楽園
「起きて、起きて」
「むにゃむにゃ、もう食べられませ〜ん」
「起きて、お姫様」
「むにゃ、むにゃ」
「シェリー姫、起きてください」
「ひめぇ?」
私が目を覚ますとそこは人が10人は寝れそうな大きなベッドで、側にはメイドさんが居た。
「ここはどこですか?」
「シェリー姫、何を言っているのですか?ここは貴女の住むお城じゃないですか」
「私の住むお城・・・・・・そっかー」
頭の中がフワフワして思考が纏まらないが、特に気にする事なく受け入れる。
「朝食のお時間ですよ」
「う〜む」
部屋に料理が運ばれて来た。
「本日は高級野菜を使った〜」
説明はそこそこに食べ始める。
「うん美味い」
「今日の午前の予定は美容ケアにございます」
「ふむふむ」
朝食後、ベッドでくつろいでいるとマッサージ師がやって来る。
体にオイルを塗られ、手や足の老廃物が押し出される感覚がする。
「気持ちいぃぃ〜〜」
そのまま再び眠りについてしまう。
「姫、起きて下さい。昼食のお時間です」
「おひる〜」
「昼食は高級フルーツの〜」
「あーん」
口を開けるとメイドが一口分を運んでくれる。
「あま〜い」
未だにベッドから一歩も動いていない。
「ダラダラ生活さいこ〜」
「姫、王子が帰って来られました」
「王子?」
「えぇ、貴方の未来の旦那様ですよ」
「だ、旦那さん!」
それからしばらくすると、金髪青目のイケメンが入って来た。
「姫!ただいま!」
聞き惚れる甘い声にうっとりする。
なんだこの楽園は、ずっと居たくなる場所だとそう思いながら意識を失う。
〜〜〜〜〜〜
「はっ!・・・・・・夢落ちっ」
フカフカのベッドも無く、メイドの声も甘い王子の声も聞こえず現実に戻され・・・・・・
「あれ?ここどこです?」
周りは窓の無い石レンガで、ベッドはゴワゴワとしている。
これではまるで、
「牢獄じゃーーーーーん!」
じゃーん じゃーん じゃーん
私の声が虚しく響き渡るだけなのであった。




