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忘れるVS了

 忘れないように、メモをとる。すると、どういうわけか、そのメモをどこにやったのかを忘れるのだ。そういうことを積み重ねてきて、わかったことがある。


 箇条書きで書いてみよう。


 ①メモをどこにやったのかをメモする。


 ②メモをどこにやったのかを記憶する。


 ③メモをしない。


 この三つを実行すれば忘れないだろう。いったい、なにを忘れないのかというと、ぼくにもわからない。だが、きっと、なにかを忘れないはずだ。きっとそれは――大切な、なにかだろう。


 ぼくは、忘れることが多い。どうでもいい記憶が多いのかもしれない。だから③のメモをしない、は非常に有効な対策だろう。メモをしなければ、メモをしてない不安から、記憶するようになる。きっと、どうでもいい記憶にならないはずだ。きっと。


 しかし、そこで問題というか、矛盾が生じる。③を実行すると、なんと①と②が実行できなくなるではないか。まさに青天の霹靂である。実は、青天の霹靂の意味も忘れた。十秒くらいなら覚えていられたのだが、いまは忘れたまま書いている。用途が間違っていたら謝らないといけない。


 メモしたら、③が実行できなくなるし、①か②を実行したら③ができなくなる。ぼくはいま、人生の岐路にいる。③を実行するか、①と②を実行するかで、これからのぼくの人生が決まるだろう。当たり前だ。人生なんて、選択の連続だ。選択しないことだって、一種の選択だろう。


 ぼくは、どうやら忘れると戦っているようだった。自分では戦っている感覚はないのだが、側から見ると、そうらしい。いったいだれが、この戦いを見ていたのだろう。忘れると戦う人間なんて、世界にどれだけいるというのだろう。


 ぼくは一番楽な選択をした。つまり、③のメモをしない、だ。楽だったので、すぐに忘れた。色々なことをすぐに忘れた。きっと、それらは記憶に残らないどうでもいい内容だったのだろう。人間や物の固有名詞とか一等先に忘れた。どうでもいいからだ。


 どうでもいいと表現すると誤解されそうだが、ぼくは、忘れるから忘れるのではないと思っているので、どう言っても誤解されてしまう。


 忘れるは――なにと表裏一体なのだろう。十秒ほど考えた。そして閃いた。


 忘れるは――忘れないと表裏一体なのだ。そうだ。そのはずだ。間違いない。と、十秒ほどで閃いたことを、書くとこうなる。


 忘れるは、なにを忘れたのかによって、忘れてないということになる。全然、意味がわからない説明になった。

 そして、ぼくは――忘れるに勝った(意味不明)。

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