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ダンジョンストリーマー!! 〜人気急上昇中のJK配信者はチート級に強い──なぜなら裏方の俺が暗躍しているから〜  作者: 杜 一樹
第16章 アカシダンジョン

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104本目 【超絶ハッピー】バースデーパーティーをするならどんなの?


「──ハッピバ〜スデートゥーユ〜。おめでとう!」


 照明が消えたリビングで、クラッカーがパンッと一つ鳴った。

 今日はどこかの家で誕生日パーティーが行われていた。


「もう8歳か〜。お姉ちゃんいつか年齢追い越されちゃうな〜」


 蝋燭が年齢分立てられたホールケーキを彼女は取り分けながら、そんなことを話した。


「そういえば聞いてよー? 幼稚園でさ、工作をしたのね? ──って、お父さん。私が園児の方じゃないから、先生だからね? 冗談はよしこさんだよ、もう〜。……あ、でね? 頑張って作り上げた工作がね、壊されてたのよ。酷いと思わなーい?」


 彼女は文句を垂れながら、分けたケーキを一口食べた。


「ん! 甘っ! 美味しい〜」


 そのケーキの甘さに、怒りは一旦どこかへと置かれた。


「このケーキ、お母さんがオススメしたケーキ屋にしたんだ〜。ほら、近くの小さなケーキ屋さん! ……そうそう、おじいちゃんとお孫さんが切り盛りしてるとこだよ〜。安くて、こんなに美味しいなんて、いいとこ知れた〜ありがとうお母さん。早く食べないと、ケーキ横取りしちゃうぞ〜」


 すると暗闇の中、バタンと倒れる音がした。


「あーあ、ちゃんと食べないからケーキ倒れちゃったでしょー? もう8歳なんだからさ、ちゃんと座りなさい」


 弟をもう一度座らせると、「あ、ついでに」と、冷蔵庫を漁っては缶ビールと、食器棚を探してはグラスを持って来た。


「ほい、お父さん。ビール。ずっと禁酒してたでしょー。今日は飲んでいいよ。あぁ、いいのいいのお母さん。今日くらいお父さんを労ってあげよーよ。──プレゼント、結構遠いところまで買ってきたみたいよ。……あんたは、ビールはダーメ。12年早いわよ。もう、さっきオレンジジュースあったから、それ取ってくるから」


 再び彼女は立ち上がり、冷蔵庫から半分空いた2Lペットボトルのオレンジジュースを取ってきて机に置いた。


「も〜、あ、でね? さっきの話の続きなんだけど、結局誰が壊したのーって、探したのよ。監視カメラなんてないからさ。……設置してないのが悪いって。お父さん、工作置いてたのはカ(・)ス(・)カ(・)ベ(・)ダ(・)ン(・)ジ(・)ョ(・)ン(・)だよ? ダンジョンにどうやって監視カメラ付けるんですか。もう酔っちゃったのー? 泡吹いちゃって〜、はいはい、まだまだ飲んでくださーい」


 彼女は溢れるほどにまで、追加でビールの全てをグラスに注いであげる。


「おっきな兵隊さんで大作だったけどなー。おもちゃ箱に隠してたのに。さすがに怒ったから私頑張って犯人探したの。そしたら何と! 今話題のダンジョンストリーマーだったのよ! ……え、当たり前って? あぁ、ダンジョンに隠してたらそりゃ破壊されると。あはははは〜……。……確かにね! じゃあ、仕方ないかー」


 嫌なことやストレスも、愛する家族がいれば何でも笑い飛ばせる。

 やっぱり家族は素晴らしい。



「じゃあそろそろメインイベントとしますか! ちょっと待っててよー」


 彼女は部屋を出て行き、二階に行く。

 ただ、どこに置いたか知らないのか「おとーさん! どこに隠したのー!?」と、上から聞くことになる。


 しばらくして、「あったあった、これでいいや」と彼女はドタドタと急いで一階に降りて来た。


「はい、これ! プレゼント!!」


 弟に渡したのは剥き出しの、ちょっと土の汚れが付いたサッカーボールだった。


「あんたサッカー好きでしょ? だから、サッカーボール。しかもこれお父さんが……えーっと、ヨーロッパにまで行って買って来たのよ。ね? お父さん。……うん、ほらね? プロ目指すならプロのボールをね! ほい」


 彼女はボールを弟にまで転がすように蹴った。


 ……しかし、弟はボールを拾い上げない。


「ん? どうしたー? 嬉しくないの? あー、もうサッカーしないってことー? ふーん……いいから喜べよぉ!!!! お前は私の弟だろっ!? 素直に喜べよ!!!!」


 彼女は弟だった者の頭を掴み、何度も何度もケーキに叩きつける。

 机に飛び散る赤と白。

 それをめでたく思ったのか彼女は落ち着いて、再び笑顔になった。


「さ、せっかくの誕生日パーティーだし、続きを──」


 スマホに着信が入った。

 さっきから誰も返事をしないのに、「あ、ごめん。ちょっと抜けるね」と彼女はスマホを持って廊下に出た。


「はい、曰西《いわにし》です」

『──今はその名前ですか。リオ。是非ともこちらに来ていただきたい』

「こっちはせっかく盛り上がってきたところですよ?」

『今すぐにだ』

「はぁ──分かりました。先生同士仲良くしないとだもんね?」


 表情の色を失くした彼女、曰西リオはリビングに戻った。


「今までありがとう。家族ごっこ、とても楽しかったよ! ありがとう、本当にありがとう! バイバーイ! ……さ、分別するかー。全部燃えるよね」


 彼女はドロドロに溶けたケーキに刺さる、火が点いたままの蝋燭を皿ごと投げる。父役と母役と弟役ので三枚。

 燃えやすい素材でできたソファに燃え移り、みるみる暗い部屋を照らし始めた。


「おっけー。じゃあ、行ってきまーす。じゃなくて、今までお世話になりました。私、家を出ます……!」





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