密室
「レイ!まだ……」
「倒せてない」と言いたかったのだろうか。
しかしカノンは首を振り、こう続ける。
「……わかった」
真っ直ぐ僕を見つめるその碧い眼は諦観などではなく、僕の事を信じてくれている眼だった。
カノンは握った手を強く握り返してくれる。
策を弄して裏をかくのが僕の役割。
そう、これは撤退ではあるが作戦の内の一つだ。
そのためにはまず僕たちがこの部屋から脱出する必要がある。
結論を言ってしまえば、この魔術プレートで大岩を発生させ、この部屋の出入り口を2つとも封鎖して閉じ込める事がやりたいことだ。
僕たち自身も閉じ込めてしまっては意味が無い。
「カノン……着地頼む」
出入り口とメメントを結ぶ直線の間に入ったタイミングでカノンに僕のみを任せ、左手に小金貨、右手に魔術プレートを握る。
「グランドアウラ!」
メメントの使った風属性魔法「サイクロン」と同様、豪風を巻き起こす魔術。
左手の発生源を中心にして放射状に風を発生させる。
僕たちとメメントの間に発動することで、僕たちは出入り口側へ、相手は反対方向に吹き飛ばされるはずだ。
僕が「サイクロン」で吹き飛ばされた時に思い付いた逃走法だ。
「ぬわあぁ!?っと!!」
カノンは叫び声を上げつつも、僕を掴みながら壁に着地をした。
カノンに負担をかけてしまうのは申し訳ないが、受け身をカノンに任せることで迅速に次の一手を打つ事ができた。
「グランドイグニス!」
出入り口に逃げ込む直前で床に魔術プレートを叩きつけ、それと同時に最後の小金貨を取り出し、前方に炎の魔術を発動させる。
部屋全体を埋め尽くすほどの炎の発生直後、大岩で出入り口に蓋がされる。
僕の左手も少し火傷したかもしれない。
だが相手はこの程度では済まないはずだ。
もし魔法か何かで身を守れたとしても、炎はこの一瞬でも密室内の酸素のほとんどを喰い尽してしまう。
魔族と言えど生態は他の動物と何ら変わらず、酸素が無ければ酸欠になり数分で死に至るはずだ。
これで自分自身の持ち駒は全て使い切った……。
だが、まだ最後の一手が残っている。
僕は廊下の曲がり角の先、うっすらと明かりの見える方へと歩く。
ジョジョのOPって定期的に視聴したくなりますよね。
どの曲も映像もジョジョ愛が感じられてディ・モールト良いぞっ!!




