣」
「聖剣だけど・・・・・・」
「悪魔にはとんでもない力を発揮するからな。こうなるから忠告してやったのに」
「なら詳しく言うのだ!全く、アイツらは私が片付けるのだ」
ラルムは人の姿から本来のムカデの姿に変化する。
胴体は1km近くで、とんでもなくデカい。
「これは・・・・・・苦手な人には大分キツイね」
無数の蠢く足を見て少々鳥肌が立ってしまった。
「キシャァァァァ」
ラルムはバクッと悪魔を丸呑みにし、ムシャムシャと食べる。
「ほう、やはりか・・・・・・」
何か意味ありげに感心するグリート。
「ふぅ、食ったのだ」
ラルムはすぐに人の姿に戻る。
「共喰いじゃないんですか?」
「とも?」
「あぁ、なるほど」
仲間意識が無いのかとメアリーさんも瞬時に理解した。
低級悪魔を片付け、目的地に向け再出発する。
「着いたのだ」
そこには巨大な迷路があり、多くの人々が彷徨っていた。
「あれが地獄に落ちた人達なんですか?」
「そうなのだ」
「でも何で迷路?」
「よく分からないけど、永久迷路って言われてるのだ」
「あそこを見てみろ」
グリートが指差す方を見ると、1人の男が行き止まりの所で悪魔達に追い詰められ喰い散らかされていた。
「あれでは罰にはならないのでは?」
「いや良く見てみろ」
今度はスタート地点と思われる方を指すと、今喰われたばかりの男が復活していた。
「永久迷路ってそう言う事ですか」
「あの男の表情を見るに、痛みの感覚もある様だな」
ある所では同じ様に悪魔に殺され、ある所ではトラップに引っ掛かり、ある所では罪人同士で殺し合っていた。
「これってゴールはあるの?」
「あるのだ」
「もしゴールしたら?」
「またスタートに戻るだけなのだ」
なんとも非情な迷路であった。
「地獄とはそういう物だ。救いは無い」
「よし、次の所に案内するのだ」
移動を開始しようとした時、
「あら〜?ラルムじゃないさね」
背後から急に声がする。
振り返ると居たのは、黒いコウモリの羽を生やした妖艶な女性であった。




