表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
⚔️伝説の剣。福引きしたら、ドラゴンスレイヤーだったらしい……。  作者: 黒武者
第7章:選定の儀

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
84/95

第84話 重なる連携 続

「え――」


 リフルが目を見開く。


 踏み込みが、異常だった。

 爆ぜるような加速。


 ルシアの姿が、リザードドラゴンの横を駆け抜ける。


 そして――


 遅れて、斬撃が走った。


 ズドン。


 巨体が、ずれる。


 脇腹から胸部にかけて、大きく抉れていた。


「グギャアアアアア!!」


 悲鳴が響く。


 ロゼリアが即座に叫んだ。


「そこよ!! 集中して!!」


 ストーリアが追撃の矢を放つ。


「シューティング・レイ!」


 光条が一直線に傷口へ突き刺さった。


 リフルが跳ぶ。


「叩き込む!」


 連撃。


 蹴撃。


 暴風のような乱打が、傷口へ集中する。


 さらに。


「グランド・ランス!」


 エルドの土槍が地面を突き破った。


 鋭い岩槍が、内側から巨体を抉る。


 そして――


「来たわね!」


 最後に、ロゼリアの剣閃が走った。


 銀光一閃。


 ズガァァァァァン!!


 リザードドラゴンが、ついに崩れ落ちる。


 土煙が舞った。


 静寂。


 誰もしばらく動かなかった。


 やがて。


「……倒した?」


 リフルが呟く。


 だが、ルシアは違った。


 身体の違和感よりも。


 今は、“ドラゴンを倒した”という事実の方が大きかった。


「……倒した」


 小さく漏れる。


 ずっと届かなかった相手。


 ワイバーンとは違う。


 今度は、自分の力で。


 自分の剣で。


 確かに斬った。


「ルシア、身体は大丈夫なの?」


 ロゼリアが静かに近づく。


「何か、動きが速くなってたわよ」


「え?」


 ルシアが顔を上げる。


「最後、消えるみたいな速さだったわ」


「そうね」


 リフルも腕を組みながら頷いた。


「私より速かったんじゃないかしら?」


 にやりと笑う。


「ずるいわね。ルシアのくせに」


「なんだよそれ……」


 ストーリアも感心したように口を開く。


「後ろから見てたけど、本当に凄かったわ」


「どうやってそんなに鍛えたの?」


「初めて会った時から、そこまで時間経ってないわよね?」


「いや……俺にもよく……」


 言いながら、ルシアは右手を見る。


 まだ熱が残っていた。


 エルドは黙っていた。


 何かを考えるように。


 スレイヤーと、ルシアを交互に見つめている。


 その時だった。


「み、皆さん!」


 岩陰から、リールーが慌てて駆け戻ってくる。


「お怪我はありませんか!?」


「大丈夫よ」


 ロゼリアが答えた。


「もう終わったわ」


 リールーは、倒れたリザードドラゴンを見つめる。


 そして、小さく息を呑んだ。


「……本当に、倒してしまったのですね」


 その声には、驚きだけではない。


 どこか、“確信”に近い響きがあった。


 そして――


 誰も気づかないまま。


 ルシアが、無意識に右肘へ触れる。


 ロゼリアだけが、その違和感に気づいていた。


(……あれ?)


(傷痕が……消えてる?)


(それに、あの踏み込み……)


 だが、その疑問は。


 次に流れた空気の中へ、自然と溶けていった。


「それにしても、今の戦い……すごく連携が取れていましたね!」


 リールーが興奮気味に言う。


「隠れながら見てたんですけど、皆さん本当に凄かったです!」


「そうね」


 ロゼリアが笑う。


「私とリフルが動きやすかったの、ストーリアの援護のおかげよ」


「そうですわ!」


 リフルも勢いよく頷いた。


「ストーリアさんの攻撃、すっごく正確でしたもの!」


「そんなに褒められると照れちゃうわ」


 ストーリアが少し笑う。


「でも、私も凄くやりやすかった。色々試せたし」


「そうですな」


 エルドも頷いた。


「ストーリア殿の援護があることで、私が防御に集中できるのは大きい」


「俺はなんか……勢いで斬ってただけだから、あんまり実感ないけどな」


「そこが一番怖いのよ、ルシアは」


 ロゼリアが呆れたように言う。


「でも、最後の一撃は見事だったわ」


 ルシアは、少し照れくさそうに頭を掻いた。


 そんな空気の中。


 リフルが、勢いよくストーリアへ近づく。


「もう私、ストーリアさんとロゼリアお姉さまがいるこのパーティ、大好きですわ!」


「距離が近いわね!?」


 ストーリアが苦笑する。


 そして、ふと思い出したように言った。


「そうだ、みんな」


「私のこと、“さん”なしで呼んでくれない?」


「距離ある感じ、ちょっと寂しいし」


「それは良いことですな」


 エルドが頷く。


「連携において、呼称は意外と重要です。“さん”や“くん”が減るだけでも、反応速度は変わります」


「それ本当?」


 ロゼリアが笑いながら聞く。


「まあ、気持ちの問題も含めてですな」


 エルドは穏やかに答えた。


「じゃあ、ストーリア。よろしくな」


 最初にそう言ったのは、ルシアだった。


 ストーリアは少し嬉しそうに笑う。


「ええ、よろしく。ルシア、ロゼリア、リフル、エルド……それから、リールーも」


「えっ、わ、私もですか!?」


 リールーが慌てて両手を振る。


「私、何もできませんよ……?」


「そんなことないわ」


 ストーリアが優しく言った。


「リールーは、私たちが知らないことを教えてくれるでしょ?」


「それって、すごく大事なことよ」


「そうそう!」


 リフルも大きく頷く。


「ブレーン担当ってやつですわ!」


「サポート役、ね」


 ロゼリアも微笑む。


「戦わなくても、一緒にいてくれるだけで助かるのよ」


 リールーは少し戸惑ったあと。


 嬉しそうに、小さく笑った。


「……ありがとうございます」


「期待に応えられるよう、頑張ります」


「決まりですな」


 エルドが静かにまとめる。


「では、改めて参りましょうか」


 その後。


 六人は、和気あいあいとした空気のまま、メルディナへ向かって歩き出した。


 新しい連携と。


 少しずつ重なり始めた、“仲間”という形を連れて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ