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高嶺さんのWEB恋愛小説は実話です。ークラスメイトの美少女が俺との日常をWEBに投稿している件ー  作者: 朝霧いお


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写真と被写体

「すごーい。きれいに撮れてるね!」

「ありがとうございます」


 高橋先輩は、高嶺さんの写真を見てご満悦だった。

 デジカメの画面は撮影した写真を見返すことが出来るが、不意を突かれたことによるビギナーズラックか、彼女が撮影した写真はよいものが多かった。


「琴乃ちゃんは、写真を撮るのが上手なんだね」

「いえ、そんなことは。私、本当に初心者で……」


 高嶺さんは性格がいいので己を卑下した。


「みんなで撮るよ〜集まって〜」


 高橋先輩は、部長らしく人を集めると、それから俺というよりまた高嶺さんに向かって笑った。


「はい、チーズ!」




 無事撮影を終えて家に変えると、クラスのグループLIMEに連絡が入っていた。


■1年A組■

【内田:瀬崎くん、今日はありがとう!】

【なになに? 瀬崎くんがどうかしたの?】

【内田:今日、高嶺さんと一緒に写真撮りに来てくれたんだ。もしかしたら、卒業アルバムに採用されるかもっしれなくて、それで撮ってるんだって】

【うちの学校の写真部ってそんなこともするんだ!? すごいね】

 

 本当は写真部は廃部一歩手前で、美術部とのバトルに負けているとのことだったがこれは言わないでおくことにした。


【晴人:採用されるかは分からないけどね】

【内田:春姉が高嶺さん気に行っちゃって少し困りはしたけど。ホントごめんね】


 なぜ内田さんは俺に謝るのだろう。いうなら高嶺さんにいうべきだろうに。


【高橋:げっ。ねーちゃん、高嶺さんに目つけたのかよ】

【晴人:高橋先輩、本当に高橋のお姉さんなんだな】

【高橋:(ぐったり倒れるスタンプ)】


 予想通り高橋が、げんなりした様子で書き込んできた。ふわふわにこにこという言葉が似合いそうな割に圧を感じる人だったので、案外高橋は苦労しているのかもしれない。

 ……俺にはどうにも出来ないが。


【じゃあ、他の部活も明日からまわるの?】

【晴人:部長に元々来てた話だから、全部網羅する必要は無いと思ってて。高嶺さんが多分一回いったことあるとこ優先になるけど、気軽に撮影行っていい部活とことか、部室にこの日は居るよっていう情報共有して貰えると助かる】

【りょうかい!】


 俺が書き込んでから、クラスメイトたちは撮影に来ていい日を書き込んでくれた。

 うん。やっぱり彼等は、大路以外教室で距離を置かれているように感じさせることを除けば、本当にいいクラスメイトだ。





「ありがとう。沢山撮ってきてくれたんだね」


 グループLIMEでの協力もあり、撮影はスムーズに進んだ。俺が可能な限りの部活を回って部室を訪れると、亀田先輩はすぐに俺達に対応してくれた。

 撮影したカメラのSDカードを渡すと、先輩は俺たちの写真をモニターの画面にうつして、うんうんと頷いていた。


「流石、経験者ということもあって瀬崎くんは上手いね。高嶺さんの写真は――動きのあるところもちゃんと撮れてるみたいだけど……もしかして、瀬崎君がフォローしてくれたのかな?」

「はい。少しだけ俺が設定をいじらせて貰いました」

「ありがとう。おかげでとてもよく撮れている」


 カチカチとマウスを動かしながら、先輩は写真を一つ一つ確認する。


「ふむふむ。最初はバレー部に行ったんだね……」

 日付を見て層つぶやくと、彼はとある写真を見てピタッと動きをとめた。


「……春子?」

 それは、高嶺さんが撮ったあの奇跡の一枚――高橋先輩の写真だった。


「亀田先輩?」


 内田さんが「春姉」と呼んでいたし、もしかして、亀田先輩と高橋先輩は知り合いなんだろうか。 

 お互い三年だし可能性はある。

 ふわふわ長身バレー部女子の部長と、真面目で優しそうだが、どこか頼りなさそうな廃部間近だった写真部部長(部員1名)――うん。ありかなしかといえば、ちょっとラブコメで見てみたい気持ちはある。……若干高橋のお姉さんが、可愛いもの好きで厄介な人である可能性を除けば。


「い、いや……何でも無いよ」

 追求したい気持ちもあったが、とりあえず今早めておく。こほんと一つ咳払いして、先輩は真面目な表情をして確認を再開した。


「そうだな。二人の写真の違いを挙げるなら――高嶺さんの写真は、全体的に被写体の表情がいいね」

「被写体……?」


 高嶺さんが首を傾げていると、亀田先輩は、彼女の写真を大きくモニターに映して見せた。


「うん。ほら見て。撮影者がいいから、カメラを見る視線が好意的だと思わない?」


 高嶺さんと俺の写真の違い。

 それは部長の言うように、カメラマンへの好意の違いだ。俺に対しては「撮られている」表情が多いのに、高嶺さんが撮影すると、「高嶺さんに撮影してもらっている」表情になる。

 写真は一瞬をきり取るもの。本当にわずかな違いだけれど、その差は残酷に浮かび上がる。

 ……勿論、技術力では俺のほうが上なのは確かだが。


「それは、高嶺さんですから。そういう意味では、俺よりずっと写真に向いていると思います」

「いや、瀬崎くんも勿論上手いんだよ!? そういう意味じゃなくて――」


 亀田先輩が慌ててフォローを入れる。彼は俺の写真も確認して、それからそのうち何枚かをみて、不思議そうな表情をした。


「……瀬崎くん――この写真を撮ったのは瀬崎くんであってる?」


 亀田先輩は、俺が撮った大路と吉野さんの写真を見て首を傾げていた。


「はい。そうですけど……」

 

 何故、そんなことを聞くんだろう。

 俺が不思議に思っていると、亀田先輩は俺を上から下までなぜか観察してきた。


「なるほど、ね。……うん。君もなかなか隅に置けないなあ……」

「???」


 くすくす笑う亀田先輩。俺は意味がわらず、頭に疑問符を浮かべた。


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