探偵
「またなんか来たなぁ?まあなんか居んのは知ってたけど」
その言葉と共に、地面から何本かの鉄パイプが伸びてきて僕を拘束する。
そもそももう体が動かないし拘束されててもされてなくてももはや変わらないが……。
声の主はカノンたちが拘束されている鉄パイプのさらに向こうに居た。
木箱に足を組んで座る、コウモリのような特徴を持った多少太めの女の魔族だ。
この鉄パイプも当然その魔族の能力なのだろう。
手負いとはいえカノンを雁字搦めに拘束したとあればかなりの手練れなんだろう。
……それはそうと、おそらくヴアルさんがもうかなり近くに居るせいで魔物化の進行が早い。
考えてる暇はない、今すぐ「ステータスリセット」を使用しないと飲み込まれる……。
「いやはやまったく、油断ならん。ここまで傷を負ったのは久方振りじゃのう。傷……、これは傷でよいのか?血も出ておるし傷でよいか。見事な決死の一撃じゃったが、二三歩及ばんかったの」
「ああ、あの騒音はやっぱりメメント様でしたか。なんかぞろぞろ来たのでもしかしてやられてしまったのかと」
「すまんの、最短で来るために壁をぶち抜いておったわ。こやつらにはまんまと嵌められてしまってのう」
「ステータスリセット」を再び発動させたタイミングでメメントも姿を現す。
なんでもないように見せているが、目は全く笑っていない。
そりゃあんなダメージを受ければ当然だろうけど。
「ところでおぬし、さっきは確実に魔物化しておったはずじゃが……何故人間の姿に戻っておる?いや待て、当ててやろう。おぬし、わしの能力を無効化できると言っておったな。言わずもがなわしらの能力は瘴気由来の力。魔物化も瘴気の影響。つまりおぬしが言っていた、能力を無効化できるというのは副次的な効果で、実際は瘴気による自身への影響を完全に消滅させる力を持っていたって訳じゃ。……どうじゃ、当たっておるかの?」
言わずもがなって言われても、魔族魔人の能力が瘴気由来っていうのは初耳なんだが。
「今の魔物化も、まるでどんな能力を得るか事前に知っていたかのような適応の速さじゃったのは、既に魔物化を経験しておって能力の使い方も把握しておったからじゃろうな」
……魔族辞めて探偵にでもなった方がいいんじゃないかこいつ。
「……メメント様ぁ、んで、どうすんすかこいつら?こいつら全員皇帝ってやつなんすか?」
「おっとそうじゃな、謎解きもこの程度にしておくかの。見ての通りこやつらは皇帝などではない。暇じゃから遊んでおったんじゃが、おいたが過ぎてのう。躾をしてやろうと思っとったところじゃ。なんじゃが、一匹予想しておったのと違うやつがおるな。……おぬしはどっちの方じゃ?」
スピネの事だ。
「どっち」というのはスピネなのかミラなのか?という意味か。
変身しているせいで外見では区別がつかないのだろう。
コウモリの魔族がスピネの口の詰め物を外すが、メメントの問いには答えず沈黙している。
「さっさと答えろオラ。何がどっちだか知らねぇけど」
コウモリの魔族はスピネを足蹴にする。
身動きが取れないせいで成されるがままだ。
「よいよいバテラ。どうしてこやつらに加担しているのか、あるいは操られておるのかは知らんが、そやつは正味どうでもよい。本題はそっちの小娘じゃ。わしはわざわざこやつに仕置きをしに来てやったんじゃ。煩くなるかもしれん、おぬしは席を外していてよいぞ」
「あー、じゃあそうさせてもらいますよ。丁度腹も減ってきてたんで」
バテラと呼ばれたコウモリの魔族は鉄パイプをそのままに、さらに奥の方へと姿を消した。
Azeronっていうメーカーの左手デバイスが凄く欲しいのですが、結構お高めなのでなかなか手が出せないんですよねぇ。
ゲームのハード1個買うくらいの覚悟が必要。




