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この世界の管理を任されたら!?  作者: ちぼりん
本章「初代異能者の軌跡」
15/19

阻止作戦⑩

「ディン、待たせたな。」


キンメリーは基地内のミーティングルームに一度戻る。

ベローナという異能者も基地の異能者達に抱えられながら運ばれる。


「早かったな。…、この女は?」


「ああ、政府お抱えの異能者だ。これからアレクサンドルが尋問することになってる。…実は私にも案があってな。」


「ほう。お手並み拝見といったところだな。」


アレクサンドルも続いてミーティングルームに入る。


「早速、この女の尋問をはじめる!叩き起こしてやれ!」


異能者の一人が水を敵の異能者にかけようとするがキンメリーが制止する。


「ちょっと待ってくれ。少し案がある。」


「なんだ!?あまり時間はねえんだぞ!?」


「分かっている。対処時間、今後の対策含め、この異能者を解析させてくれないか。起こさなくてもできることだ。むしろ起きられると都合が悪いのでな。」


「どうやって解析するんだ?」


キンメリーが人工知能が入った杖のような物体を可視化させる。


「これを使う。」


その物体は触手のようなものを出し、ベローナに繋げる。

そして、上部に立体スクリーンが映し出される。

ディンやアレクサンドルはたまげる。


「これは…、なんなのだ!?」


「人工知能と呼ばれるものが入っていてな。脳さえ無事なら直接接続すれば記憶領域から引き出すことができる。」


「こんなものがあるなんてな…。」


「では、この人物が誰からの命を受けて基地襲撃したのか見るぞ。」


スクリーンに映像が映し出される。

逆再生だから巻き戻されるような感覚だ。


アレクサンドルとの戦闘行為ー。

基地襲撃、異能者を狩るシーン。

イエローストーンまでの道のり。

宿泊ホテル、食事。

睡眠。

1日前ー。

宿泊ホテル。


「ー待て!誰かと電話しているぞ。」


そのシーンを通常再生して音声も再現させる。


「ー、ええ。わかってますわ。政府にとって邪魔な異能者達を一掃してごらんにいれますわ。」


「頼むぞ。アレクサンドルさえ片付ければあとは雑魚だ。」


「イエローストーンは広大な土地。逃げられる場所はどこにもないわ。じっくりじっくり…。ふふ。」


「遊ぶのはほどほどにな。異能者達を片付けた後もたくさん仕事があるのでね。」


「ふふ、もちろんですわ。ホイットニー様にはご贔屓に…。」


通話が切られる。

ここで映像の再生を止める。


「ホイットニーだと!?軍のトップじゃないか。」


「この女は傭兵に近い立場であることも判明したな。重要な情報はホイットニーとやらに聞いてみるか。」


「探してる時間は今はねえぞ!?」


「安心するがいい。先ほどの映像履歴から電話番号も割り出しておいた。」


人工知能の触手が電話機に伸びて接続される。


スクリーンには何かしら建物の中が映し出される。

窓の景色からあらゆる景色とマッチングさせ、位置を割り出させる。

そして、建物の外が映し出される。


「……ホワイトハウスか。」


「ーちっ!やはり政府が直接指令出してるんじゃねえか!」


「事実関係も確認できた。なら、大統領と直接コンタクト取るぞ。」


大統領はまだホワイトハウスにいるようだ。

何やらバタバタせわしなくしているようだが。


スクリーンを大統領がいる部屋に投影させ、こちらの映像ともリンクさせる。


「なーっ!お前は誰だ!?」


突如のスクリーン出現に大統領が驚く。

側近のSPはすかさず銃を構える。


「突然の訪問失礼する。私はキンメリーだ。異能者の一人でもある。基地襲撃に関する許可を出したのは大統領、あなたですね?」


「ええい!この異能者を始末しろ!」


SPの銃が火を噴くが、スクリーンを通過するだけで、こちらにはなんのダメージもない。


「ふむ。少し冷静になってもらうしかないな。」


この人工知能により異能をブーストすれば、私の異能は地球上ならどこでも届く。

SPの身体の水分を一気に限界まで減らすと、SPは倒れこむ。


「なっー、バケモノめ!」


「あまり力を行使したくはありませんが…」


大統領周りの首の周りの水分を圧縮し、喉を絞める。


「ーぐぁぁぁっ!」


大統領が悶える様は基地内のスクリーンにも投影されていた。

アレクサンドルとディンをはじめ、全員の異能者は驚くばかりだ。


「なぜ基地を襲撃したのですか?」


大統領の首絞めが一瞬緩められる。


「ーがっ!はぁはぁ…!そんなこと言えるわけないだろう!」


「では、仕方ありません。」


先程よりもキツめに首を絞める。


「あぁぁっ!わ、わか…、は…はなす…」


再度緩められる。


「ゲホッゲホッ…。理由は単純で軍の兵器にも勝る異能者を野放しにはしておけんのだ。政府が管理している異能者ならば話は別だがな。そして大国同士、裏では異能者の争奪戦をしている。政府は異能者全員を管理できているわけではない。異能者一人が他の国に渡るだけでも恐ろしいのだよ。」


「なるほど。状況は分かりました。ですが、異能者達にも命と尊厳はあります。これ以上粛清を続けるのであれば、私自らがこの国を潰すことになります。」


実際潰すつもりはないが、異能を見せつけた上で、効果的に脅しとして迫る。


「ーぐっ!わが国だけではないぞ?他国もおそらく同様の状況だ。」


「そこも承知してます。ですが私の敵ではありません。私の異能は既に体感したでしょう?」


「……」


「ああ、追い詰めるつもりはないのです。単にイエローストーンに住まう異能者の安全保障だけしてくれれば。そして傭兵である異能者達とは縁を切ってほしいだけです。」


「……わかった。だが、既に指令を受けた傭兵は止まらないだろう。」


「そこはご心配なく…。防御策はありますので。では通信を終わります。」


スクリーンが切られる。

一部始終を見ていたアレクサンドルやディンは開いた口が塞がらなかった。


「お前は…何者なんだ?」


「異能者の一人ですよ。イエローストーンはしばらくは安全でしょう。また襲撃があればここに連絡を。」


「キンメリー。我は…」


「ディン、有難う。南極に帰すこともできますし、ここに残ってもいいですし、他のところでも。選択肢は君に委ねます。」


「ふむ。暫くは我もここに残るとするか。同じ異能者同士であるし、助け合いたいものだ。アレクサンドル、いいか?」


「キンメリーの紹介ならいいさ。」


こうして異能者達の暴走は抑え、政府との交渉も完了した。

最後は少々力技ではあったが…。


この後、傭兵達はキンメリーによって一掃される。

この話は外伝にて語られることになるだろう。


そして、この基地の人達は次代異能者の物語へ繋がり、キンメリー自身は敵となり立ちはだかることになる。

これも次のシリーズにてー。


先代異能者達の軌跡はこれで結びとなる。

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