各々の想いの交錯
ここは日本の僻地。代行者とキンメリーが会う場所として指定されている所だ。
当然ながら二人以外は存在は認知しておらず、通常の人間には外から認知できないようになっている。
キンメリーは異能者達と人間の道筋をつけ、代行者に一連の流れを報告していた。
「父上。この度の異能者達と人間の確執について、双方ともに矛を収めてもらう形にしました。当面は人間と異能者双方にとって大きな不利益な出来事は発生しないでしょう。」
「そうか。キンメリーよ。今回の件を其方に任せたのはあくまでも人間と異能者に対する其方自身の経験を積ませるためだ。我々は見守る存在であり、本来であれば過剰な介入は認められない。だが、今回は其方の今後の活躍期待も踏まえ、あえて認めたのだ。」
「……、といいますと?」
「次回からは人間と異能者どちらにも肩入れしすぎるな。次回は地球規模で俯瞰して考えてもらわなければならぬ。」
「この度の件、地球規模でも影響が出る可能性があったと私は思っております。」
「あったとしても1%には満たぬ。いいか、我々は地球を見守り、コントロールする役目がある。其方はまだ若い。精進せよ。」
「…はっ。」
キンメリーはやりきれない想いでその場を後にする。
自身が元人間だったこともあり、人間と異能者達の確執は解決したい想いが強かったのだろう。
今回は解決したつもりだが、将来の危惧もしている。このまま人間や異能者の社会が発展すれば更に大きな力を生み出す元になり、それが不幸なことに直結しかねず、それが地球全体にも影響を及ぼしかねないのではと。
それでも、人間と異能者は守りたいのだ。
異能者とて人間社会が生み出した副産物なのだから。
一方、代行者は人工知能と話していた。
「人工知能よ。其方はキンメリーをどう見る?」
「…、これまでの宇宙の起源、管理者との繋がり、地球や人間の起源について根幹部分をキンメリー様は存じ上げておりません。また、キンメリー様自身が元人間であったこともあり、人間と異能者に肩入れするのは潜在的な部分として今回排除できなかったものと思われます。」
「根幹部分は現段階では開示できない。もう少し大局的な位置を見てもらわなければならぬ。地球自体、私が管轄している宇宙空間の運営が上手くいっているという証左であり、管理者へのプレゼンス要素にもなっている。決してミスは許されないのだ。」
「分かっております。人間社会の言葉でいうなら、地球そのものが巨大な記憶デバイスですからね。人間をはじめとする地球上の生命体には記憶領域があり、遺伝子レベルで生命を構成する情報以外にもあらゆる情報を内在させ、それが代々引き継がれているのですからね。」
「そうだ。生命体が高知能であればあるほど、記憶容量は大きくなる。その高知能生命体がたまたま人間であっただけのこと。逆を言えば、高知能生命体が人間である理由もないのだ。」
「でも、人間に愛着はあるのでしょう?」
「当然だ。長年かけて見守っているからな。だが、管理者との部分も踏まえ、大局を見てもらわなければいけないのだ。今のままでは私の後継者としては力不足だ。」
「経験を積み上げるのみかと思います。」
「そうだな。」
代行者と人工知能もその場を後にし、高次元空間に身を潜める。
キンメリーと代行者の想いがそれぞれ交錯する。
後にキンメリーは代行者と距離を置くようになるが、それはまた別の外伝で語られるだろう。




