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第1章 第20話 『異世界と女子高生』

第1章 第20話 『異世界と女子高生』




「今からあのバカをこの店からつまみ出す。見ておけ。」


 そう言うと、アイミーロックウルフは再びキセルの煙をふかした。


「な⁉︎なんだこりゃあ⁉︎なにがど〜なってる⁉︎」


 先程騒ぎ立てていた例の男も、流石にこの状況では慌てふためくしかない。なぜならほんの数秒前まではキャバクラ店内にいたにも関わらず、今は霧の濃い森林の中にいるのだから。


「今すぐここを立ち去れ………‼︎」


 どこからともなく声がする。森中に響き渡っているため場所は特定できない。


「何者だ⁉︎この俺がこの国の闇市場を仕切るウェイン商会会長の息子、バルゴウェイン様だと知っての狼藉か⁉︎」


 闇市場を仕切ってるやつの息子ってだけでそんなに偉いもんかね⁇

 ミズキはそんなことを思いながらことの成り行きを見守ることにした。


「黙れ‼︎‼︎私の女に手を出そうとするものは何者であろうと排除する‼︎」


「どこの誰だか知らねぇけどよぉ‼︎そんなに言うならかかってこいや‼︎」


 そう言ってバルゴが挑発的に叫んだ瞬間、彼の後ろにある大木の上からスルスルと幹を回りながら滑り落ちる巨大な影が見えてきた。それは一瞬にしてバルゴの体を縛りつけ吊し上げてみせた。


「ひいぃぃぃ‼︎なんだよこれ⁉︎」


 ようやくその姿が露わになった時、ミズキもバルゴも驚愕した。それはミズキが今までの人生で見てきた中で断トツに巨大な大蛇であった。


「くそっ離しやがれ‼︎アガぁぁぁ‼︎」


 締め付けられたことによりバルゴは悲鳴を上げた。一体何が起きているのだろう。アイミーは蜃気楼、ミラージュだとか言っていたが、これは全て幻なのだろうか。だとしてもあまりにも現実的すぎる。その上バルゴのあの叫びよう、痛みは本当のものなのだろうか。


「二度とこの店に近寄るな……‼︎次にこの店に来た時はお前を食い殺す。」


「はひぃぃぃ‼︎来ません‼︎もう来ませんんん‼︎」


 するとその大蛇は思いっきり尻尾を振りまわし、バルゴを解放し、そのまま吹き飛ばしてしまった。

 再び深い霧が吹いてきた。ミズキはついつい目を閉じたが、再び開けた時には先ほどまでのキャバクラ店に元通りとなっていた。


「「きゃぁぁぁ‼︎アイミー様ぁ‼︎流石ですぅ‼︎」」


 ハーフエルフたちはアイミーに駆け寄り、大声援を送っていた。ミズキはすっかり度肝を抜かれ、座り込んでしまった。ふと気になって窓から店の外を覗くと、バルゴがうつ伏せになって路上に倒れ込んでいた。どうやら気絶してしまっているようである。


「あのでっかいヘビはなんなんですか⁇」


「あれは私だ。あいつを店の外まで蹴り飛ばしたのも私だ。」


「な、なるほど。」


 このガキ、いや訂正しよう。この女とこの魔法、はっきり言ってめちゃくちゃである。だが、周りの女性たちにチヤホヤされる光景を見ても、ちっとも悔しいという感情は出てこなかった。むしろ今ミズキの心の中には、はっきりと称賛と尊敬の感情が現れていた。


(すごすぎる‼︎これが最高級の魔法、唯我魔法。俺も使ってみてぇぇ。)




22時


(素直にかっこいいと思った俺の気持ち返してくれ‼︎)


 ミズキは心の中でそう思った。アイミーのハーレム状態は相変わらず。しかもまだまだ引き上げる気はないらしい。再び、イライラの方が勝ってきた。


バタン‼︎


 入り口のドアを思いっきり開く音がした。また迷惑なタイプの客だろうか。


「いらっしゃいませ〜。ってお嬢さん⁇この店は未成年の女の子が1人で来るところじゃあ………。」


「その子は通していいわよ。サナちゃん久しぶり。アイミー様ならいつもの場所に居るわ。」


「やっぱりそうですか………‼︎ありがとうございます♪」


 足音が近づいてくる。どうやら新しくきた客は俺たちの中の誰かに用があるようだ。


「アイミーさん‼︎早くギルドに戻ってきてください‼︎また酔っ払った人同士でトラブルが起きて………。」


 そう言いながら入ってきたその声の主と、ミズキは目が合ってしまった。その瞬間、ミズキの思考は固まってしまう。なんと目の前にいる少女は日本の制服姿をしているのではないか。それもミズキにとっては最も馴染みの深い母校の制服である。


(こ、こいつを俺は知ってるぞ⁉︎)


 ミズキが何かを思い出したその時、相手の少女もこう呟いた。




「な、なんで先輩がここに⁇」

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