3
「そうだったんですか。両親も心配してたんです。
それで、あのですね、お礼に我が家で夕食をご馳走させて欲しいと話してまして」
「お礼は代金を頂いてますから気を使わないでください。 改善できる方法と薬を知っていれば治療をするのは薬師の仕事です」
「諦めていた傷がこんなに良くなったのはアイリスさんのお陰です。一生この見た目と痛みから逃れられないんだと諦めてました。家に籠って何度も泣きました。痛みから解放してくれて希望もくれた。 代金は両親が払ってくれたものです。だから私のお礼としてお食事をご馳走したいと思ったんです。家事しかしてこなかったのでこんなことぐらいしか出来ませんけど」
一生懸命話してますって風情で言われたら断りにくい。迷惑になるなら言ってくれって悄気られたら尚更だ。
「あの時は連れてなかったので知らないと思いますが俺も今子育て中でして、あまり側から離すと拗ねてしまう子がいます」
子育て?って呆然としてるのを見ると、自惚れてしまう。頬染めて俺を見てくるから。
「なのでその子も一緒にお邪魔しても構いませんか?マイリアさんの足元で興味津々見つめてる子なんですが」
テーブルの下に隠れて観察中のネオを見付けて驚き、すぐに顔をほころばせネオにそっと手を伸ばした。フンフンしてペロンとご挨拶。
「可愛い…。猫ですよね?こんな大きな猫は初めて見ました。この大きさでも子供なんですか?」
「山猫という種類です。まだ大きくなりますよ。乳離れした頃に親とはぐれたようで山で保護しました。人間だと13歳くらいかな?」
「いたずら盛りですね。撫でてもいいですか?」
どうぞと言った途端にしゃがみこみ、ゆっくりと撫で始める。結構いるんだけど、ネオを見付けてキャーと歓声をあげていきなり撫でようとする人。あれすっごい迷惑。
可愛いのは分かるけど他人のペットだぜ?断り入れろや。歓声は耳の良い動物には煩いし、いきなり触られたら怖がるか警戒するかだ。許せるのは小さい子供だけだって。
でも彼女はそっと動いて手の匂いを嗅がせて、断りを入れてからもゆっくり動いてくれた。ネオも安心してるみたいでグルグル喉をならしてる。これだけでも好感度高い。
やばいなぁ俺。




