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高嶺さんのWEB恋愛小説は実話です。ークラスメイトの美少女が俺との日常をWEBに投稿している件ー  作者: 朝霧いお


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高嶺さん、初めての奇跡の一枚

「あれ? 瀬崎くんと高嶺さん、また来たの?」

「うん。今日は部活で」


 第二体育館に行くと、内田さんが俺と高嶺さんを見つけてすぐに駆け寄ってきてくれた。

 そして、『写真部』の腕章を見て「ああ」と小さく漏らす。


「今日は部活で?」

「うん。卒アルに使える写真があれば採用するらしくって。写真部として撮影してくるよう部長に言われて」

「わかった。ちょっと待っててね」


 手短に俺が説明すると、内田さんは先輩らしき女性を引き連れて戻ってきた。


「三年で部長の高橋先輩。撮影前に挨拶して欲しくて」

「こんにちは。1年A組の瀬崎晴人です。今日は写真部として、撮影のために来ました」


 そっと、腕章を見て貰えるように触れる。高橋先輩先輩は、バレー部らしく長身なのに、どこかふわっとした人だった。表情やら――……その、体格が。


「よろしくね。瀬崎くん」


 高橋先輩はそう言うと、それから俺の影に隠れる高嶺さんに視線を移した。

 

「あら可愛い」

 高橋先輩は、そう言うと高嶺さんをぎゅっと抱きしめた。


「きゃあっ!」

 高嶺さんは、何が起こったのか分からず顔を真っ赤にして悲鳴を上げた。

 身長さもあって、高嶺さんの顔に高橋先輩の豊満な胸が――なにそれ裏山、ではなく。


「駄目ですよ、先輩。可愛いものを見ると、ホントすぐこうなんだから!」


 俺が高嶺さんを救出するより前に、内田さんが高嶺さんから高橋先輩を引き剥がした。


「え〜〜」

「え〜〜じゃないです。うちの高嶺さんに手を出さないでください!」

「……うちの?」


 動揺していた高嶺さんだったが、内田さんに身内扱いされたのが嬉しかったのか、ぽそっと小さく呟く。

 内田さんは本人は気付いていないみたいだが、無意識に内田さんは高嶺さんの好感度を上げたらしい。高嶺さんは意外と顔に出やすい方だと思うので、ギャルゲーじゃないのにたまに好感度上昇のメーターが見えるような気分を俺に味あわせてくれる気がした。

 

「ごめんね。高嶺さん。大丈夫?」

「は、はい。大丈夫です」


 内田さんに気づかわれ、高嶺さんが少しだけふにゃっと笑う。うーん。これは、嬉しさが隠しきれてないな。


「改めてご挨拶します。瀬崎くんと同じ写真部の、1年A組の高嶺琴乃です。宜しくお願いします」


 高嶺さんは、気を取り直して頭を下げて挨拶した。無礼を働かれても礼儀正しい。流石、高嶺さんである。


「瀬崎くんと琴乃ちゃんね。改めましてよろしくね?」


 にこ、と高橋先輩が笑って言うと、内田さんの先輩に対する視線がやや厳しくなった。

 内田さんの表情の変化に、俺は少しだけ不安を覚えた。……高橋先輩は、もしかしたら少し厄介な人なのかもしれない。





 許可を得た俺たちは、早速バレー部の練習風景を撮影することにした。

 練習中の動的な写真の他に、後から中の良いメンバーでの写真を撮らせてもらえることになり、俺はとりあえず高嶺さんに視線を移した。


「うまく撮れないです……写真がズレてしまいます」


 亀田先輩に渡されたデジカメは質のいいものだったけれど、初心者の彼女に使いこなすのは難しかったかもしれない。


「高嶺さん、一旦カメラ借りていい?」

「はい」


 俺が言うと、高嶺さんはいそいそと首からカメラを外して俺に手渡してくれた。


「? 何をされているんですか?」

「スポーツ系は動きが速いからね。シャッタースピードとか、少しいじっておこうか」

「しゃったーすぴーど?」

「うん。動きを速い写真撮るときに上げると、ブレが抑制できるんだ」


 細かい設定は――初心者の高嶺さんにはたくさん撮影してもらって、そこから『偶然』とれたいい写真を選んでもらうほうがいいだろう。


「高嶺さん、撮影するときはボタンを長押ししてもらっていいかな? そしたら、何枚か一気に撮れるようにしておいたから」

「ありがとうございます。はい。わかりました!」


 設定を変更して、彼女に渡す。

 高嶺さんは元気よく返事をすると、真剣な表情で再びデジカメを構えた。

 俺は、そんな彼女の横顔を見て思わず一人少し笑ってしまった。本当に、年の割に珍しい素直で真面目な人だ。

 俺は自分のカメラも調整すると、いつものようにカメラを構えた。

 すると、高橋先輩が元気よく手を挙げて、こちらに大きく手を振った。


「琴乃ちゃーん! 今からサーブ打つからよく見ててね〜」


 俺は眼中にないらしい。

 高橋先輩はそう言うと、ふわふわした雰囲気を一転させて、力強いジャンプサーブを決めた。


 思わず目を奪われる。靭やかなのに力強い動きは、彼女が部長に選ばれて当然だと思わせるには十分だった。

 俺は、呆然とする高嶺さんが撮影した写真を横から覗き込んだ。


 そこには、高橋先輩の鮮やかな動きが鮮明に写っていた。

 高嶺さん、初めての『奇跡の一枚』――。

 俺がそんな事を考えていると、高橋先輩が俺を見てにこっと笑った。

 ピースピース。楽しそうにしている様子は、なんだか憎めないが底が読めない。


「あの人、本気出したら凄いのに、昔からだいたいあんな感じなんだよね」


 俺が反応に困っていたら、内田さんがはあ、と小さなため息を吐いて呟いた。


「昔から……?」

 妙に仲がいいと思っていたが、最近知り合ったのではなく旧知の仲なんだろうか。俺が尋ねると、内田さんの顔が少し曇った。

 

「高橋のお姉さんなんだよ。あの人」

「え……? ええええ!?」


 俺は思わず声を上げた。

 遺伝子って凄い。姉弟なのに、全くと言っていいほど似ていない!!!!


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