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ダンジョンストリーマー!! 〜人気急上昇中のJK配信者はチート級に強い──なぜなら裏方の俺が暗躍しているから〜  作者: 杜 一樹
第21章 ドウゴダンジョン

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138/140

138本目 今年のトレンド水着を紹介しちゃうよ〜。もう今年終わるけどねっ!?


『アオイお嬢様が先に108体を撃破したとのことで、この勝負アオイお嬢様の勝ちでございます』


 しばらくして。水着メイドとなった鈴鹿により企画の勝敗が言い渡された。

 結果としては3体差。あそこで舞梨が崖下に滑り落ちなかったら勝っていたのはこちらだった。

『むー!』と悔しがる舞梨だったが、最後は仲良く来海と動画を締める。


『じゃあ次は、23時45分から年越し生配信! また8時間後だねー』

『その時はわたくしもご一緒いたしますわ』

『やったー! じゃあ、それまで〜』

『『おつマイリ〜!』』


 大晦日で暇を持て余している人も多いからか、同接数は150万人を超えていた。数字が常に大きいからもはやその凄さが分からなくて感覚が麻痺してきたな。



「あら? そちらの方は……」

「さっき出会ったソラちゃんだよ! あれ? ソラくん、だっけ?」

「どっちでもいいですよ」


 彼は石川空右衛門《いしかわ そらえもん》。変わった名だが、本名だ。

 男の中の男になって欲しいと昔ながらの昭和親父に堅苦しい名付けられたらしいが、願いとは裏腹に可愛い男の娘へと成長した。声色も高く透き通っているから、男性だと言っても半ば信じてもらえなさそうだ。


「ええ。存じ上げております。青空温泉のソラさんですものね。いつも動画を拝見しておりますわ」


 以前、ハコネダンジョンで秘湯を来海から教えてもらったが、その情報元となるのが温泉系NewTuberの石川によるものだった。


「あのアオイ嬢が観てくれるなんて光栄です」

「ふふ、わたくし温泉好きなので。えっと、でも男性だったのですね。わたくしも女性かと思っていましたわ」

「ボクも最初は温泉紹介してただけなんですけど……ある時、顔を隠して入浴シーンを公開したらちょっとバズって……」


 よくある話だな。

 全く同じ内容の動画でも、出演者がおじさんと若くて可愛い女性とでは再生回数に天と地の差がある。

 それに味を占め、承認欲求を満たされるために肌を晒していく。それはもう止まれないところまで。

 男でも女性のフリをして配信している人は他にいくらでもいる。化粧や編集、最近ではAI加工でどうとでもなるしな。


 このように同じ途を辿って欲しくなくて舞梨には口酸っぱく伝えてきた。もちろん、このやり方を真っ向から否定しているわけではない。これはただの俺のワガママだ。

 現にそんなことしなくても彼女は人気者になれたじゃないか。可愛くて面白くて、見ていると元気になれる最高のダンジョンストリーマーに。

 ……今、水着姿だけど。


「ソラちゃんも今日はもしかして年越し生配信しにきたの〜?」

「うにゅ〜」


 舞梨はヒンヤリボディのスライム姿になったオーデュイをモチモチギュッとして、火照った体から熱を奪いつつ石川に質問する。


「それもそうですけど、今日は噂を確かめに来たんです。──白湯華がドウゴダンジョンで再び自生したっていう」

「それは真《まこと》ですか!?」


 その宝具《レリクス》の名に来海が強く反応する。

 白湯華とはどんな怪我や病気でも治してしまう白い花──彼女たちがずっと探し求めていた宝具《レリクス》だ。

 しかし、狭間によって全て摘み取られるか燃やされたと聞いていたが……。

 そもそも宝具《レリクス》は同じものが二つとしてないが、何故かこの種のみ複数存在する。しかもまた生まれたと……これだけ他と違うのは何か理由があるのか?


「葵ちゃん探しに行こうよ! もしかしたらメイドさんたちのケガが治るかもよ!」

「そうですわね。しかし、ドウゴダンジョンの様々な場所を訪ねましたが、白湯華どころか植物すら生えそうなところなんて──」

「葵お嬢様。私めたちのために無理する必要はありません」


 鈴鹿、そして猪俣と蝶野は並び、来海を引き止める。


「先ほどの疲れも残っておりますし、まだ深夜の配信スケジュールもあります。信憑性の低い噂より、まずはゆっくり旅館に戻り休まれては──」

「いえ、そうはいきません。優見たちの怨呪《ダンジョンカース》を治せるかもしれない唯一の方法を……微かな希望がある限りわたくしは行かなければならないのです……!」


 付き人たちの制止を振り切って、来海はダンジョンの奥へと走り向かった。


「あぁ、葵お嬢様!」

「葵お嬢様は相も変わらず思い立ったらすぐ行動される方だ。その行動力はさすがでございますが、追いかけねば」


 すると、舞梨はオーデュイを抱えたまま同じように走り出す。


「あ、おい!」

「だいじょぶ! わたしたちが配信までには連れ戻すよー! オーデュイ、白湯華見つけにいこ!」

「うん!」


 舞梨たちも忠告を無視して、一瞬にして煙の中に消えてしまった。しかも白湯華探す気満々じゃねぇか。


「あのぉ、ボク余計なこと言ってしまいましたか……?」

「いえ、いつものことなのでお気にならさず。では俺たちも追いかけましょう」


 大晦日になっても、舞梨に振り回される日々。

 今となってはそれが楽しかったりするのは、バディとしては不合格だろうな。


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