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二矢

「せっかく小僧が出してくれた霧じゃというのに、逃げるでもなく奇襲を仕掛けてくるでもなく真正面から斬りかかって来ようとは……。馬鹿かおぬしは」



 声の位置的にはやはり出入り口の前あたりで戦っているようだ。



「……もうよい、おぬしとやるのは飽いたわ」

「ぐえっっ!」



 蹴り飛ばされたのだろうか、カノンが僕の横を通り過ぎて壁に激突する音がした。


 今すぐ駆け寄りたい気持ちを抑える。


 とにかく自分のやることに集中しなきゃいけない……。



「ひとまずこの邪魔な霧を晴らすとするかのう。……サイクロン」



 次の瞬間、室内に豪風が吹き荒れた。


 これは風属性魔法の「サイクロン」だ……。


 それによって視界は一気に開ける。


 やはり相手は魔法も使えるらしい。


 僕は立っている事もままならない風に吹き飛ばされ、壁に背中を強打する。


 魔術プレートが割れてしまうと一貫の終わりだから、これだけは身を挺して守った。


 ていうか最悪僕自身が魔術によって出現した大岩に押しつぶされてしまう。


 メメントは壁際で蹲る僕の方へと寄って来た。



「さて小僧、死ぬ覚悟はできとるんじゃろうな?」



 僕は無理にでも即座に立ち上がり、ポケットから2枚目の小金貨を取り出そうとする。



「させるわけが無かろうて」

「がっ……」

「れ、レイっ!」



 さっきと同じ構図。


 メメントは僕の左腕と喉を押さえつけ、魔術の発動を阻止する。


 それを見てカノンが駆け寄って来る。


 だが、さっきとは違って、今回は二の矢がある。


 むしろこっちが本命だ。


 相手の両手が塞がっているこの一瞬に、僕は右手のプレートを1枚、奥へと続く部屋の出入り口へと投げつけた。



「何を投げたっ!?」



 プレートは出入り口から少し手前の床に落ち、簡単に割れた。


 直後プレートは大岩へと姿を変え、完全に出入り口を塞いでしまう。


 僕が何をしたいのかと疑問に思ったのだろうか、その一瞬の硬直をカノンは見逃さない。


 位置的には背後からの首目掛けたカノンの一閃に、メメントは一瞬反応が遅れた。


 しかしそれでもギリギリ身を屈め回避する。



「くっ!」



 カキンッと硬い音が鳴り、メメントの数ある角の一つの先端が斬り飛ばされる。


 メメントは僕から手を離し咄嗟に距離を取って、斬り飛ばされた部分を手で触って確認する。


 この隙に僕は最後の力を振り絞って、カノンの手を取り、タルタロスさんが居る方の出入り口へ向かって走った。

ただでさえクーラーから一番遠い部屋で作業してて暑いのにPCの排熱でさらに暑苦しいです……。

そして暑い場所と涼しい場所を何度も行き来していたせいか見事に体調を崩してしまいました……。

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