第四十七話「場の空気と、食う気って話」
珍しく短いです。あと5.5話を追加いたしました。ストーリーに関係はないので、既読の方はお読みいただかなくても問題ございません。
「今日集まってもらったのは他でもない、皆の者も村の入り口を見たであろう!」
現在ウケモチノカミ前広場でジジイが演説をぶっている。
そして俺はその横でそれを聞き流している。
「そして感じたはずだ! 女神様の像から溢れ出す慈愛の光と博愛のオーラを!」
ちらりと横目で見ると、ジジイの表情は恍惚としていて、狂信者ぶりを遺憾なく発揮している。
見ていて気持ちのいいものではないので周りを見渡すと、立食パーティの時のように住民が一堂に介している。
こんなのでも村長として人望があるのか、欠席はないようだ。
ちなみに子供達は関係ないので竹トンボを渡して遊んでもらっている。
こんな長話聞かせたら可哀想だからな。
「これは我々の村に女神様のご加護が与えられたに違いなく___」
しかしながら、当然住民は前の立食パーティの時のようなテンション感ではない。
だんだんとテンサゲしていっているのが肌で感じられる。
「つまり我々は___ふぎゅ!」
このままでは計画に支障をきたすので、ジジイの鳩尾に民衆から見えないように手刀を入れる。
「えー。皆さん。突然村長の体調が悪くなったので、私が今日の集まっていただいた理由をかいつまんでお話しします」
突然前のめりに倒れた村長を気にすることなく、住民は俺の話を聞く。
やはり俺の勘違いで、ジジイは大して人望がないのか?
俺が首を捻っていると、住民たちのひそひそ声が聞こえてきた。
「最近、村長とシヤって仲良いよな」
「うん。歳の離れた友達って感じ」
「気の置けないってのはああいうのを言うんだろうな」
「村長×シヤ君……」
「いや、シヤ×村長でしょう」
どうやら、何か勘違いされているようだ。
しかも重大な勘違いを。
俺がビルダーズブレイブに18禁MODを入れていた弊害がこんなところに!
いや、俺がMODを入れたせいかどうかは、わからんけども。
とりあえず、発言者の顔だけ覚えておいて、なるべく関わらないようにしよう。
「えー、今日はあのかっこいい城門が、もっとかっこよくなったらいいな〜、うれしいなぁ〜と思う方を募集します」
住民がザワザワしだす。
「かっこよく?」
「今でもかっこいいが」
「かっこよくするって、どういうことだ?」
モノヅクリを認識せずに、俺の発言を正しく受け止めるのは困難だろうからな。
俺とてこんな言い方で応募者が出るとは思っていない。
「えー、応募していただいた方には私たちのお手伝いをしてもらいます。具体的には山の岩を掘りおこしていただきます」
今度は住民が静まる。
今の条件で必要なことだからと挙手するのは勤勉な日本人だけだ。
ここは日本ではないので、この世界ならではの交渉をしようと思う。
「えー、作業に参加してくださった方には、1日三食、家族全員分のパンをお支払いいたします。作業者の方にはそれに加えて昼にスープがつきます。はい、早いもん順」
俺がパンと、柏手を打つと応募者が俺めがけて殺到してきた。
危険なのでジジイを肉壁にしながら、候補者の中から数名選出する。
残りの方々は二次募集で参加してもらうつもりだ。
まずは、この村の人間でも採掘が出来るのかのチェックだけしたい。
採掘だけならバグらないのはブライトたちで実証済みだからな。
「おい、ジジイ起きろ。最初はお前も行ってもらうぞ」
「はっ! 女神様のパン!」
俺は寝ぼけたジジイを引っ掴むと、後ろに控えていたブライトとロトンドと共に壇上から降りる。
その時視線の端に赤い髪が見えた気がして、そちらを見直したが誰もいない。
もしかしたら___
見ていたのかも知れないな。
俺はお前との約束を守るよ。
見ていてくれ、すごくかっこいい城壁を作るからな!
俺は移動速度向上のアイテムぱやぱやの桃を全員に食べさせ、目的地の山へと走り出すのだった。
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