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ダンジョンストリーマー!! 〜人気急上昇中のJK配信者はチート級に強い──なぜなら裏方の俺が暗躍しているから〜  作者: 杜 一樹
第15章 セブダンジョン

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98/137

98本目 ダンジョンには歴史的なものがあるんですなぁ〜ふむふむ〜?


「エリナ……大丈夫かな、泣いたりしてないかな……」


 天空遺跡、最上層。

 浮力の高い雲に囚われてしまった生野と庭白だったが、最後の天井を前にして雲が霧散したので抜け出すことができた。

 ここより高い場所には雲は形を維持できないのだろう。赤道付近の雲が存在できる限界高度は約18kmほどだが、ここはダンジョン。

 天空遺跡の最高度は目測3000m地点なので、自然科学は一切当てにならないだろう。


「…………」


 辿り着いた場所には、優しい陽の光に似た明かりが城内に差していた。

 洋城のキープ、日本版で言うところの天守閣は高校の体育館ぐらいには広かった。

 天井が崩壊した隙間と、等間隔に立つ柱との間からは、青い空と見せかけの太陽が見える。

 壁や床には宗教画らしき絵が描かれているが、擦れていて何も解読はできない。


「……あの」

「……………………」


 歴史的・文化的に価値のありそうな場所だが、二人はさほど興味がない。

 それよりも二人きりなことに、とても気まずく感じていた。

 マイマイチャンネルを通じてよくコラボするのだが、生野と庭白は直接会話したことがない。良くも悪くも仲がない、微妙な間柄。


(ぜ、全然目を合わせてくれない……あまり話したことないけど、どうやって協力したらいいんだろ)


 返事をくれないことに庭白もどうしたらいいか分からず、ずっと外を向いている。

 濡れた水着姿のままでは少し寒いのか、身体をさすりながら偽太陽光の下まで移動する。


「うぅ、エリナ……、早く降りないと……!」


 違った。ただただバディの野田に会いたくて震えていただけ。

 庭白が、柱間を通り抜けては飛び降りようとするので、生野は急いで引き留めた。


「ちょ、あの、あ、危ない……」

「うぅ……」


 二人ともコミュニケーション能力は高くない。

 庭白の行動は止められたが、会話もすぐ止まった。


(この人、ずっとバディのことしか話さないな……喋り辛い……。くそっ、松實め、私を一人置いていくなよっ……!)


 彼女もどっこいどっこいだった。



「あ、あのさ……あ、一緒に下、ね。その、道、あ、あの……」

「あの、落ち着いてください。ダンジョンで落ち着きを失うと命取りになりますよ……」


(身を投げようとしたおめぇに言われたくないわ! ……って言えない……! この人、バディいないとなんか冷たいな……てか、私達キ、キスまでした仲なのに……!? ちょっと、ひどくないかっ!?)


 アキハバラダンジョンでのことを思い出して悶える三昌には構わず、空をまた見上げる庭白。

 彼女は何かいることに気付く。


「えっ、鳥だ……」

「え? あ、ほんとだ。私、鳥苦手なんだよな……。何考えてるか分かんないし、特に鳩とか、あの首動かすのちょっと無理というか……」

「……こっち狙ってませんか……?」

「え? そう見えるだけじゃ……なんかでかくない?」


 空いた天井から見える空には大きな隼が周回していた。


 ……彼女たちは煙に巻かれて撒かれたのであの姿を知らない。

 隼が敵《ディーパー》であることに。


「っ! 来る……!」


 真っ直ぐ超高速で飛来するファルコを、生野の反応もあって二人は間一髪避ける。


「……避けたか。次は」


 ファルコはそこまで言うと、再び空へと舞い上がる。

 全員がそこまで喋るタイプじゃない。静かに戦闘が始まった。


「どうしよう。早く下に行かないと……」

「外は、ダメ。格好の餌食だ。狭いとこ逃げても、追い詰め、られる。だから、ここで仕留める」

「どうやってですか……?」

「私の宝具《レリクス》、双銃だ。一石二鳥で仕留めてやる」

「どちらかといえば、二石一鳥では……? それに、宝具《レリクス》はどこですか?」


 生野は自身の腰やお尻を叩き、手ぶらなことに気付く。


「……あ、小屋に忘れた」


 ファルコの突進に二人は口を噤んで、床に転がるように飛び込んでは逃げる他なかった。


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