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最強VS了

 強さとは、表裏一体ではないのだろうか。いきなりで、びっくりした方がいたら申し訳ない。強さについて、語りたいのだ。そして、弱さについて、語りたいのだ。できれば、聞いてほしい。ところで、だれに聞いてもらっているのだろう。


 この『声』はだれに聞いてもらっているのだろう。この物語は、どうなっているのだろうか。きっと、これから――最強という人間がぼくの前に現れて、そいつをぼくがコテンパンにやっつけて、決着するはずなんだけど……。


 最強が、まだでてこない。不味い。このままでは、この小説がなんの物語性もなく、終わってしまう。ぼくは危惧をした。どうか、どこでもいいから、出てきてくれ。お願いだ。どうか、目の前にカッコよく参上してくれ。と――そこで、なにかが現れた。


「――よお」


 最弱が、現れた。最弱故に、最強が現れた。強さと弱さは表裏一体。長所が短所になるように、強さも弱さになる。そして、最弱は――最強になったのだ。


「くそが。巫山戯てやがる」

「なんだって? もういっぺん言ってみろ」

「くそが、この最強の分際で、ぼくの目の前に現れやがって。く、くそが」


 ぼくは、そいつを凝視した。ただの、最弱だった。どこをどうみても、最弱だった――なのに、なんで、こいつが最強なんだ。おかしいだろう。最弱故に最強だなんて、そんなの、巫山戯てる。


 なにが表裏一体だ。弱さがなければ、強さもないだって? そうだとは限らないだろ。いや、そうかもしれない。だれしも、苦手なことは意識して改善しようとする筈だし、弱さが強さに変わるってことはあるかもしれない。


「おい。さっきからなに一人でぶつぶつしゃべってるんだ? なんだ、手合わせしないのか? 私との勝負に勝ったら、なんでも言うことを聞いてやろうと思っていたが」

「な、なんでも?」


 ぼくは最弱を瞬殺した。引き金を引いた時点で決着はついていた。それにても――弱かった。最弱なだけはある。と、そこで、死んでしまっては、言うことを聞くのは不可能なのだということに気づいた。ぼくは、馬鹿だった。


 最弱が、最強っぽいこと言うから、そうなるのだ。お前が全部悪い。強いやつは、爪を隠すもんだ。脳ある鷹は爪を隠すのだ。それが――最弱、お前の敗因だ。


 ぼくは、最弱であり、最強でもある奴に勝った。あまりにも、呆気ない幕引きだった。どうやら、これまでのようだ。眠気が、ぼくを支配する。もう、眠りにつきたい。うとうとしてきた。おやすみ。


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