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第1章 第14話 『魔素減少問題』

第1章 第14話 『魔素減少問題』




2月18日13時20分



ラズベリー宮殿「玉座の間」



 一時はどうなることかと思ったが、再び議会が動き出した。先ほど同様ペテルブルク公爵とかいう貴族が司会を務めるようである。


「それでは今度こそ議題に入るぞ。まずは一つ目、魔素減少問題についてだが、現在この世界では魔法を使うものが年々増加し、それに伴い空気中の魔素が減少してきている。これは人間が魔素を取り込んでから魔法を放出した後に大気中に気化する魔素の量が減少してるからだと考えられており………」


 なんだか地球温暖化と近いものを感じるな。そんなことをミズキは思っていたが、


「いちいちそんな初歩的なことから入る必要があるのか?そんなこと誰でも知ってるだろう?」


 白衣の男がペテルブルクの説明を遮った。ミズキとしてはもう少し話を聞いていたかったのだが、


「まぁまぁシェリン、何事も一旦基礎から情報を整理し直すことは大事だぜ?」


 アンドレアが白衣男に説得を図った。そして白衣男の名前がシェリンということもここで判明した。そのシェリンの方はというと少し意外そうな表情を浮かべていた。


「きみもこのくだらない会議を早く終わらせたい立場だと思っていたんだがな。」


「そうだけどよ、たまには公爵様の顔も立てておかなきゃってな。また今度人体実験に付き合ってやるから今は黙っててくれ。」


「二言はないな‼︎アンドレアヴォルス‼︎」


 どうやら説得に成功したようだ。人体実験というヤバめな言葉に少し驚いたが、もうすでに色々怖いので詳細なことは聞かないでおこう。

 それからアンドレアが基本的な情報を執拗に聞きたがっているのはおそらく自分のためだとミズキは察していた。流石のミズキも他人の気遣いにはすぐに気づく。自分にこの場で様々な情報を得て貰いたいというのがアンドレアの今の考えなのだろう。


「オホン‼︎また私を馬鹿にした輩がいたような気もしたが、これ以上会議を延ばさぬよう今回は特別に不問としよう。それでは先程の続きだが、魔素減少問題により、4大国間の緊張はここ半世紀で過去最高のものになっている。先日西の国にスパイとして潜入させていたキエーザからの情報によると北の国からの侵略を受け、いくつかの州が占拠されてしまったらしい。その中には当然大量の魔素が溜まっている魔龍脈地帯もある。」


「そいつは知らなかったなぁ〜。」

「どの国も考えることは同じですね〜。」


 ハンター組合のワイルド男と義足女が続けて相槌を打った。そしてどうやらこの世界、ただ平和なだけの世界とは到底いえない状況のようだ。


「もちろん諸君も周知の通り、現在我が国も同等の緊張状態にある。過去に和平協定を結んだはずの隣国、東の国マカヤオ皇国に我が国の魔龍脈地帯であるゴッドストーン高原が奪われようとしている。国境では今も緊張状態が続いており、付近のバンフィルド村を始めいくつかの村が戦闘中の魔大砲の流れ弾に巻き込まれ、多くの罪もない村民が命を落としてしまった。また現在も故郷に帰れず、避難を余儀なくされている者もいる。」


 村に魔大砲の流れ弾⁉︎ミズキには心当たりがある。魔大砲というものが何かは知らないが火の海に包まれてしまっていた村なら知っている。

 そう。最初にこの世界に自分が降り立った場所である。

 今思い返せばあの時の自分の周りにできていた巨大なクレーター、あれは確実に自然なものではなく人工的なものである。そしてあのクレーターを中心として火が燃え広がっていた。

 あくまで予想の範疇の話だが、自分がその魔大砲の砲丸だったとでもいうのだろうか。


「防衛騎士団、さらに警備騎士団を加えてもこの問題には対処しきれない。よって他の団体にも応援を頼みたい。と、カータレットくんから要請が届いている。」


「ヨシュアが⁇俺が遊んでる間にだいぶ無理させてるみて〜だな〜。はっはっは〜。」


「「「笑い事じゃね〜よ‼︎」」」


 その場にいる者ほとんどがアンドレアにツッコミを入れた。もちろんミズキたち御一行に関してはそれどころではない。


「とにかく頼んだぞ貴様たち。じゃあ次の議題に移る。"大魔法の副産物"に対しての処遇だ。また自分は選ばれし勇者だ。などと戯言を宣い法に叛いたものが現れた。私としては今後"副産物"の人間にこの国を自由に歩かせていいものか疑問を感じている。」


「はいはい‼︎」


 突然アンドレアが大声を出し挙手をしだした。


「………なんだね⁇」


 ペテルブルク公爵はとてつもなく怪訝な顔をしながらも発言を促した。


「実は今回当事者を連れて参りました‼︎先程たまたま遭遇しました"大魔法の副産物"‼︎ミズキくんです‼︎」






「………は⁉︎」


 唐突に名前を呼ばれまたしてもミズキは情けないリアクションをするのであった。

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