第1章 第24話 『職場体験(騎士編)』
第1章 第24話 『職場体験(騎士編)』
「はぁっ‼︎」
ブンッ‼︎ブンッ‼︎
空を切る音がミズキの耳にも届いた。音のする方を見ると、そこには何人もの騎士たちが綺麗に整列し、木刀を勢いよく振るっていた。騎士たちの表情は真剣そのもの。見ているこっちまで緊迫感の伝わる光景であった。
奥の方をよく見ると別のブロックには女性の騎士たちの編隊も見受けられた。女騎士。何と凛々しく清廉とした存在だろう。男たるものそちらに目が行くのは当然なのだが、自分に向けられる視線を察し、ミズキはそれどころではなくなった。
何と先程まで剣を振るっていた一同が動きを止め、全員こちらを向いているではないか。
「「アンドレア団長‼︎おはようございます‼︎」」
騎士たちが口を揃えて叫んだ。まるでインターハイ常連校の部活の風景である。非常に統率された動きで怖いほどである。
すると、その騎士たちの前で腕組みをしていた人物もこちらを見てきた。この集まりの教師のような存在だろうか。にしてはまだ見た目が若く、20代後半から30代前半程度の年齢に感じる。アンドレアと同期くらいだろうか。というかそもそもアンドレアが団長という時点で、騎士団は年功序列ではなく実力主義なのだろうか。
「アンドレア。お前今までどこで何してた⁇」
「はは。悪いなヨシュア。俺の代わりに色々やってくれたみたいで。」
「キミ本当いい加減にしてくれ‼︎僕は警備騎士なんだって何度言ったらわかる⁉︎地方への遠征‼︎魔物の討伐‼︎戦争の最前線‼︎ぜんっぶ‼︎僕がやっていいものじゃない‼︎」
「わかってるよ。いつも俺の代わりに色々引き受けてくれてサンキュな。」
「お礼を言ってほしいわけじゃない‼︎なんならキミの仕事を引き受けたせいで昨日の10連星会議に出れなかったじゃないか‼︎」
やっぱりこのアンドレアという男。かなり多方面に迷惑をかけているらしい。しかし、強いという理由だけで許されているのだろう。なんと理不尽な世界なんだろうか。にしても騎士とは言えど様々な種類があるようである。それから10連星会議と言ったがこのヨシュアとかいう男も10連星の1人なのだろうか。
「この国の騎士は大きく防衛騎士と警備騎士に分けられています。防衛騎士はこの国を外敵から守るのが仕事。警備騎士は街の治安を維持するのが仕事です。」
「うぉっ⁉︎ルイスか。急に驚かすなよ。」
なるほど。警備騎士は警察。防衛騎士は自衛隊。というように勝手に解釈したミズキである。そしてナイスなタイミングで補足してくれたのはルイスレオンロード。昨日キャバクラで別れたっきりだったが、なんとか無事なようだ。
「すみません‼︎お2人が見えたので駆けつけました。一応ミズキさんの護衛をするようにアンドレアさんから命を受けてますから…。本当は警備騎士志望だったんですけどね………。」
つまりルイスも本来はヨシュアの部下ということだろう。どうやら自分という例外の存在プラス、例外中の例外が度々起きているようだ。
「そんでそこにいるのが例の"副産物"ってわけね。」
「あぁ。今日は体験授業に来てもらった。」
「でぇぇ⁉︎やるんですか⁇見学じゃなくて。」
他の騎士たちからの視線が恐ろしい。どの人も冷たい目線を向けてくる。まるで学校を転校した初日のようなアウェイ感。転校したことないけど。
ミズキは早く帰りたい。と切に願った。




