124本目 メリークリスマス!!♡クリスマス女子会開催♡
『『『メリークリスマス!!』』』
12月25日、12時15分。
配信トラブルで予定開始時間の正午から少し遅れて、生配信が始まった。
以前も言った通り、スタッフにはオーデュイ、庭白、鈴鹿(料理は蝶野が作ったものだが)の女性のみと、男性禁制のクリスマス女子会である。
ちなみにもう一人、新たに松實と生野のバディとなった人も裏方として参加している。
「……はじめまして? ケホッ。この度松實・生野探索官のサポートを? することとなりました黒田侑七と申します……? ゴホッゴホッ! よろしくお願いします?」
──ファンフェストの最終リハ中、舞台横でスーツ姿の女性と挨拶をした。
マスク着用。おでこには冷感シートと、明らかに体調が悪そうだった。
「マイマイのバディをしてます。東亮です。……あの、大丈夫ですか?」
「ええ。お気になさらず? ゲホッ、体調不良が続く怨呪にかかりまして……? もう十年も前のことですし、これで慣れてるので大丈ブハッ! ゲホッ、ゴホゴホゴボッ!?」
気にするわ。あと、さっきから疑問符が頭の上に見えるのだが……。
松實たちの顔出しは【中身までかわいい!】と反響を呼び、色々と仕事が激増したために探求省が新しく就任させたみたいだ。
もちろん、二人が政府の人間であることだけは未公表だが、多分彼女たちの性格上、言われても世間は信じない。
佐藤から色々と引き継ぎされているらしいが……
「そういえば佐藤さんは?」
「ゴホッ、入院しました?」
「……原因は?」
「過労です?」
ああ……だろうな。
普段から3倍の仕事量。SS級模倣者によるテロの発生。人員も減った中、そんだけの量を対応していたらそりゃ倒れるか。
……俺が会ったことある人も襲撃に遭い、亡くなったと聞く。
アキハバラダンジョンやこのテロを経て、世間に明るみになった模倣者に対しての意見は二分している。
魔物と同じく討伐するべきだとか、人権を担保することが彼らの目的なんだと同情する意見。とりあえず国に責任を擦りつける者もいる。
まだマイマイのバディである俺がヨナグニダンジョンの模倣者だとバレていないが、それも時間の問題だ。
どうすれば吾妻に悪影響を及ばないのか……考えに考え抜いた結果──
『──じゃーん! アオイ嬢! ちょっと遅れたけどお誕生日おめでとー!』
現在生配信はプレゼント交換会から、12月23日が誕生日の来海葵へのサプライズプレゼント会に変わっていた。
吾妻は、来海が大好きな抹茶をモチーフとしたキャラのモチモチぬいぐるみをプレゼントした。自分も欲しくてお揃いに2個買っている。加えて、本物の高級抹茶よくばりセットも一緒に渡した。
「──すみません、わざわざ僕のお見舞いだなんて……いいんですか、生配信の方は?」
「ええ。完全女子会にはバディの私も行けませんから。オーデュイが全てやってくれますし、他の方々もいらっしゃいますから」
俺は約束までの空き時間、ようやく佐藤の元に見舞いに行けた。
「そうですね。松實たちが問題起こさなければいいのですが……」と、過労で倒れたにも関わらず、サイドテーブルには書類が山積み。そのうえでベッドの上から彼女たちを心配していた。
「それと……猛李王さんもありがとうございます。まさか来てくださるとは……」
「……構わない……今日は何があっても大丈夫なようフリーだからな」
赤色のニットと暗い紅色のズボンを着た猛李王さんは、大きな白い袋に入れて見えないようにしているが、大剣を携えていることが分かる。
不測の事態に備えて、変わり果てた東京の街を巡回しているのだろう。さすがです。
「大人な御二方に尋ねたいことがあるのですが……クリスマスに二人で会えばそれはデートですか」
「っ!? ……当然だ……!!」
「そんなもの、ねぇ!? 相手は吾妻さんですか。ですよね!? そうであってください!」
佐藤も猛李王さんも思ったより食いつきの良い返事をした。
彼らはS級探索者まで上り詰めたことのある実力者だ。きっと、今も昔もモテているに違いない。
「女性の取り扱いに心得ているお二人にお聞きしたいのですが……」
「ナチュラルに煽ってます?」
「ぴえん」
「──相手を傷付けず、断る方法がありますか」
俺は……吾妻に告白されても付き合う、という選択肢を取らないことを決めた。




