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高嶺さんのWEB恋愛小説は実話です。ークラスメイトの美少女が俺との日常をWEBに投稿している件ー  作者: 朝霧いお


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部活見学に行こう!②女子バレー部

「高嶺さん、来てくれたんだ」


 連絡を見て第二体育館に行くと、内田さんが俺たちを迎えてくれた。バレー部の普段の練習は、学校指定の体操着で行うらしい。

 高嶺さんは体操着を手に、どこか不安そうな顔をしていた。


「瀬崎くんお疲れ様」


 内田さんは俺と目線が合うと、俺に向かって親指を立てた。いや内田さん、『グッジョブ』じゃないんだよ。 


「今日は、宜しくお願いします」

「うん。高嶺さんが来ること、先生と先輩に先に話しておいたから。今日は体験する……でいいんだよね?」

「はい」

「じゃあ、まずは体操服に着替えてもらおうかな」

「わかりました!」


 更衣室に案内された高嶺さんが、着替えて戻ってくる。

 高嶺さんのポニテの姿再び。

 いつもより明るく見えて、高嶺さんのポニテは個人的に好きな髪形だ。

 そして、バレーの練習スタイル――高嶺さんの半ズボンを見るのは、俺は実はこれが初めてだった。


 いつも上下ジャージを着ている高嶺さんの生足。

 普段車移動で運動はあまりしていないであろう彼女の足は、ほっそりとして色が白い。


 ――……やばい。これ以上は気持ち悪がられる。


 俺は、少し足を見すぎてしまった気がして、彼女かは目線をそらした。

 そしてあることに気づく。他の女子も、高嶺さん同様体育の時間よりも露出が多い気がする!

 女子バレー部の練習の場に、本当に男の俺がいていいのだろうか……? 

 俺は、若干不安になった。


「内田さんがつけているそれは何ですか?」


 一方、俺の心配など知らない高嶺さんは、いつもの調子で疑問に思ったことを内田さんに尋ねているようだった。

 高嶺さんは、内田さんの膝にある白い物体を指差していた。


「これはサポーターだよ。ケガするといけないから、普段の練習から着けてるんだ。ただ、今日の高嶺さんには必要ないかな? これが必要になるとこまではやらないから」

「そうなんですね」


 にこにこ笑顔の優しい指導だ。対高橋の時より、明らかに内田さんの声音が優しい気がする。


「そえそう、上手上手。その手と感覚を忘れないでね」


 高嶺さんは、レシーブの構えを内田さんに習っていた。

 言われるがまま、懸命に手を構える高嶺さん。


 その光景を見て――俺は、授業参観の父兄の気分になった。

 正直、高嶺さんはバレー部が似合うかというと頷けない。ただ、高嶺さんがクラスメイトと話せて嬉しそうなのは伝わってきて、俺はその姿を見て和んだ。


「……可愛いな」


 そしてつい、ぼそっと思っていることが口から出て、俺は慌てて自分の口を塞いだ。

 危ない危ない。女子しかいない空間で、こんなことを口にしたら集団で蹴られても文句は言えない。


 俺が一人焦っているうちに、高嶺さんは本格的な練習に入ったらしい。

 内田さんは、高嶺さんの居る場所からネットを境に反対側に移動すると、ボールを上げてサーブを打った。


「じゃあ行くよ〜! それっ!」


 高嶺さんは、真剣な表情で腕を構える。ボールは見事高嶺さんの腕の中に収まり、彼女の頭上に高く上がり――……どん! と、そのまま彼女の頭に落下した。


「きゃっ!」


 ころころと、高嶺さんの足元にボールが転がる。


「高嶺さん、大丈夫!?」

「は、はい。平気です……」

「あらら。上に打ち上げちゃったねぇ。でもまあ、よくあるよくある! 何事も練習あるのみだよ!」


 俺は慌てて彼女に駆け寄ったが、内田さんは何の問題とも思っていないようだ。なるほど、これが女子バレー部……。


「高嶺さん。じゃ、次は気を取り直して、サーブを打ってみよっか」

「はい!」


 高嶺さんは元気よく返事をした。うーん、スポ根。さっきのことを気にせずに次に行こうと動けるあたり、意外と高嶺さんは根性があるのかもしれない。


「さっき私が教えたみたいに、このネットを越えるように打ってね」

「はい。わかりました!」

 高嶺さんは、元気よく返事をした――……が。


 高嶺さんが、真剣なボールをあげる。彼女は落ちてくるボールを真剣な目で見つめ大きく手を振りかぶり――。

 スカッ。

 続いて、床に落ちたボールを無言で拾い、再びボールを上げて、サーブを打とうとして――……。

 スカッ。


「……」

「……」

「…………?」

 

 ボールはどこか悲しげに、コロコロと体育館の床を転がっていく。


 俺たちの間に沈黙が流れた。

 流石高嶺さん、期待を裏切らない。しっかりしているように見えて、ややポンコツのこのふわふわ感!

 一周回って癖になる。

 本人が本気で取り組んでいて一生懸命なことが伝わるだけに、(特に彼女の身長が特別低いわけではないのに)、小動物が賢明に努力しているように見える不思議。

 ガチの天然は、自分が天然であることを理解していない、もしくは否定するというが、高嶺さんはまさにこのタイプだろう。


 どう考えても高嶺さんにバレー部は向いていない。

 だが、さすが運動部。高嶺さんの明らかなポンコツっぷりをみても、育成キャラとして受け入れる気概が彼女にはあるらしかった。


「うーん。今日習ったばっかりだから、今はまだ難しそうかな……? でも、大丈夫だよ。これから毎日練習すれば、必ずできるようになるから。誰でも、最初はできないことはあるからね!」


 本当にそう思ってる?

 俺は、内田さんに問いただしたい気持ちをぐっと抑えた。

 俺は知っている。運動ができるやつは、だいたい最初から練習せずともできるやつばかりだということを! 生き物としての真の強者は、スタートから違うということを!!!


「……高嶺さん、バレー部に入りたい?」

 

 だが、高嶺さんに現実それを伝えることは俺にはできなかった。


「ええと、その、申し訳ないのですが……」


 高嶺さんは、俺の問いに少し困った、という表情をして内田さんの足を見た。


「その……私、足がたくさん出るのは、恥ずかしいかもしれませんっ!」


 サーブやレシーブが上手くできなかったか、が理由ではなく、服装面での悩みが部活にはいれない理由だと聞いて、内田さんは「そっか」と短く呟いた。

 確かにそう言われては、これ以上無理強いはできないだろう。


「残念。新しい仲間が増えるかと思ったのに」


 まるで本当に、同じ仲間として高嶺さんとバレーをしたかったかのような、そんな優しい声だった。内田さんは床に落ちたボールを拾うと、俺を見て尋ねた。


「瀬崎くん、次はどこに行く予定なの?」

「実は、まだ決まってない」

「なら、吹奏楽部はどう?」

「吹奏楽?」


 俺とは、あまり馴染みのない部活だ。


「そう。あそこなら、毎日練習してるから」


 内田さんはそう言うと、俺が手に持っていた紙を指差した。


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