表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高嶺さんのWEB恋愛小説は実話です。ークラスメイトの美少女が俺との日常をWEBに投稿している件ー  作者: 朝霧いお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/15

友だち(?)ができました

「ふ――っ」


 高嶺さんを無事山頂の広場まで送り届けてから、俺は一人大きく息を吐いた。

 これから昼食の時間だが、高嶺さんは昼食後に爺やさんのお迎えが来ることになったらしい。とりあえず安心して、俺がボッチ飯をキメようとしていると、俺の背をトンと誰かが叩いた。


「おつかれ」

「……大路」


 にこにこと、キラキラしい笑顔を前に、日陰者の俺はそっと木の陰に隠れた。

 高嶺さんがいる時なら、俺は彼女のために彼女が隠れる木になるが、彼女がいない今、俺が大路と仲良く話す必要はない。


「そんな、あからさまに避けないでもいいんじゃないかな? 僕も流石に傷付くんだけど」

 

 しゅんと肩を落とされると、何の罪もない大型犬を理不尽に叱ってしまった気分になって、しぶしぶ俺が木の陰から抜け出して姿を見せたら、大路はそんな俺を見てぷっと吹き出した。


「あはは! やっぱり面白い。……いい奴なんだね。瀬崎は」

「何だ。いきなり」


 俺は、これまで交流のなかったタイプの人間の褒められて顔を顰めた。大路が何を言いたいのか分からない。


「いや、高嶺さんが瀬崎にだけ心を開いている理由、なんとなく分かったってこと」

「……?」

 

 ぐっと顔を近づけられて、俺は一歩後ろに下がった。


「ね、瀬崎。僕と一緒にご飯食べない?」

「遠慮しておく」


 キラキラ系男子なら、女子とでも仲良く食べればよかろう! それに、こいつは俺と違ってほかの男子とも仲がいいはずだ。


「みんな〜。今日、僕は瀬崎と高嶺さんと一緒だったんだけど」


 すると、あろうことか大路は、俺と高嶺さんのことを喧伝しようとした。


「あっ! こら、何話して!」


 慌てて止めると、大路はいたずらっ子のようににっと笑った。


「広められたくなかったら、僕のこと見ておかないとだよね?」

「……!」


 策士だ。

 俺は拳を握りしめて大路を見た。


「でしょ? 瀬崎」

「……」


 俺が返答に悩んでいると、高嶺さんが姫野さんと一緒に、お弁当箱を抱えてやってきた。


「あの……! 瀬崎くん。私と一緒に、ご飯を食べてくれませんか?」

「大変だね、瀬崎。高嶺さんと二人っきりでご飯なんか食べたら、他の男子の注目の的になっちゃうね」

「……」

「でも僕がいたら、少しは緩和されると思わない?」


 まるで悪魔の囁きだった。


「私も一緒に食べたいんだけど、ご一緒してもいいかな? 瀬崎くん」


 ついでに姫野さんまで名乗りを上げてきた。

 俺は、完全に逃げ場をなくした。

 俺に残された選択肢は、女子のお誘いを断った男(しかも二人は校内でも美少女の部類)かボッチ飯のどちらかだ。


「……わかった。みんなで食べよう」


 俺は、頭を押さえながら、女子たちの申し出を受け入れることにした。


 遠足用のレジャーシートをリュックから出して各々広げる。

 俺が無地なのに対し、彼女たちのそれは花柄やチェック模様だったりと可愛らしい。

 視界が一気にファンシーになり、ふと隣を見たら予想外の光景が広がっていて、俺は思わず突っ込んでしまった。


「……お前も花柄なのかよ」

「えっ」


 何故か大路のレジャーシートには、何故か可愛らしい花柄が描かれていたのだ。大路は俺に指摘されると、珍しく慌てる素振りを見せた。


「い、妹のを間違えて持ってきたみたいだ! 次からは気をつけないとだね! うん!!」

「?」


 一人で呟いて一人で納得した大路は、レジャーシートのうえに座ると、そそくさと弁当箱を取り出した。


「お前の親、えらく可愛い弁当作るんだな」

「ど、どうやら妹のと間違えたみたいだ……」

「大路の妹も今日は遠足なのか?」

「……」


 大路は、俺の質問には答えてくれなかった。


「高嶺さんのお弁当は……」


 俺は、高そうな老舗料亭で出てきそうな料理を前に言葉に詰まった。

 

「おいしそうだね」

「はい。料理長のお手製なんです! 瀬崎くんも召し上がられますか?」


 高嶺さんはそう言うと、さっと俺に弁当を差し出した。


「……じゃあ、卵焼きをもらおうかな」


 高そうな食材は申し訳なく、一番手のかかっていなさそうな卵焼きを食べて――俺は自分の無知さを恥じた。


「これ、美味しすぎる!!!」

「ふふ。そう言っていただけて嬉しいです。前日から用意して作る必要があるそうなので」

「すごいね」


 美味しい料理の基本はだし、ということだろうか。勉強になります。


「おっ。瀬崎は女子と食べてるのか。モテモテだな〜」

「……先生、そういうのはやめたほうがいいですよ」

「そうか。すまんすまん」


 見回りに来た沢田先生にからかわれ、俺はジトッと先生を睨んだ。


「高嶺。お前もみんなと楽しめてるか?」


 沢田先生が、高嶺さんを見て言った。

 高嶺さんは心から嬉しそうに、澄んだ目をして頷いた。


「……はい。みなさんと、仲良くなれて嬉しいです」


 守りたい。この笑顔。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ