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第1章 第13話 『10連星』

第1章 第13話 『10連星』




時は再び現在


ヴァニシウス暦601年2月18日1時12分



王都ラズシーマ

ラズベリー宮殿「玉座の間」



「それでは早速本日の議題に入りましょう。と言いたいところだが、約1名遅刻してきたものにその理由を聞くとしようかな。ラズシーマ王国防衛騎士団団長、アンドレア・ヴォルス殿。」


 ミズキは現在この国で1番場違いな場所に来ていた。そして左奥の貴族男の発言の後、その場にいる全員がミズキたちアンドレア一向に視線を向けた。

 何この状況⁉︎怖い怖い‼︎

 チラリと左右に目をやるとルイスはガクブルに震えており、カヤも強がってはいるのだろうが手が震えていた。


「これはこれは本日もご丁寧に紹介してくださり恐悦至極でございます。王都貴族院代表アーロン・ペテルブルク公爵。」


「貴様‼︎毎度毎度私をコケにしおって‼︎こうやって遅刻するのは何度目だ⁉︎」


「ぷぷぷ〜〜あの人また怒られてやんの〜‼︎」


 今度は右側に立っていたカラフルな髪色の義足女が話し出した。


「お前さんが言える立場じゃねぇだろリエーナ。」


 次は義足女の奥にいる体格のがっしりしたいかにも強そうでダンディ、そしてワイルドなおじさんが今リエーナと呼んだその義足女を宥めた。


「え〜。おじさん酷い‼︎リエーナポイント5ポイント没収です‼︎‼︎‼︎」


「そんなポイント持ってた覚えね〜よ‼︎」


「はぁ。ハンター組合はいつもやかましいな。粗暴で野蛮なお前たちのせいでただでさえ無益なこの会議の時間がいつも延びているというのをそろそろ自覚したらどうだ。」


 続々と周りの人間が言葉を発しはじめている。今度は右側の一番手前に立っていた短パン小僧が話しはじめた。見た目の割には随分大人びた話し方である。


「はぁ⁉︎冒険者ギルドのお前には言われたかね〜よ‼︎」


 こう返したのはさっきリエーナと呼ばれていた義足女だが、明らかに先ほどと別人のような発言である。まるで二重人格のような豹変ぶりだ。


「それからプリアフター地方のブルーリザードマンを必要以上に狩る行為を禁止しろと何度言ったらわかる⁇周辺の生き物の生態環境を破壊する気か⁇」


「だからブルーリザードマンなんて狩ってねぇって何度言ったらわかんだよ⁉︎あぁ⁉︎」


「まぁまぁ抑えてリエーナ。だがアイミー、ブルーリザードマンの狩猟に関しちゃ本当に俺たちじゃねぇ。信じてくれ。」


「ならあの大量の死骸は私の見間違いだとでも⁇」


「いい加減にしろ。これ以上余計な疑いかけてくんならたとえお前でも容赦しねえぞ。」


 何やらワイルド男と義足女の2人と短パン小僧の間には確執があるようだ。それからワイルド男は短パン小僧のことをアイミーと呼んでいたがあまり男性的な名前とはいえない。実は女の子とかそういうオチなのだろうか。


「キミたちは本当にくだらん言い争いが好きだな。忙しさで言ったら僕の方が100倍忙しいんだ。さっさと黙れ。」


 今度は左側の一番手前の白衣の男が話しはじめた。もはやこの場はメチャクチャである。


「魔導協会が忙しい⁇陰湿な連中がこそこそ怪しい実験をしてるだけだろう⁇」


 騎士団にハンター組合に冒険者ギルド、それに次は魔導協会ときたか‼︎なんだよこの国、異世界欲張りセットじゃね〜か‼︎ミズキは新情報の連続に振り落とされそうになっていた。


「キミ、魔導を愚弄したな。よし良いだろう‼︎一生魔法が使えないように………、」


「これこれ。もうよさんか。」


 ついに王が口を開き、その場は一瞬で沈黙へと舞い戻った。ように思えたが、


「全くもって国王陛下のおっしゃる通りだ‼︎貴様ら少しは反省というものを…、」


「元はと言えばペテルブルク、お主の発言がきっかけではなかったか⁇」


「へ⁇そうでした…かな……。も、申し訳ありませんでした。」


 こうして貴族の男が国王に謝罪する形でひとまずその場は収まった。1人、左奥から2番目にいる優しそうな貴族の男Bは、結局終始顔色を変えず、にこやかな表情のままだった。

 しかしミズキは、初めに話しはじめた貴族男の謝罪でその場が収まるとは思わなかった。本当に元を辿るなら遅刻してきた自分たちが悪かったはずである。

 するとアンドレアがこちらに振り向きニヤリと笑いながらウィンクをしてみせた。




 まさかこうなることが最初から読めていて貴族男Aを挑発するような発言をしたのだろうか。だとするとアンドレアとかいうこの男、只者ではない。そうミズキは理解した。

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