114本目 ロリロリ神降臨⭐︎ドカーン!!
「吾妻さん! ……ん?」
到着したのは、別に事件性の感じられない、三人の可愛らしい幼児がいるだけの至って普通のメイクルーム。
……ん? 幼児?
どこか見覚えのある子達ばかりなんだが……。
「東様。その……葵お嬢様とえりにゃん様。そして、マイマイ様が幼児化いたしました」
「……はい?」
本番で着る予定だったのだろう衣装に埋もれて、ポカンとしている三人。
……いや、どういうことだ!?
「どうやら、これが原因のようです」
猪俣が差し出したのは、お香型の宝具。
蓋が開いた状態で床に落ちていた宝具と幼児化した三人を、トイレから帰って来た担当メイクさんが発見した。
この宝具はどうやら本番で罰ゲームとして使う予定だったものらしい。
まだ準備中だから、この宝具が入っていた段ボールごと一旦ここに置いてあったらしい。管理が杜撰過ぎるだろ。
まぁ、今日のリハーサルは限られたスタッフしかいない。そこまで手が回らなかったのだろう。メイクさんも吾妻たち三人を一人にお願いしているわけだし。
それよりも、置いてあった宝具に勝手に触る吾妻が悪い。どうせ、犯人はこいつだ。
「お嬢様方! こちらの衣装をお借りすることができました!」
鈴鹿と蝶野が探して持ってきてくれた幼児サイズの衣装。幼稚園や保育園とかで着るスモックだ。
それを、庭白とオーデュイの女性陣が三人に着せてあげる。
これらもその時の罰ゲーム用衣装として用意されていたものだ。
「葵お嬢様。見えておりませんが、とてもお似合いですよ」
「…ダァレ? ウェェン‼︎ シラナイ-! コワイ-‼︎」
大の大人に囲まれてしまった来海は突然号泣し始めた。
オロオロとする付き人たち。
どうやら見た目だけじゃなく、知能までもが3歳児レベルに戻ってしまったようだ。
「私達は葵お嬢様が6歳の時から仕えております。もしかすると、記憶も逆行してしまったかもしれないですね……」
「エリナは私のことを覚えてないの!?」
「ハ? ナンデナマエシッテンノヨ。トニカク、キヤスクヨバナイデクレル!?」
「うぅ、そんなエリナ……カワイイー!!」
「ナンデヨ⁉︎ カタッ⁉︎」
野田をギュッと抱き締める庭白。
まぁ、そうなると思っていたが、体格差ありすぎて野田が潰れている。
「あぁ、ダメ……! 丸かじりしたく、したくなっちゃう……!」
「ニャー! ハニャシニャサーイ‼︎」
庭白、こっわ。我が子を食らうサトゥルヌスみたいになってる。
前脚をピンとして猫吸いをしてくる飼い主を拒む猫みたく、野田も拒絶を示すも3歳の力では抗えず。
二人ともみんなと出会う前だから、知らないことになってるな。つまり吾妻も……ん?
彼女は急に俺の足に抱きついてきた。
そして、こっちを見上げる。
「ンー。ナンカスキ~」
「──東様。お気を確かに」
「……っ!? 俺は何を……」
「いいですか、落ち着いて聞いてください。吾妻様の可愛さに、9分程立ったまま気絶されておりました」
「そ、そうか……恐ろしい宝具だ」
「ええ、全くです」
3歳児になってしまう宝具──これが使用されれば、戦闘不可能となり無条件に降伏せざるを得ない。
……俺たちの方じゃないぞ。子供にされたら戦えないだろ。
さっきまで足元にいた吾妻は、俺が気を失っている間に野田と来海と合流し、何やらこそこそと話している。
そして、段取りが決まったのか、急に名乗り始めた。
「ワタシハ、チビマイリ!」
「アタシハ、チビエリナ」
「ワタシハ…チビアオイ…グスッ」
「オトナノヒトタチ! コドモダカラッテナメテタラ、イタイヨ‼︎」
3歳以降の記憶は三人とも持ち合わせていないから、俺たちを誘拐犯か何かと間違えているのだろう。
「ワタシタチサイキョウダヨ! マケナイゾ-‼︎」
今までで戦った魔物や模倣者よりも遥かに強い。過去最強の敵が現れてしまったみたいだ。
とりあえず早く元に戻す方法を探さないと……彼女たち相手に、どうしたらいいのか見当もつかなかった。




