100本目 行動あるのみ!前進マイマイー!!!
「ふぅぅぅん!」
マキノの攻撃はかなり大振りだが、武具:ハロースター〜以下略〜に埋め込まれた魔晶石の力により、トゲ鉄球の大きさを自由自在に変えられるため案外隙がなかった。
「ふぅ、運動してアタクシ暑くなってきたわぁん。いえ、寒いわね。寒っ!」
「はぁ、はぁ……確かに……」
「「さむーい!!」」
唯一マキノと戦う野田が息つけば、白を吐くばかり。
セブダンジョンが雪と氷に覆われ出していることを四人は知らない。
とりあえず吾妻と松實は抱き合って、お互いの温度を交換し合っては暖を取る。
「まぁ、これこそダンジョンというもの。常夏から厳寒に変わるなんてさほど珍しいことでもないでしょ? それにしても大したことないわね〜、所詮小娘ね! HA!!」
宝具を忘れた吾妻と松實は役に立たない。
猫獣人で一人戦うも、二人を守りながらだと攻めづらい。
「えりにゃん、わたしたちはだいじょぶだよ! 当たっても平気だよ!」
「そだよー!」
「だからといって、はい、そうですかって傷付けたくにゃいでしょ」
「「えりにゃん、やさしぃ……」」
「引っ掻くわよ? ……けど、隙は見つけた。そろそろアタシを手伝いにゃさい」
野田は二人に耳打ちして作戦を伝える。
「アタクシ待つのは嫌いなの。いつだって自ら迎えに行くのよ。海外に憧れた時には日本を飛び出した。お金がないからと闇の底にもに手を伸ばした。そして、世界にダンジョンができたならアタクシが一番に攻略する! なぜならアタクシが世界の中心だからっ! ──〈ビッグバン〜アタクシから宇宙は始まった〜〉!!」
マキノは小さなトゲ鉄球を前に振り投げると、扱える最大の大きさにまで一気に変える。
「避けて!」
野田の合図にみんなしゃがんで避ける。
狭くて限りある場所だからこそ、球体では逆に届かない壁との隙間が低い位置に生まれる。
「チッ、ここだと戦い辛いわねぇー。おやぁーん?」
マキノがトゲ鉄球を縮めて元に戻すのを見計らい、野田が右側から走って行く。
「あら、死角から狙うつもり? 甘いわね!」
「こっちだよー!」
「ん?」
正面から吾妻が何かを投げ付けてくる。
何かと思い、警戒してトゲ鉄球を大きくし防御するもただの石だった。
(……なるほどねぇーん。あの小娘が引きつけてる隙に猫娘がアタクシを狙う算段ね。しかし、アタクシの武具:ハロースター〜アタクシの輝きに照らされて〜は当然小さくもできる。そうなれば鞭を振るうみたいに軽くもなるのよ……! ちなみにここまで思考時間は0.02秒!)
「ちょっと、爪が甘いんじゃないのぉ〜!? ふん!」
マキノはトゲ鉄球を縮小させては右へと腕を振るっては高速で野田に迫る。
その勢いのまま再び大きくする──も、彼女はいない。
(えっ、来てない!? てか、猫娘走って戻っていくわん。彼女の方が囮だった……てか、小娘が一人いないような……ん? 猫……)
「──にゃー! 本命はワタシでしたー!」
「んんっ!?」
野田とは逆方向から、宝具を借りた松實がハチワレ柄の猫となって素早く忍び寄っていたのだ。
スク水姿に猫耳、猫手、猫の尻尾と性癖を詰め込んだコスプレとなってしまった松實は、マキノの腹に向けて思い切り横蹴りをした。
「そこで猫の能力使わないんかい……ぐふっ」
彼女の生身は普通の一般人だ。
松實の蹴りを食らっては、一発で沈んだ。
「うぃー! たおしたぜー!」
「ユッキーすごーい!」
「はいはい、喜んでる場合じゃにゃいわよ。早く出てみんにゃと合流しにゃいと。そろそろリリナが心配だし……」
しかし、マキノがトラップに嵌って、しばらく閉じ込められていたこの場所。出口は存在しない、あるいは簡単には見つけられない場所に隠されているのかもしれない。
「どんどん寒くなってくるね〜、うぅ、なんだか眠く……しょーのちゃーすやぁ……」
「ユッキー! 寝ちゃダメぇ!!」
「にゃんにゃのよ、この寒さ……早く出にゃいと、ほんとに凍死しちゃう」
野田は丸くなり、吾妻は松實を揺らして起こそうとするが、鼻ちょうちんが出てくる。
しかし、あまりの寒さにそれは凍り、地面に落ちてはパリンと音立てて割れた。
「うーん……出口がない時は……はっ! 閃いた! 出口がないなら新しく作っちゃえばいいんだ!」
「はぁ……、どうやって……?」
「天井をぶっ壊して!」
「は? 死ぬが??」




