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長所VS了

 誰しも長所は短所にもなる――そんな言葉を鵜呑みにして生きてきたぼくではあるけれど、事実としてはどうだろう。


 本当に、長所は短所になるのだろうか。


 もし、長所と短所が表裏一体であるのだとすれば、ぼくがいままでしてきた――色々なことが、信じてきた正しさが、全て無に帰すような虚しさを感じる。


 誰しも良いところと、悪いところがあるだろう。でも、それは、結局のところ、相対的なものか、なにかを基準にした絶対的なものでしか判断がつかない。


 巫山戯ていると思う――本当に、そう思う。


 誰かに対する根拠のない悪口で、共感を集う場がいつの時代にもある。本人に直接、悪口を言う人は滅多にいない。だから、陰口と表現してもいいかもしれない。悪いことを悪いと本人に直接伝える人間は、とても優しいとは思うけれど――長所も短所も表裏一体であるのなら、そんなの、言っても無駄ではないか。


 正しさなど――曖昧模糊で、意味不明。意味が『ない』わけではなく『不明』なのだ。だから正し『さ』なのだろう。正し『い』ではなく、正し『さ』。そんな茫洋とした捉えどころのほとんどない世界で、ぼくはなにかと戦っていた。


 ――それは自分自身とかもしれない。もしくは、世界そのものと、戦っていたのかもしれない。なんて、そんな巫山戯たことを思っているうちに、どうやら、今日も一日が終わるようだ。


 ――今日もいい戦いだった。戦争のように、大きくはなく、激しくもないけれど、それでも、ぼくはなにかと戦い、そして、勝った。


 ぼくは、あらゆる問題を、曖昧に棚上げしてきた。あらゆる物議や炎上を静観した。論破するわけではなく、なんでそんな道筋になったのかを、自分と相手の境がどうでもいいくらいに、言葉そのものを素直な態度で、そのままの意味で受け止める。なにも進展しない。そして、全てが正しく肯定される。巫山戯たまとまりのない思考をした。


 長所があれば、短所もあるし――長所が短所にもなるし――短所が長所にもなる。いいも悪いもひっくるめて、受け止める。ただ、そこに、関心があるだけで――ただ、そこに、正し『さ』があるだけで、流れに流されてなんとなく同調する。


 そんな世界を明日も生きていこう。


「……おやすみ」


 明日も、見抜けない嘘と共に目が覚める。なにが悪くて、なにか悪くないのか。なにが問題で、なにが問題ではないのか。なにが無駄で、なにが無駄でないのか。なにが長所で、なにが短所なのか――そんな、巫山戯た疑問と共にちゃんと死ぬまで生きていこう。


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