↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽しく充実したデュアルライフ~異世界では国を救う究極の英雄、現実ではS級美少女達を守る至高の退魔師。二つの世界で無双する~  作者: 相野仁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/14

日本は平和だと思っていた

 母さんの許可は得た。

 あんまり余裕はないと言っても、猫一匹くらいなら平気だと言われた。


 俺が台所から引きあげたあと、母さんはぶつぶつとなにかを計算しはじめる。


「やっぱり俺もバイトはしたほうがいいんだろうな」


 さっきの母さんは無理して強がっているときのものだ。


 シェルに関しては俺が魔力を提供するだけでいいらしいけど、そうとして家計にあまり余裕はなさそう。


「異世界で稼いだお金を使えたらいいのに」


 それが一番手っ取り早いんだけど、簡単にいくんだろうか?

 この世界に存在しないものを持ち込んで、騒ぎになったりしない?


 ……ダメそうだな。


「【リインフォース】でも使って、肉体労働するほうが安全そうだ」


 肉体労働はきついけど時給は高いって、山口から聞いたことがある。

 あ、でも高校生は一般より時給が安いとも言ってたな。


「にゃー!」


 シェルが窓を見て鳴く。


「ああ。散歩に連れて行くって約束だったな」


 宿題はほぼ終わったし、行ってみるか。

 

「あんまり遅くならないでね」


 母さんの言葉にうなずいて、夜の街を歩く。

 文明の進歩はやっぱり地球のほうが上なんだよな。


 水とか風呂とかトイレとか。

 でも、神代遺物(レリック)みたいなのがあっちにはある。


 まあ異世界なんだから、地球と同じような発展の仕方してなくてもふしぎじゃないのか。


 俺の頭じゃ考えても理解できない気がするし。

 興味深そうにきょろきょろしていたシェルが、不意にある方向を見た。


「にゃー! にゃー!」


 いきなり鳴き出すなんてどうした?

 それも変な剣幕だ。


「まさかなんか起こってる?」


 ここは日本だと言いたいが、シェルの様子は明らかにおかしい。

 

「行ってみるか」


 火事かもしれないしな。

 火事なら【創水】で役に立てるだろう。


 軽く魔力をまとって駆け出す。


 【リインフォース】だとやりすぎ感があるが、魔力をまとうだけならダッシュよりも速い程度に調整ができる。


 ……あれ? けっこう遠いな。


 徒歩十五分くらいの距離を、あっという間に詰められるスピードのはずなんだけど。


 もしかして電車での移動が適正な距離だったり?


「にゃー!」

 

 シェルはキャスパリーグという存在だからか、このスピードでの平気で肩に乗ったまま鳴く。


「うん? なんだ、この気配?」


 今までの日本じゃ感じたことがない、おかしなもの。

 まるでモンスターが出現したみたいな感覚。


「にゃー!」


 広い公園に着いてしまった。

 目の前で青白い火の玉っぽいものが飛んでいく。


「急急如律令!」


 女性の声が聞こえた。

 あれ、なんか聞き覚えのある気がする?


 木刀を手にした女性二人が、それぞれ背後に別の女性をかばうように立っている。


「あー! もう、キリがない!」


 じれったそうに叫んだのは、どう見てもミカ──同じクラスの辻本ミカだった。


「負けないで! 耐えればきっと救援が来る!」


 辻本ミカを励ましているのは、どう見ても栗花落葵だった。

 二人は不気味な発光体に襲われ、応戦しているようにしか見えない。


「えっ? どういうこと?」


 日本でこんなことってある?


「誰っ!?」


 栗花落の敵意まみれの誰何が響く。


「……おーやまじゃん? なんでいるの?」


 辻本ミカの顔も怖い。

 美少女に敵意を向けられるって、こんなにこわいことだったんだ。


「にゃー!」


 シェルが大きく鳴くと、二メートルくらいあるバカでかいサイズの火の玉、それもおっさん顔の奴が出現する。


 栗花落と辻本の視線がそっちに向く。


「やば」


「あれは無理かも」


 二人の表情があせりに変わり、弱音が漏れる。


「【火炎弾】」


 試しに魔法を放ってみた。

 

「ふべえええ」


 巨大なおっさん顔は火炎弾一発で倒せてしまう。

 むしろ延焼しないように制御するほうが大変だった。


「……えっ?」


「ウソでしょ。あんな大物を?」


 辻本と栗花落がアゼンとしている。

 俺もまさか一撃とは思わなかった。


「にゃー!」


 シェルがまた鳴き、小さな青い玉が飛んでくる。

 あの感じだと魔力をまとって殴ればいけるんじゃない?

 

 試しに一番近くの奴を殴ってみる。


「ぎょえええ」


 やっぱりあっさり倒せた。


「うそぉ!?」


「素手で!?」


「ううん。なんかをまとってる」


 辻本と栗花落の会話がなんか面白い。

 流れはよくわかんないけど、とりあえずこのまま倒しちゃおう。


「にゃー」


 シェルが地面を見て鳴くので、そこを叩いてみた。


「ぎょええええええええ」


 断末魔みたいな叫びが聞こえ、火の玉がまったく現れなくなった。


「今潰したのが発生源だったのかな?」


 だとしか思えない。


「す、すごい。秘匿されていた呪いの遠隔発生地を、そんな簡単に見抜くなんて」


 栗花落に感心されるけど、すごいのはたぶんシェルのほう。


「気配はない。おーやまのおかげで、攻撃は終わったみたいだね」


 ふーっと辻本が息を吐き出す。


「助けてくれてありがとう」


「おーやま、ありがとう」


 栗花落と辻本に笑顔で礼を言われる。

 二人ともビジュアルが強いな。


「どういたしまして」


 グレイスたちと一緒に馬車に乗って慣れてなかったら、今頃心臓がバクバクで地蔵になっていたかも。


「あのう」


「私たちも直接お礼を言いたいんだけど」


 栗花落と辻本がかばっていた帽子をかぶった女性たちが、おそるおそる声をかけてくる。


「あー、どうしよう」


 辻本が困った顔をした。

 うん? なんだ?


 お礼をちゃんと言ってくれる子がこの態度って、なんか訳ありか?


「大山くんなら大丈夫じゃない? 芸能界に興味なさそうだし」


 栗花落にずばりと言われる。


「ああ。今日も友達に『瑠璃色メモリー』くらい知っておけって、呆れられたんだよ」

 

 有名らしいねと笑いながら続けた。

 すると二人の女性の体がびくりと震える。


 うん、なんだ?

 

「おーやま、気づいてなかったんだね」


 辻本が呆れた顔になる。


「興味ないんだろうと思ってたけど、気づかないレベルだったかー」


 栗花落がなんか複雑そうな表情だ。

 後ろの二人の女性はなんか気まずそうにしている。


 いくら俺が鈍感でもさすがに……。


「まさかと思うけど」


 俺が栗花落と辻本のきれいな顔を交互に見る。


「瑠璃色メモリーのエリです」


「瑠璃色メモリーのリンです」


 前に進み出て帽子をとりながら名乗った二人は、たしかに超絶可愛かった。

 グレイスに全然負けてないじゃん。


「ありがとうございました」


「どうも初めまして」


 お礼を言われたので、とりあえずはあいさつする。

 栗花落と辻本がくすっと笑う。


 え、おかしなところある?


「たしかに普通の対応だね」


「こういう人初めて。新鮮かも」


 エリとリンの二人は愉快そうに笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。