表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『転生魔王の経済征服 〜魔法はないけど金とゲームで世界は獲れる〜』   作者: たい丸
第1章:再会と覚醒

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/21

第9話:魔王、氷の令嬢を完封す

「……レディー、ファイッ!」

実況の絶叫と共に、決勝戦の火蓋が切って落とされた。 会場の空気が一変する。観客の視線は、壇上の巨大モニターに釘付けとなった。

リンの操るキャミィは、まさに「精密機械」だった。 目にも止まらぬ速さの低空ストライク、一ドットの狂いもない対空。剛のザンギエフが巨体を揺らして一歩踏み込むたびに、リンの鋭い牽制がその出鼻をくじく。

「……ふふ、どうしたの? 佐藤くん。その図体は飾りかしら」

リンの指先がアーケードコントローラーの上を滑る。 カチカチというスイッチの音は、かつての魔導詠唱チャントのように正確にリズムを刻んでいた。第1ラウンドは、剛が一度も「掴む」ことができないまま、リンがパーフェクトで先取した。

「すごい……リンちゃん、強すぎる!」 「野生の魔王、ここまでか?」

会場がリンの勝利を予感し、ざわめき始める。 しかし、剛は笑っていた。

「……ガハハ! 面白い。実に面白いぞ、リン!」

第2ラウンド開始。 剛の戦い方が一変した。それまでの「攻め」をピタリと止め、ただ悠然と、相手の動きを「見て」いた。

(この女、完璧だ。……だが、完璧すぎる。その動き、かつての騎士団が教本通りに組んだ陣形と同じ。一分の狂いもないが、ゆえに『遊び』がない)

リンが仕掛ける中段攻撃。剛はそれを一点読みでガードし、あえて反撃せずに距離を取る。 リンが苛立ちを見せ、再度ストライクで飛び込んできた瞬間——。

「そこだ!!」

剛の指が、レバーを360度以上も高速で旋回させた。 ザンギエフの巨腕が、空中のキャミィを鷲掴みにする。

「なっ……!?」

リンの瞳が驚愕に見開かれた。 画面の中で、キャミィが叩きつけられる。 そこから先は、魔王による一方的な「蹂躙」だった。

剛は、リンが次にどのボタンを押し、どの方向に逃げようとするかを、まるで予言者のように察知していた。 リンが焦れば焦るほど、その「正確さ」が仇となる。剛にとって、彼女の動きは「読みやすい譜面」に成り下がっていた。

「リン、貴様の技術スキルは認めよう。だが、貴様には決定的なものが足りん」

最終ラウンド。 追い詰められたリンの必殺技を、剛は微動だにせず引きつけてから、最大火力のクリティカルアーツを叩き込んだ。 画面に躍る『K.O.』の文字。

静まり返る会場。 剛は悠然と立ち上がり、隣の席で呆然としているリンを見下ろした。

「……なぜ。私のフレーム計算は完璧だったはずよ。一度もミスはしていないのに……」

震える声で呟くリンに、剛は不敵な笑みを浮かべ、会場全体に響き渡る声で言い放った。

「当たり前だ。貴様の指には『覚悟』が宿っておらん。負ければ全てを失う、泥水を啜ってでも勝つという、真の戦士の『殺気』がな!」

剛は、賞状など目もくれず、立ち去ろうとする彼女の背中に言葉を投げた。

「リン! 貴様、今のままでは一生俺の背中すら拝めぬ。もっと魂を削り、本物の殺気を持って来い。……そうすれば、俺がこの世界を獲るための『配下』に加えてやってもよいぞ!」

「……っ、誰があなたの配下になんて……!」

リンは顔を真っ赤にして走り去った。 その様子を後ろで見ていた誠が、呆れたように溜息をつく。

「剛、あんな言い方はないだろう。……でも、確かに君の『読み』は、もはやゲームの域を超えていたよ」

「ガハハ! 海藤、これで証明されたな。この世界でも、強い意志と戦略を持つ者が覇者となる。……次は、この勝利を『金』に変える番だ」

優勝トロフィーを無造作に掴み、魔王は次なる野望——「起業」へと視線を向けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ