表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/43

終わりVS了

 不安ごとがあって眠れない人がいるらしい。なるほど、それはしんどそうだ、とぼくは思った。だが、共感はあまりできなかった。なにせ、ぼくはご飯を食べたあと、寝床で横になると、すぐに眠たくなる人間だからだ。


 まあ、すぐにとはいっても――0.93秒の記録保持者の、野比のび太選手には負ける。彼の偉業は、全人類を震撼させた。ぼくが彼の足元に及ばないのは自明のことだろう。


 さて、えっと、なんの話しをしていたのか忘れてしまったが、まあ、いいだろう。忘れることが、必ず悪であるとは限らないだろう。忘れることは、人間にとって大切な能力だ。人間が機械に勝る点の一つだ。


 ぼくのように、なんでもかんでも忘れてしまうのは、困ったことになりそうだが……。それはいいとして、そうそう、思い出した。不安について語ろうとしていたのだった。


 不安について――彼について記憶に新しい人はいるだろう。


 彼――不安院のことを忘れたとは言わせない。ネット掲示板にも書き込ませない。因みに、ぼくはさっきまで忘れていた。彼はあらゆる不安を常に抱えて生きていて、まさに闇の代名詞が相応しい人間だった。


 果たして、彼はずっと不安でい続けることができただろうか。いずれ――終わりがくるのではないのか。


 ぼくは、そこに疑問を感じる。不安院の不安の根源がなにでできているかは知らないけど、彼だって一人の人間だ。二人の人間なわけがない。ん。いや、まてよ。もしかすると、十二人の人間だった可能性だって(以下略)。


 長い話しを聞かせてしまった気がする。ぼくが言いたいのは、たぶん、世界には救いがあるということだろう。マイナスになっている時に、救いはある。


「神様が救ってくれる。なんて」


 そんなことを、信じれるようになれば、彼のように思い悩むこともないのだろう。わからない。どっちが正しいかなんて、各々の主観で決まる。


 なににも終わりがある。だから、安心できる。


 つまり――終わりがあってはじめて安心できる。さまざまな苦悩は、終わる時がいずれくる。そのときに、安心できるということだ。身も蓋もないと思う。


 そんなことは、ほとんどの人間が経験してきたことだろう。終わって、はじめて、安心できるなんて。始まって、はじめて、不安になるなんて。


 ――終わって、始めて、安心できる。

 ――始まって、始めて、不安になる。


 もしくは、初めて、かもしれないが。初めて不安を感じるのは、何歳からだろう。と、まあ、そんなことはどうでもいいか。ぼくは、やつと戦った。


 終わりと――戦った。だが、いつになれば、終わりがくるのか、それさえも曖昧なまま、あらゆる物事を見てきた。あらゆる問題を棚に上げたまま、終わりがくるのを待っていた。


 だが、現実は一向に終わらなかった。どこまでが、結末なのか。それを、僕達は知りたかったのだろう。小説でもそうだ。終わりたくて物語を読んでいるのだろう。いまが、不安だから、それを終わりたくて完結したいのだ。もしくは、いまが安心だから、それを終わりたくて、読み始めたのかもしれない。


 曖昧模糊な世界に一区切りをつける。終わりを知りたくて、ぼくは今日も、小説を読んだ。いつか、終わりが終わる日がくる、その時までずっと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ