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⚔️伝説の剣。福引きしたら、ドラゴンスレイヤーだったらしい……。  作者: 黒武者
第6章:襲来

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第68話 初撃、あるいは接続の代償

グオォォォ!


咆哮が地面を押し上げる。石畳がびりびりと震え、砂が跳ねた。


「……来た」


ユシャーンが言う。


歪みが収束し、輪郭が整う。

黒い鱗が月光を弾き、巨体がゆっくりと前傾した。首が低く沈み、肩が持ち上がる。翼が一度だけ大きく開き、空気を掴む。


「こんなに……!」


ティアが息を呑む。

100mはあるはずの距離が、数歩に感じる。


「目を離すな。動き出す前に来る」ルミナスが短く言う。


ドラゴンの尾が地面をなぞる。石が弾け、軌跡だけが残る。


「来るぞ」ユシャーンが踏み出す。


次の瞬間、巨体が消えたように見えた。


ドン――ッ。


“結果”だけが到着する。石畳が一直線に抉れ、衝撃が遅れて叩きつける。


「散開!」ユシャーンが叫ぶ。


全員が横へ跳ぶ。背後で建物の角が、音もなく削り落ちる。


「速すぎ……!」ティアが転がりながら立ち上がる。


ドラゴンは着地せず半歩浮いたまま、翼で空気を叩く。風圧が壁のように押し寄せ、瓦礫が横へ流れる。


「風で押してくる!足取られるわ!」ルミナスが体勢を低くする。


フェリオスだけが前を向いたまま立つ。キラーが脈打ち、腕に重く絡む。


「……そこだろ」


ドラゴンの首がわずかに傾く。眼が細くなる。次の一瞬、顎が引かれ、胸が膨らむ。


「ブレス来る!横だ!」ユシャーンが叫ぶ。


空気が震え、地面を舐めるように、熱が走る。石畳が赤く割れ、一直線の焦げ跡が夜を裂く。


「グオォォォ!」


凄まじい熱波を伴い、それが一面に広がる


「こっち!」ルミナスがティアの腕を引き、側転で軌道を外す。


ブレスは止まらない。首が横へ振られ、焼線が薙ぐ。遅れて爆ぜるように空気が鳴る。


「切り返してくるぞ!」ユシャーンが踏み込み、間合いを詰める。


ドラゴンが前脚を振り上げる。爪が開き、空間を“掴む”ように振り下ろす。


ガンッ!


石畳が砕け、衝撃波が円に広がる。


「下がれ!」ユシャーンが盾代わりに剣を立て、押し返される。


その背後で、尾がしなる。鞭のように弧を描き、瓦礫を巻き上げる。


「後ろ!」ティアが叫ぶ。


ルミナスが身を低くし、尾の下を滑り抜ける。風圧で髪が横へ流れる。


「……見える」


フェリオスが一歩出る。キラーの鼓動が重なる。


ドクン。


ドクン。


「どこにいるか、わかる!」


ドラゴンが再び低く沈む。肩が上がる。翼が半開きで止まる。


「フェリオス、下がれ!」ユシャーンが叫ぶ。


「待ちなさい!」ストーリアが手を伸ばす。


「止める理由、あるか?」ユシャーンが低く返す。


「死ぬわよ」「何もしなかったら死ぬ」


フェリオスが踏み込む。足元の石が弾け、空白の縁で消える。


ドラゴンの眼が、まっすぐフェリオスを捉える。顎がわずかに開く。舌が動き、息を吸う。


「――そこだ」


振る。


ギィン――ッ!!


空中で、爪と刃がかみ合う。火花が散るように歪みが弾ける。ドラゴンの腕が一瞬だけ止まり、肩がわずかに遅れる。


「止めた……!?」ティアが叫ぶ。


次の瞬間、もう一方の前脚が横から薙ぐ。見えない速度で。


「――ッ!」


フェリオスの胸元が裂ける。遅れて衝撃。体が浮き、背中から叩きつけられる。


ドクン。


キラーが強く鳴る。


「フェリオス!!」ティアが駆け出す。


「来るな!」


フェリオスが起き上がる。呼吸が荒いのに、目はぶれない。


「当たっただけだ」


ドラゴンが一歩、間合いを詰める。足裏が石を押し潰し、低い振動が走る。翼が半回転し、砂塵が巻き上がる。


「距離を詰めてくる!押し潰されるぞ!」ルミナスが叫ぶ。


「分かってる」


フェリオスがキラーを握り直す。刃が細かく震える。


「……これ、すげぇな」


「何が!?」ティアが震える声で問う。


「全部、分かる。次、右から来る」


言った瞬間、尾が右から薙ぐ。


「しゃがめ!」ユシャーンが押し倒し、二人を地面に伏せさせる。尾が頭上をかすめ、背後の壁が消える。


「本当に見えてるの……?」ルミナスが息を呑む。


「見えてる」


フェリオスが前に出る。


「来いよ」


ドラゴンの胸が膨らむ。空気が引かれる。熱が集まる。


「ブレス、二発目来る!」ユシャーンが叫ぶ。


「散れ!今度は広く振る!」ルミナスが指示を飛ばす。


焼線が扇状に広がる。地面が裂け、炎が走る。


その縁を、フェリオスが踏み越える。


「――そこだ」


振る。


ギィン――ッ!!


今度は深く入る。ドラゴンの首がわずかに弾かれ、軌道が逸れる。


同時に、膝が落ちる。


「っ……!」


キラーが暴れる。ドクンッ、と異様な脈動。


「ぐ、あ……!」


頭を押さえる。流れ込みが増える。


もっと速く。もっと深く。足りない。


「離しなさい、それ!」ルミナスが叫ぶ。


「離せるかよ……!」


歯を食いしばる。


ドラゴンが一瞬、静止する。眼が細まり、再び“測る”。


「……次、踏み込むぞ」ユシャーンが低く言う。


「来るわね」ルミナスが頷く。


巨体が沈む。翼が広がる。空気が張り詰める。


戦いが、さらに一段深く噛み合い始めた。

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