兄弟の小さく大きな一歩
精神的負担が減ったからか、爆笑したからか、薬が効いたか、治りかけだったのかわからないが、すっかり元気になったセト君。
朝食を通常食に戻してもらって食べる前に見送りに出掛けた。
出発準備中に着いたのでゆっくり話せるよと、食堂で二人きりで話してもらった。
離れて様子見してたらアイザックさんが来た。
「あれから色々と話したんですよ。なかなか壮絶でしたね。でも部屋に戻るときに彼が一言呟いたのが印象的でした。
初めて、ありがとうと言われたと。貴方に感謝されたことが彼の心に少なからず変化をもたらしたと思います。
貴方のあの言葉は我々も驚いたんですよ。
彼の経験は壮絶でしたが、そんなに珍しいことでもない。そんな子供達を沢山見てきて、可哀想だが仕方ないと済ませてきた。義務で子供達を運び、ギルドや孤児院に置いてきた。
我々も仕事なので全員を助けることはできないけれど、関わっている間だけでも話を聞いてアドバイスくらいはしてやれたのにと、皆と反省しましたよ」
慌てた慌てた。俺だってセト君と関わらなければそんなことに首を突っ込まないし、実際他の子はノータッチだ。関心もなかったりする。
でも、それは当然のことでしょう。子供達と関わっているのは我々ですからね、と言われてもな。
「彼は体も出来つつあるし、冒険者としてではないが手伝い位の仕事はしていたらしい。全くの初心者ではないので慣れるのも早いでしょう。
それに護衛の彼等がある程度一人でで出来るまでチームを組んで面倒みようかと話していました。
だから安心してください。弟君にも伝えてください」
そう言って別れの挨拶をして隊に戻って行った。
セト君は何度も頷いて話を聞き、少し戸惑いながら抱きついてから走って戻ってきた。
顔が紅潮していて 勢いのまま俺にも抱き付いた。
頭を下げて隊に戻っていった兄を最後まで見送った。
帰ろうかと促すとやっと抱き付いてたことに気付いたのかさらに真っ赤になってワタワタしだしたので、手を繋いで帰った。
朝食の前に、置いてきぼりをくらって拗ねたネオのご機嫌取りという一仕事があったけど、まあ通常運行だよ。うん。




