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ダンジョンストリーマー!! 〜人気急上昇中のJK配信者はチート級に強い──なぜなら裏方の俺が暗躍しているから〜  作者: 杜 一樹
第13章 アキハバラダンジョン

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75本目 逆境こそチャンス!逆境だぁー!!


「なぁ、なんでお嬢様ソロなん? そろそろ荷が重いことに気付いたやろ。苦い抹茶飲んだ顔してきてるで〜」


 来海はハザマに対し、圧倒的な劣勢を強いられていた。

 宝具《レリクス》の相性自体は水と火で、来海に軍配が上がるはず。

 しかし、模倣者《イミテーター》による宝具《レリクス》使用は、本来よりも数段階も力を引き出せるため、来海が放った攻撃は全て蒸発させられてしまった。


「わたくし、苦いお抹茶も大好きですの……」

「そかそか。なら、その脚、もう立てなくなるまで折り続けようか。ワシからの出血大サービスや。いつでも土下座で茶がしばけるな」

「……体のどこを折られましても、わたくし心だけは……」

「──〝白湯華〟」

「……っ」

「お嬢様狙ってるやろ? きっとマイマイのマネージャーから聞いてるやろーなぁーって思ってな。付き人の呪い解きたいもんなぁ〜」


 煽りに乗らぬよう、来海は口を噤む。


「いやー! 悪いな! お嬢様みたいな金持ちやったら高値で売り付けたらよかったわー! もういらん思って全部燃やしてもうた。全国の白湯華をぜーんぶな」


 来海たちはハコネダンジョン以降も、多くの温泉地にあるダンジョンを巡った。

 しかし、白湯華は一輪も見当たらず、場所によっては焼け野原が広がっていた場所もあった。


「だから怪我しても治る、なんて簡単に思わん方がええで。普通失ったもんは戻ることなんてないからなぁ」

「そう、ですか……」

「あー、次はいつ咲くんやろなー。まず咲くんやろか? さくっと新しいの咲くといいんやけどな! ハハハハハッ!!」

「黙りなさい」


 来海は流した涙を宝具《レリクス》の力でハザマに飛ばす。

 しかし、これも届かず蒸発してしまう。


「貴方の言葉が耳障りですわ。ちっとも面白くないですもの」

「……。それは聞き手のセンスがないだけやで。扇子持ってるだけで満足しとったか? ──〈莫迦発火《ばかはっか》〉」


 来海は宝具《レリクス》で自身の体を涙で覆うも、しつこく炎が彼(・)女(・)の(・)口(・)から吐き出ては包み込んでいく。


「あぁっ……!!」


 痛みと暑さに耐えきれず、口を開けば再び炎に焼かれる。


「ほな、笑い死んでもらおか」




   ◇ ◇ ◇



「ぐっ、かはっ……!」


 追い込まれていたのは、来海だけじゃない。

 野田もまた、逝来に水の触手で首を掴まれ、吊し上げられていた。


「ほんと何でワタクシの元に寄越したのが、こんなブスでザコなのかしら。マイマイが良かったのに……マイマイが良かったのに!!」

「……ふんっ……上から見てもアンタブスね。全角度ブス」

「黙りなさい格下がぁ。わたくしはS級の模倣者《イミテーター》よ。マイマイに纏わりつくから、あなたのことは細かくしつこく調べて全部知っているわよ。B級探索者(シーカー)なんでしょ? ザコでブスなんて救いようないわね。もっと自分磨きしてからの方がいいのでは? ワタクシが保湿してあげるわ」


 首を掴む水の触手が広がり、野田の顔を覆う。


「……んんっ!!」

「エリナ!」


 溺れゆく野田の姿に耐えられず、庭白は飛び出した。


「あらぁ、そのまま隠れてたらよかったのに。D級のザコが。そもそも人間が定めた指標に従うのは嫌ですけど。ワタクシがSS級ならまだしも、あ(・)ん(・)な(・)小(・)娘(・)がSS級? 信じられないわ。ねぇ? そう思わない?」


 別の触手が庭白を瞬時に捕らえる。


「あはは、ワタクシ心も綺麗だから一緒に沈めてあげる……〈|Iknowyoulockup《アイノユリカゴ》〉」


 二人は同じ水塊の中に取り込まれる。


(エリ、ナ……)


 もう意識を失った野田に手を伸ばそうとするも届かない。

 庭白もまた、徐々に視界が暗くなっていった──



   ◇ ◇ ◇



「……しんどい」


 S級探索者(シーカー)である猛李王は深手を負ってはおらずとも、葬倉を攻め崩すことはできず苦戦していた。

 固く、時には柔らかく流される砂の攻防に、大剣一本では歯が立たなかった。


「ははっ! 私とここまで張り合うなんて、ただの人間にしてはやる、だよね!」


 口ではこう言うが、実際、葬倉には余裕がまだまだあった。

 相手を見下し、新人探索者(シーカー)たちをいくらでも葬ってきた男。同じS級の肩書きであっても、人間では敵わない。


「あぁ……そろそろ終わりにしよう。むさいおっさんが映った動画なんて伸びない、だよね!」

「……お前のその伸びた鼻を斬り捨ててやる」



   ◇ ◇ ◇



「しぶといなぁ〜。頑丈お嬢様やん」


 肌が焼け焦げようとも、服が焦げ落ちようとも、宝具《レリクス》の扇子を握り締めて、来海が崩れ落ちることはなかった。


「ハハッ、もう涙は枯れ果てたか?」

「……ええ、泣かずとも倒して見せます。勝つまでは」

「それが辞世の句か。やっぱセンスないんちゃう? ほな、さいなら」


 ハザマがトドメを刺そうと、炎に包んだサンパチマイクを振り上げた──



「────ぐっ!? これは……」

「……ふふっ、待ち侘びましたわ」

「はぁはぁ……はぁ……? ワシが……攻(・)略(・)さ(・)れ(・)た(・)……!?」



   ◇ ◇ ◇



「ブンブーン、ハローNewTube。どもカイキンです。今回は、ババン【いきなりセンダイダンジョン攻略してみたー】」


 センダイダンジョン最深部。

 四皇に名を連ねる男、カイキンがS級ダンジョンの攻略に乗り込んだ。


 それだけじゃない。


「どもーおわりん部長です!」


「やぁどうも、東海オフレコの──」


「meatman's(ミートマンズ)!」


 ヒロシマダンジョンにおわりん部長が。ウメダダンジョンには東海オフレコ、トットリダンジョンにはmeatman's(ミートマンズ)の6人グループが同時に挑んでいたのだ。



『お嬢様。私達も現在、他の探索者《シーカー》様方とハカタダンジョンを攻略中でございます』

「ふふっ……【観ておりますわよ。引き続き攻略をお願いいたしますわ】」

『かしこまりました』


〝【緊急事態】葵お嬢様が風邪引いたので、付き人だけでS級ダンジョン攻略いたします〟の動画が来海のチャンネルで生配信されていた。

 来海は付き人の鈴鹿たちに、スマホから激励のコメントを送った。


「……はぁはぁ、ハハッ……随分余生が長いやないか……。動画観とってもワシは看取ってやらへんで」

「あら、看取られるのは貴方の方では? S級……いえ、もうB級さんかしら。さすが四皇の方はスケジュールに追われてますから、お仕事を巻くのが早いですわね」


 人気NewTuberの仕事を押さえるなら数週間数ヶ月前は当たり前だ。

 10月31日に何が起きても大丈夫なように、武崎大臣は即座に四皇たちのスケジュールを無理言って押さえてもらっていたのだ。

 それを聞いた東が、全国のS級ダンジョンを一斉に攻略するよう依頼した。


 現在のS級ダンジョンは──SS級よりも少ないが──6つ該当する。

 センダイ、ウメダ、キョウト、トットリ、ヒロシマ、ハカタに、四皇や厳選された探索者《シーカー》、探究省職員が分かれる大規模な作戦が秘密裏に行われた。


(あ(・)い(・)つ(・)、手が回らないから攻略までは行われないとワシらに嘘ついたな……!? 裏切りか……何が狙いやっ……!!)


「模倣者《イミテーター》はダンジョンの攻略進度によって、強さが変わる……さて、辞世の句を詠みますか?」

「……ふざけんな。詠むわけにはいかんわ!!」

「字足らずですわ」

「お嬢様くらい、攻略されたワシでも……ぅぐっ!? なんやこれ、あぁっ……」

「何事かしら……!?」


 ハザマは強く響く頭を押さえて、悶え苦しんでいた。

 それは、葬倉と逝来にも同じような現象が起きていた。


「あぁ……何や、この記憶ぅっ……!?」


 蘇るは彼の昔の思い出。

 ──死に至るまでの濁った記憶である。


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