暇つぶしに
「へいへい〜、元気してる〜?」
「次にその挨拶したら出禁にします。ウザいので」
お昼過ぎに唐突にやって来たロスさんをリッヒさんが一蹴する。
「とほほ、やって来た途端にこれだよ。ラナちゃんどう思う?」
「リッヒ先輩の言う通りだと思いますよ?」
「ガーン。2人して反抗期だ」
以前保護した犬耳の獣人ラナちゃんも成長して16歳になっている。
「それで今日は何の用ですか?」
「用が無きゃ来たら駄目なの?」
「つまりは暇なんですね」
「そういうこと!何か面白い事ない?」
一体ウチを何だと思っているのか、何かあったと確信した表情である。
「まぁ、天使が1人加わった事でしょうか」
「マジで!?天使って、天使?グリートみたいな偽物じゃない?」
「あ゛あ゛ぁ?」
「すぐ挑発しないで下さい。ラナちゃんが怖がってるじゃないですか」
グリートのドスの効いた声にビクッとしてロスさんの後ろに隠れる。
「ごめん、ごめん。つい反応が良いから」
「私を天使と一緒にするな」
「あっ、怒ってたのそこなんだ。で、その天使さんはどこ?」
「呼ばれた気がします!」
「うわっ!」
急に背後に立たれたロスさんはナイフを取り出して、首のすんでの所で止める。
「ヒェッ」
「あ〜、びっくりしたー!」
「それはこちらのセリフです!」
「人の背後に急に立ったら駄目だよ」
「いきなり人にナイフを向ける方が駄目ですよ!」
「アレ私もやられた事あります」
「リッヒ先輩もですか?私も何回もありました」
2人が話している所で、リッヒさんとラナちゃんも同じ経験があると共感していた。
少しの間言い合って、落ち着いた所で話が元に戻る。
「それで貴女が噂の天使さん?」
「大天使ケフィリアです」
「へー、確かに天使だ」
「ふふん、敬って下さい。ところで貴女方は誰なんですか?」
「私はロスで、この子はラナ。ちなみに私はリッヒちゃんのママです」
「いえ、違います」
「ただの照れ隠しだよ」
「でも貴女から物凄い死の匂いを感じます」
「えぇ〜?なにそれ〜」
「貴女、かなりの人を殺しましたね?」
「そらゃあね。暗殺者だもん」
その言葉を聞いて警戒するケフィリア。
「人が人を断罪する事は許されません」
「あはは、天使っぽい〜。それで?貴女達は何かしてくれたの?」
急に冷ややかな声になり雰囲気が変わる。
「それは・・・・・・」
「なーんてね!冗談、冗談。私はそうやって生きて来たから許して、ほら仲直り」
「いえ私の方こそすみませんでした。リッヒさんやラナさんを助けた善行があるのに」
「助けたって言うか成り行きというか」
「それでも立派だと思います」
「照れますなぁ」
「リッヒ先輩はロス師匠の過去って知ってるんですか?」
「昔聞こうとしたのですが、教えてくれませんでした」
「2人とも私の話聞きたいの?」
いつの間にか背後に忍び寄るロスさんに、2人は驚く事なく話を続ける。
「教えてくれるんですか?」
「いいよー」
「昔はあんなに渋ってたのに」
「時は来た!なんてね。そんな面白い話じゃないけど良いの?」
「良いですけど、ちょっと待って下さい」
そう言ったリッヒさんは、お茶とお菓子を持って来る。
「はいどうぞ」
「わーお、師匠の過去を物語気分で聞くか満々じゃん」
「期待してますね!」
ラナちゃんからもそう言われる。
「えぇーまじかぁ。えっとじゃあ、コホン!あれは私が10歳の頃・・・・・・」
そうして、ロスさんは語り始めるのであった。
次回に続きます。




