115本目 とっておきの魔法で、キラキラのパーク体験を!
「モフモフ‼︎ イイオトナダ!」
吾妻、改めチビマイリはモフモフのぬいぐるみで簡単に籠絡した。
「スヤァ…」とすぐに眠りについたし、それに釣られてチビエリナもチビアオイも寄り添って寝てしまった。
寝る子は育つ。だから小さい子供はよく寝る。
寝ているチビエリナの頭を庭白はそっと撫でて「この子はうちで育てます」と一筋の涙を流しながら喋っているが、一旦無視しておこう。
「責任者の方を連れて参りました」
鈴鹿はGolgle社日本支部NewTube担当。今回のNewTubeFest責任者の池永純香を連れて来た。
「いっけね、やっちまいました」
随分軽いな、おい。
彼女は大型イベントを取り仕切る者ではあるが、結構抜けてることが多くてミスが多い。過去の案件で何度か一緒に仕事していてもそう思う。吾妻を推薦したのも彼女によるものだ。
まぁ、人望はあるので周りが何とかしてくれる。というより、手伝いという名目で勝手に色々と動いてくれてるので、今までも上手く行ってきた人だ。
──ちなみに彼女は引退したダンジョンストリーマー……元A級探索者だ。
ダンジョン黎明期の非公式ランキングでは最高4位にランクインするほどの実力者でもあり──武崎に並ぶ、元四皇の称号を手にしていた。
現在は一線を退き、こうして次世代の支援と育成を手掛けている。
「すみません〜。これはわたしのミスですね。ミスミス。でも安心してください。実はちゃんと戻る方法があるんですよ」
「罰ゲームとして使いますからね。そりゃ、あるでしょうよ」
「確かにそうですね。じゃあ、ミスと伝えなくて良かったか。ミスミス」
「で、どうすればいいんですか」と、俺が問いただすと、池永はグッと親指を立ててこう言った。
「満足するまで全力で遊ぶこと!」
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「ワァ…ネズミーランドダー‼︎」
現実から乖離された世界──夢の国ネズミーランド。
世界的人気のネズミーとその仲間達。そして、多くのネズミー映画の世界がこの遊園地には広がっている。
先のアキハバラダンジョンの影響で、安全と点検のためしばらく閉園していたが、つい先週営業が再開された。
起きたチビマイリたちに何して遊びたいか聞いたところ「「「ネズミーランド‼︎」」」と即刻返事。
高速を使えば車で20分ほどで行ける距離だったので、要望に応えることにした。
この願いが果たせれば元に戻る、かもしれない。
リハーサルもまだ何も終わっていない。明日には他の演者も参加するし、明後日は本番だ。早々に満足させないとだな……。
「では東様、庭白様、オーデュイ様。葵お嬢様をどうかよろしくお願い致します」
来海の付き人たちは、いつ三人が戻っても大丈夫なように他の準備を全て進行してもらうことになった。
あの人たちなら大丈夫だ。本当に頭が上がらない。
「エリナ、私から離れちゃダメだよ」
「フン! イワレナクテモワカッテルワヨ!」
「かわいい……」
庭白は自分のバディと手を繋ぎ、もう片方の手でずっと動画を撮り続ける。
プライベート用らしいが、野田にとっての黒歴史になるな、これ。
「葵嬢はどこに行きたいー?」
「…アルクトコ」
そうか。来海の3歳の時の記憶では、白湯華を使う遥か前、まだ歩けない状態だったか。
混乱しているだろうが、自由に動けることに喜びを感じているんだろう。来海の方がオーデュイの手を引いて、その場をクルクル歩いていた。
そして、吾妻担当の俺は彼女を肩車していた。
「アソコー! ネズミープリンセス! ナリタイ-‼︎」
と、俺の髪を引っ張って入園口近くの店を指す。
ネズミープリンセスのドレスを着た女の子が店内から出て来た。きっとあの店で憧れのプリンセスに変身して、園内を巡ろうというものだ。
今のこの子達にはほとんどのアトラクションには乗れないため、こういったもので彼女たちを満足させるしかない。
結構高額だが、人気ダンジョンストリーマーの収入からしたら、雀の涙だ。俺たちはその店に入って、三人のプリンセスドレスを選ぶことにした。




