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⚔️伝説の剣。福引きしたら、ドラゴンスレイヤーだったらしい……。  作者: 黒武者
第7章:選定の儀

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第91話 Sランクの来訪者

エクレールがふと観客席へ視線を向ける。


「……あら?」


 口元がゆるむ。


 何か面白いものを見つけた子供のように。


「Sランクパーティまで来てるじゃない」


 ざわっ、と会場が揺れた。


「Sランク?」


「今、Sランクって言ったか?」


「どこだ!?」


 参加者たちも思わず視線を向ける。


 観客席上段。


 四人組。


 目立つような振る舞いはしていない。


 だが、そこにいるだけで空気が違った。


 黒い外套を羽織った槍使い。


 白銀の髪を持つ女剣士。


 杖を抱えた魔導士。


 そして、静かに周囲を見渡す青年。


 「え?オレたちさ、なんか見られてる?」


 その青年は、わざとなのか目立つような反応を返してしまう。


 「ああ、お前が黙ってたら、すぐ終わるさ」


 四人は最初からそこにいた。


 まるで試験の行方を見届けるためだけに。


 ジークレッドが低く問う。


「知り合いか」


 エクレールは肩をすくめた。


「顔くらいはね」


 そして笑う。


「有名人だもの」


 再びざわめきが広がる。


 Sランクパーティ。


 王国全土を探しても、数えるほどしか存在しない最高位冒険者。


 その一角が、この試験を見に来ている。


 参加者たちの緊張が一段増した。


 その時。


 四人の中心にいた槍使いが、ゆっくりと立ち上がる。


 ただそれだけ。


 だが周囲の空気が変わった。


 歴戦。


 修羅場。


 死線。


 積み重ねた年月が、その背中から滲み出ている。


「久しいな、ジーク」


 落ち着いた声。


 ジークレッドはわずかに目を細めた。


「生きていたか、フォレスタ」


「おかげさまでな」


 短いやり取り。


 それだけで観客席がざわつく。


 王国直属護衛剣士団団長。


 そのジークレッドが対等に言葉を交わしている。


 それだけで十分だった。


 目の前の男が、同格であることを示すには。


 エクレールが楽しそうに口を挟む。


「で?」


「アンタたちも参加する?」


 会場がどよめいた。


 参加者たちも思わず息を呑む。


 だが。


 フォレスタは首を横に振った。


「断る」


 即答だった。


「俺たちは観察に来ただけだ」


 エクレールが眉を上げる。


「へぇ?それでいいの?」


 彼は答えない。


 代わりに、その視線が静かに試験場へ向けられた。


 一直線に。


 一人の人物へ。


 黒装束。


 半面の仮面。


 十三人の中でただ一人、最初から微動だにしない女。


 フォレスタが静かに言う。


「少しな、興味深い者がいる」


 空気が変わった。


 参加者たちも。


 観客席も。


 自然と視線がその女へ集まる。


 だが。


 仮面の女は何も反応しなかった。


 ただ静かに立っている。


 まるで周囲の視線など最初から存在しないかのように。


 エクレールは、その様子を見て小さく笑った。


「なるほどね」


 面白そうに目を細める。


「アンタも気付いてたんだ」


 フォレスタは答えず、静かに座る。


 だが否定もしなかった。


 ジークレッドがキラーへ視線を落とす。


「まぁいい、続けるぞ」


 低い声が闘技場へ響く。


「次の挑戦者は誰だ」


 沈黙。


 誰も動かない。


 黒の仮面女も微動だにしない。


 カツ、カツ、カツ


 エクレールの足跡だけが闘技場に響く。


 観客も固唾を飲んでいる。


 麦は誰なんだ?


 興奮が緊張感を高める。

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