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ダンジョンストリーマー!! 〜人気急上昇中のJK配信者はチート級に強い──なぜなら裏方の俺が暗躍しているから〜  作者: 杜 一樹
第13章 アキハバラダンジョン

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81本目 リベンジリベンジ!諦めなければなんでもできるよ!!


「授業を続けよう。人類は生まれながらにして不平等だ。性別、国籍、貧富、健康、環境、そしてどの親元に生まれるか……子供達は常に危険に晒され、争いにかけられ、道具として扱われ、そしてまた醜い大人《かがいしゃ》へと変貌し、新しい子供《ひがいしゃ》を作る。人間の、動物の本能に従ってだ。いや、これすらも平等ではないか」

「…………」

「ただ、人類が唯一平等に与えられたものがある。何か分かるかな?」

「……死、ですか」

「模範的な間違いだね。答えは〝不平等〟だ。問題文をきちんと読んだ方がいい。最初に提示しているよ」


 ずっと意見をねじ伏せられた気がして嫌な気持ちになる。

 だが、これが洗脳能力の効かない模倣者《イミテーター》へのやり口なのだろう。

 庭白から野田《バディ》を奪い、質問に答えさせては否定して、彼が正しいと思っている答えに誘導させる。それの繰り返し。

 これも一種の洗脳方法。手口は分かるはずなのに、それでも言葉につい聞き入ってしまう。


「この世は死すらも不平等だ。金がなければ病気で死ぬ。戦争が起これば戦おうが逃げようが殺される。死期や死に方は一部の人間にしか選べない──だが、君はその権利を完全放棄した存在なのだよ」


 通路を曲がったところで、藤岡は胸元に付けたピンマイク型の宝具《レリクス》に指示を出す。

 すると、彼がいる方向から吹く突風が、庭白を壁に叩きつけた。


「先程の戦闘、観察させてもらった。君があの人間に人工呼吸を施してから、明らかに彼女の能力は向上した」


 藤岡は倒れた庭白の首を掴み上げ、じっくりと見つめた。


「ぅぐっ!」

「他者を強化するその能力は、本来持っていたものか、新人類へと進化した暁か。一時的か、永続的か。ならば、あの女をもう少し観察してもいいか。殺さずに置き捨ててよかった。そして、発動方法はやはり粘膜による接触か──」


(逃げて、エリナ……!)


 ただの実験対象として分析し続ける藤岡に抵抗できず、庭白は彼女のことを想い続けていた。

 が、願いは果たされない。


「──待ちにゃさいよ!!」


 劈く脳内信号に耐えながら、野田が追いかけてきてしまった。


「エリナ……!」

「ふむ、妙だな。私の洗脳は完璧だった。空白の人形に成り果てたはず。これも彼女の能力の一端か……」

「にゃに、ごちゃごちゃ言ってんのよ……。アタシが、リリナを忘れるわけにゃいでしょーが……。そう、お願いされたんだから……アンタ如きににゃにされたとしても、ずっとずーっと覚えてるに決まってるでしょ!」


 野田エリナは嫌な記憶を忘れられない怨呪《ダンジョンカース》に罹患している。

 彼女は楽しい時も辛い時も、どんな記憶から辿ろうとも、共に過ごした庭白リリナを忘れることはない。


「逃げてよエリナ!」


 また会えたこと。そして、洗脳されようとも自分を忘れずにいてくれることが何よりも嬉しい。

 しかし、このままでは彼女は殺される。


「わたしはいいから、早く遠くに……!」

「にゃにバカなこと言ってんのよ。置いて帰るわけにゃいでしょーが」

「でも、勝てないよ……もうボロボロなのに、このままじゃ、本当に死んじゃうよ!」

「ここで逃げるくらいにゃら死んだ方がマシよ! ……あんたがずっと一緒にいよって言ったんでしょ。こいつが強いからとか関係にゃい。そんにゃ奴、蹴飛ばして帰ってきにゃさいよ! あんたはアタシの親友でバディでしょ!!」


 相手を想っていたのは自分だけじゃない。

 野田もまた、命懸けで庭白を守りたいと願っていた。


「くだらない。感情にどれだけ浸っていようとも、君達に死を選ぶ権利などないのですよ」

「「──そ・れ・はぁ〜……おまえもだぁ!!」」


 頭上から聴こえた二つの声に藤岡が振り返り見上げると、死んだはずの松實と生野が上空から攻撃を仕掛けて来ていた。

 だが、また藤岡に軽く避けられてしまう。


「あー! また避けられた〜!」

「ちょっと! リリナに当たるところだったでしょうが!!」


 野田が二人に結構本気で注意する。

 ただ、藤岡を引き離すことはできたので、それは良しとする。


「えっ……!? その怪我大丈夫ですか……!?」


 松實が頭に銃痕、生野が胸と腹に刺し傷を負う大量出血。助っ人に来たはずの二人が誰よりもボロボロだった。


「平気平気〜。しょーのちゃんにワタシが殺されるわけないもーん」

「はぁ!? もう一回ぶち抜くぞ!?」

「あー、頭が洗われた気がするな〜。夜なのに全然眠くなーい! めっちゃスッキリ〜! いぇーい!」

「うるせぇ!!」


 生野は松實を洗脳から解くために、本当に頭を吹っ飛ばして、血で脳を洗い流した。

 無謀な作戦を狙ったのか、あるいは偶然なのか、はたまたハイになって本気で殺す気だったのかは分からないが、彼女曰く「松實ならバカだから死なないでしょ」と変な信頼をしていた。

 そして松實も……もちろんちゃんと洗脳されていたので、本気で生野を殺そうとはしてた。

 なので、ここに来る道中も幼稚な喧嘩はした。

 だが、今を生きる二人の目的は同じだ。


「今度はお前の頭を吹っ飛ばしてやんよ!!」

「リベンジマ〜ッチ!」


「……半(・)端(・)者(・)が。しかし、興味深い。魔晶石《アルカネストーン》を組み込まれた人間に回復しなくともここまで生命力があるとは。十分に研究サンプルとなりましたよ」

「シンプルに何言ってるかわかんなーい」

「構いませんよ。馬鹿に話を合わせるのは疲れましたから──宝具《レリクス》:ラベリアマイク──〈シュバルツシルト〉」


 藤岡が広げた手のひら一点に向かって、全方向から風が吹き集まる。

 松實が地面に双剣を刺すと、生野は彼女の両脚に掴まる。

 野田は庭白を抱き寄せたのちに壁の突起に掴まった。


「ふぎぎー! 落ちる〜!! しょーのちゃんおもーい!」

「しばくぞおまえ!!」


 風の終着点に吸い寄せられる。重力が傾いたみたいに全員の体が浮いた。


「クソが!!」


 生野が片手で銃を乱射するも、透明な弾丸も一点に吸い込まれて消えた。


「このままじゃ全員やられちゃう……リリナ、あんた一人で掴まってられるよね。アタシがあの男にギリギリまで近付いて首を掻き切ってやる」

「ダメだよエリナ! 危ないよ!!」

「でも!」


「解答時間は与えませんよ」

「「っ!?」」


 藤岡が左手を振るい、鎌鼬を飛ばす。

 庭白はこれくらいで死にはしない。人間の方はもういらない。

 今度こそ首を刎ね飛ばすつもりで遠慮なく放った。



「ぐっ……──あれ……っ!? アンタ!?」


 吹き荒れる嵐の中、平然と立っている者がいた。

 彼女たちを風の斬撃から身をもって守ったため、左腕から血が流れるも、軽傷に過ぎない。


「……ヨナグニダンジョンの模倣者《イミテーター》か」

「あんた、吾妻の担任の……。そうか、残りのS級の模倣者《イミテーター》、紫草だな。色々と聞き出したいことはあるが、自己紹介がまだだったか。東亮だ。妹が世話になっていた、設定かな」

「授業妨害ですよ。なぜあなたがここに」

「そうよ! マイマイは大丈夫なの!?」


 野田の心配の声は当然である。


「ああ、大丈夫だ。信じろって言われたから」


 だが、誰よりも心配するはずの東の言葉に、みんなは納得し安堵した。


「……はぁ、アキハバラダンジョンの模倣者《イミテーター》はまだ子供ですね。感情に任せて作戦を無視しましたか。なんとワガママで我が強くて協調性がないのでしょう。だから嫌いなんだ問題児は」

「先生も大変だな、同情してやるよ」


 風は止み、野田たちは地面に落ちる。


「またレリクス貸してあげる〜!」

「ちゃんと返せよっ!!」


 葬倉と対峙した時と同じように、一刀一銃で藤岡に挑む。東は宝具《レリクス》の力を解放した。


「面談を頼むよ。藤岡先生」

「……過保護が」

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