↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽しく充実したデュアルライフ~異世界では国を救う究極の英雄、現実ではS級美少女達を守る至高の退魔師。二つの世界で無双する~  作者: 相野仁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/16

果ての村と果ての塔

「ここら一帯が冒険者向けの宿だな」

  

 カイルがぐるんと大きく腕を動かし、十ほどの建物を示す。


「意外と多いんですね」


 素直な感想を言った。

 村というわりには宿の数が多すぎやしないだろうか?


「それだけの理由があるってことさ。今はそこそこすいてるはずだから、ジョーは気に入ったところを選べばいいよ」


 カイルが笑いをかみ殺しながら言った。


「はい」


「じゃあ次は冒険者ギルドに案内しよう」


 カイルたちの厚意に甘えて案内してもらう。

 カウンターには若い女性が座っていた。


「そちらの人は初めてよね? 冒険者ギルドにようこそ」


 きれいな笑顔で言われる。


「新人の登録と魔石の売却を頼みたい」


 カイルに言われて受付の女性はうなずいた。


「ではこの端末に手をかざしてください」


 女性がカウンターの上に置いた機械を見て、ぎょっとする。

 キャッシュレス決裁用の装置そっくりだったからだ。


「わかるぜ。最初見たとき驚くよな」


 カイルは笑いながら共感してくれる。

 驚いた理由が違うんだが、ここは乗っかっておこう。


 手をかざすとピーっと音が鳴る。


「ジョータロー・オーヤマ様ですね」


 いきなり名前を言い当てられて、またしてもぎょっとなった。


「やっぱり驚くよな? これ、神代遺物(レリック)らしいぜ」


「レリック?」


 知らない単語だったので訊き返す。


「神話の時代に神様が作ったか、神様に弟子入りできるレベルの職人が作ったとされる、とんでもない力を持った道具のことさ」


「そうなんですね」


 相槌を打つ。


 女神ポンティクルスと会えたくらいだから、この世界に本物の神様がいたってふしぎじゃないか。


「ライセンスを発行いたします。身分証を兼ねております」


 受付の女性が淡々と告げる。


「偽造できない身分証を、神代遺物(レリック)が作ってくれるなんて、便利だろう? ジョーは今まで作ってなかったようだが」


「たしかに便利ですね」


 端末に手をかざすだけでいいとか、とんでもない代物だと思う。

 人智を越えたアイテムなのはたしかだ。


「と言っても名前と犯罪歴くらいしか、わからないですけどね」


 受付のお姉さんはさらっと言う。


「犯罪歴チェックもできるんですか」


 普通に強すぎない?


「あとは各地の冒険者ギルドで手続きしていただければ、冒険者ランクはアップしていきます。ジョーさんは現状一級ですね」


 と受付の女性に言われる。


 一番下が一級なのか。

 ある意味わかりやすいな。


「ちなみに俺らは二級な」


 カイルが白い歯を見せる。

 まあ二階でしくじってたあたり、そんなところだろうとは思ってた。


「ハイネさん、魔石を買い取ってあげて欲しいんだけど?」


 カイルが受付の女性に話しかける。


「はい。どうぞ」


 ハイネの視線がこっちに向いた。

 俺はゴブリンが落とした三つ、豚頭が落とした一つを全部出す。


「一級魔石三つと二級魔石ですね。あわせて35万クレジになります」


 クレジがここの通貨なのか?

 どれくらいの価値なのか、よくわかんないぞ。


 貨幣が入った革袋を受け取る。


「生活するだけなら、毎日一階で狩りをやるだけでやっていけるぜ。一人暮らしなら、だけどな」


 カイルに言われた。

 

「毎日ダンジョンに入るのは心身の健康が心配です。三日に一日くらいは休んでください」


 ハイネが注意してくる。


「ああ。そうだな。一人暮らしなら月20万も稼げば充分だしな」


 カイルの仲間がうなずいた。

 そうなると一クレジがだいたい一円くらいなのか……?


 まあ「言語理解」とかで、そう感じられるように調整が入ってるかもだけど。


「ところで助けてくれたお礼だけど、何が欲しい? 俺らが渡せるものならありがたいんだが」


 カイルに改めて訊かれて、悩んでしまう。

 お礼はしっかりと受け取っておきたいが、何がいいんだ?


 数秒考えてパッと思いつく。


「水と食料のことなんだけど」


「……それは宿か食料品店で買えばいいだろ。案内はするけど、お礼としてはどうなんだ?」


 カイルは不満そうだった。

 もっとしっかりとしたお礼をしたいらしい。


「俺らじゃ大したお礼はできないから、ジョーが欲しい分の水と食料を買って渡すのが無難じゃないか?」


 カイルの仲間、リゲルが言った。


「そうするか」


「俺もそれでいいよ」


 と俺も賛成する。

 あんまり持ってない人にガツガツ要求するのも、何か違う気がした。


「ついでに村も案内してくれる?」


 と訊いてみる。


「おお、任せろ」


 カイルたちは快諾してくれた。


 ハイネとのやりとりを見る分には、どうやら銀行っぽいシステムもこの世界にはあるらしい。



「ここは雑貨屋だな。消耗品や日用品を売っている」


「ここは薬屋だ。ポーションや風邪薬を買う」


「ここは武器屋だ。『果ての塔』の十五階くらいまでなら、ここの武器で充分だ」


「ここは食料品店だ。近隣で手に入るものはある程度揃っている」


 村は意外と広くて、歩き回るとけっこう時間がかかった。


「せっかくだから、知ってる魔法、あるとうれしい魔法について教えてくれないか?」


 村の案内もひと段落したタイミングで、俺はカイルたちに訊いてみた。

 右も左もわからないままよりいいだろう。


「俺ら魔法使いはいないけど、それでいいなら」


 とカイルたちは答えてくれた。

 ただの雑談だと思ったのか、怪しまれてはいない。


「魔法使いがいたら欲しいのは、地図作成呪文。あとは飲用水を作る呪文だな」


 まずはカイルが言う。


「『果ての塔』はまだ単純だからいいが、複雑な構造のダンジョンに入るときは、マッピングは必須技能と言えるよな」


 リゲルはうなずく。


「飲用水を作れる呪文があれば、水を持ち運びしなくてもいいから助かる。そういう意味で荷物を軽量化する呪文、あるいは収納用の魔道具も欲しいところだ」


 三人目の仲間キールも言った。


「二級冒険者の稼ぎじゃ魔道具はきついから、使える魔法使いを探すしかない」

 

 カイルが言い二人の仲間は苦笑する。 

 

 俺としては収納の問題は気にしなくていいから、使えるようになりたいのは飲用水の作成と地図作成の呪文だな。


 俺がカイルたちの仲間になれば解決かもしれないが、地球人が入ったら迷惑じゃないか?


 あと、できるだけ早く地球に帰りたいし、ずっといっしょにいられるわけじゃないしなあ。


 ……仲間に入れてくれって頼むのはやめておこう。

 

「いろいろとありがとう。参考になった」


 俺は改めて礼を言った。


「こっちこそ、助けてくれてありがとう」


 カイルたちと手をふって別れる。

 俺が選んだのは『星をながめる』という名前の宿だ。


 広くはないし古い感じだが、部屋は清潔だった。

 あと値段が素泊まりで二千クレジなのもいい。


 中年の夫婦がやっている宿なので、民宿って感じがする。

 俺みたいなのに慣れているのか、とくにかまってこない距離感もいい。


 コミュニケーションが得意じゃないからな。

 三階の部屋に入ってカギをかける。


「さてと」


 女神からもらった魔導書を取り出して開いてみた。

 なんか新しい呪文が使えるようになっていればいいんだが。


 俺の期待に応えるように、二つの魔法が増えていた。


「水の神よ。この身に恵みを与えたまえ【創水】」


 さっそく試してみたら、手のひらサイズの水の玉が出現する。


「これで生活用水の問題は減少したか」


 魔法で水を作るんだから、俺の魔力量という制約がある。

 水を買っておくか、容器を買って保存しておくか、どちらかしたほうがいい。


 あるいは魔力回復用のポーションを買うか。

 どっちのほうが安くて便利なのか、計算してみないと。


 もっとも、カイルたちが買ってくれた分があるので、しばらくは問題ないのだが。


「旅の神よ。御身の英知を貸し与えたまえ【地図作成】」


 呪文を唱えてみると、なるほど頭の中に周囲の地図が浮かび上がる。

 紙を持っていれば、自動的に転写してくれるらしい。


「これも便利だな」


 スマホの地図アプリの代替存在となれる魔法だ。

 そりゃカイルたちも欲しがるわけだよ。


「……ちょっと変じゃないか? 俺が欲しい魔法が増えてるんだが?」


 違和感を声に出してみる。

 この世界で【創水】と【地図作成】の難易度はわからないが、偶然なのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。