第1章 第19話 『P・P』
第1章 第19話 『P・P』
アイミーロックウルフ。
10連星と呼ばれるこの国のトップたちのうちの1人で、冒険者ギルドの代表を務めている人物である。見た目はタンクトップに短パン。髪色は黒と青の中間のような、灰色や藍色といった表現が合う色である。顔立ちは整っており中性的だ。
しかし、ここまでは良いのだが、問題は背丈である。誰から見ても小学校高学年から中学生の子どもにしか見えない。ハーフエルフキャバクラに来る道中でのアンドレアの発言から、どうやら実際は子どもではないらしいが、ミズキとしては生意気な短パン小僧といった印象しかない。
実はキャバクラにいる時も何度か話しかけられ、
「そんな子どもでこの国の代表なんて………。大変だよね。しくしく。」
と言ったりして冷やかしたりしていたのだが、本人どころか周りのハーフエルフの美人さん方からも睨まれたので、それ以上いじれなくなってしまったのである。
本当に生意気なクソガキだ。その時まではそう思っていた。
「唯我魔法……………。」
片足を机の上に乗せ、キセルを持ったアイミーはそう唱えると、キセルを咥えたのち、煙を吐き出した。
すると何が起きたか。あたり一面が一瞬にして大量の煙に覆われてしまった。あまりの風圧にミズキは顔を腕で覆う。
目を開けると、そこには信じられない景色が広がっていた。そこは霧と大木に包まれた森林の中だったのである。よく見たらさっきまで机に片膝をついていたアイミーが、地面から剥き出しになった大木の根の上に足を乗せていた。
『プロファンド・ピンクミラージュ(深遠なピンクの蜃気楼)。』
続いてアイミーはそう呟いた。この芸当はどうやらやつの仕業らしい。
「ちょっと‼︎何したんですか⁉︎ってえ………。」
ミズキは罵倒してやらうと思い、つたを掻い潜ってアイミーに近づいた。しかしそこで衝撃な光景を目にする。
「唯我魔法とは特定の才能を持った人にしか発動することのできない魔法だ。どんな能力かは人によって全く異なり、まさに魔法界における究極の奥義だ。私のはこのP・P。相手に蜃気楼を見せることができる。」
「あ、あの………それよりその姿………。それも幻なんですか⁇」
「あぁ。こっちが本当の姿で子供の姿の方が幻だ。」
そう。目の前にいるアイミーは普段とは全く異なった姿をしていた。まず最も大きな変化はアイミーが"大人の女性"にしか見えないということである。身長はおそらくミズキと同じくらいかそれ以上であろうか。また、タンクトップに短パンといったスタイルだったのが、それが今見るとホットパンツのようになっており、非常にセクシーな姿となっている。
「今からあのバカをこの店からつまみ出す。見ておけ。」




