第9章 メモリーフラッド ~伽耶の記憶~
ー3001年ー 深淵の屋敷 地下室
「いやぁぁ!この熱さ、耐えられない!」
鵺さんと私は握手をした状態で目と目を合わせたまま
互いの目から赤い光が溢れ出し
2人の頭が激しく小刻みに揺れ動く。
するとお互いの目を狙い撃つかのように
激しく破壊的な光線が目から撃ち放たれる。
互いの目から放たれた赤い光線は宙で衝突しあい、光線同士で押し合いながらバズン!と鈍い音が鳴り響いた。
衝撃で鵺さんと私の首はもげ、二人の頭が宙を舞う。
血潮の双舞曲が地下室を駆け巡る。
勢いよく宙で回転し地面に転げ落ちた頭は暫く弾んだ後、鵺さんの頭は壁にあたって静止。
私の頭は寝ている女の子たちの横に落ちた。
千切れた頭は地面に伏したまま、痙攣した瞼は瞬きを数回繰り返す。
少しずつ意識が薄れていき、私は鵺さんの記憶の中に魂を沈める。
記憶は全て鵺さんが時間移動をして得た記憶。
フラッシュバックや走馬灯のように体験するパラパラ漫画のようなものだった。
◇◇◇
ー2024年の記憶ー
埼玉県の一軒家で、ナシアが神さまと話している。
「ああ!神さま!
ダークマターに御力を入れて頂きありがとうございます!」
『よし、これで人間以外の生物を絶滅する事ができるな、
本当にいいのか?
絶滅したら食糧事情とか平気か?』
「神さま、そんなもの人間からしたら些細な事ですわ
飢饉となれば虫を食べるのが人間、
動物も虫もいなくなれば植物を!
植物も無くなれば
人間同士喰らい合うのが人間ですわ!
まったく何も問題などございません!」
『じゃーはははは!共食いか!
まあ神でさえ稀に行う事のある行為だ
人間が行うのも不思議では無いか』
「ええ、もし飢饉で人食いを拒むものがいるのでしたら
大豆で作った加工肉の中に人肉でも混ぜ込んで
食わせてしまえばいいのですわ!」
『おいおい、おいしそうだな!
じゃーはははははー!』
記憶が揺らぎ情景が切り替わる。
◇◇◇
ー2035年の記憶ー
ナシアが銃のような物を持って何人かの人間と話し合っている。
全員シェルフドッグのネームプレートを胸元に付けている。
「なぜ!神さまから頂いた御力を射出できないの!」
「ナシア様!レクテナを改良して
御力のエネルギーを集約する事まではできているのです!
ですが、どうしてもあと一歩が!」
「あと一歩とは!はっきり報告なさい!」
「このレンズです!照射口に取り付けている光学結晶が
一撃射出しただけで破壊され、射出が成功しません!」
「神さまの御力はレーザーじゃないのよ!
根本的な部分を考え直しなさい!
破壊されずに、射出できるもの⋯⋯
何か⋯⋯何かあるはず⋯⋯」
「ナシア様⋯⋯改めて分析を行い
検討と検証を行ってまいり⋯⋯」
「待ちなさい!
あったわ、あった!照射に最適な物質!」
「本当ですか?
いや、しかし今までどんな硬度な物質であっても
破壊されてきましたが⋯⋯」
「昔、あたしが初めて神さまと出会った時、
たくさんの人が死んだのよ
その時に神さまの御力を受けた人が多くて
みなそれぞれ違う死に方をしたの
火だるまの者、溺死する者、それぞれ多彩な散り方をしたわ
でもね、神さまの御力の影響で
目玉が破裂されたような人は1人として見なかったわ」
「しかし、それは被照射側の話ではないですか!
御力を受けた人間の状態は計り知れません
眼球への影響が
想定された効果かどうかも分からないのですから⋯⋯
御力を受けた人間の眼球が破壊されなかった事は
"御力が眼球を破壊しない性質である"
事の証明にはなりません!
偶然眼球が破壊されていなかっただけかもしれないのです!」
「そうね、でも試していない事である事は間違いないでしょ?
それもまた事実よね?
開発と実験は、常にトライ・アンド・エラーの連続なの
あなたも開発者なら分かるでしょ?」
「あ、あのすみません
自分理解できていないのですが
つまり光学結晶の代わりに眼球を使用するという事ですか?」
「ええ、そうよ
恐らく神さまの御力は人体に対して破壊では無く
呪いの類いが優先され意図しない限り目玉は破壊されない⋯⋯
もし御力で目玉が破壊されていた場合、
それは目玉を破壊するという呪力が働いていただけの話
それならば御力を射出する際に目玉なら破壊されないはずよ
今更だけどそう予想できるわ
⋯⋯テストが必要ね
まずは私の片目を摘出して射出口に取り付けなさい」
「ナシア様!いけません!
こんな前例のない実験にナシア様の眼球を使うなど!
もっと慎重に事を進めるべきです!」
「慎重に進めるべき⋯⋯
今までが十分慎重に進めてきたの
その結果こういう状況に陥っているのよ
開発資金だって潤沢では無いのよ」
「しかし⋯⋯!」
「もし不利益があるとしたら私が目を失うだけ
その代償だけで開発が進むのであれば安いものだわ
成功しなかったとしても
"目玉は適合しなかった" という結果を得られる」
ナシアに焦りを感じる。
御力とやらの射出装置の開発が滞っているようだ。
◇◇◇
時間が少し進み、眼帯をしたナシアが立っている。
ナシアの顔に心なしか疲れが見える。
「目玉はセットしたわね」
「はい!ナシア様の眼球は
御力照射銃の射出口にセットいたしました!
神経接続、安定しています!」
「では照射準備!」
「位相固定、最終段階へ!」
「固定完了!御力揺らぎ、許容範囲!」
「ダークマター、確認」
「確認、御影石⋯⋯呪目波形確認」
「媒介経路を開け!」
「経路開放⋯⋯反応、強い!」
「収束は?」
「人為収束⋯⋯成立!問題ありません!」
「⋯⋯よし!ギルトベアラー射出準備!」
「射出準備、完了!」
「発射許可⋯⋯⋯⋯よし!撃て!」
「撃てぇ!」
ウォォァァアァアアアアアア!!
不穏な断末魔のような音が辺り一帯に響く。
濃度のある紫色の波動が辺りを支配する。
体に突き刺さる死の香り。
波動の余波で壁に腐食の跡が見える。
放たれた波動は、御力照射銃の的として準備されていた牛を瞬時に塵へと変えた。
「成功か?成功だな!」
ナシアが残った片目を見開き徐々に不気味な笑みを浮かべる。
「ナシア様!成功です!大成功です!
あとは実地テストと耐久テストだけです!
ですが⋯⋯」
「なんだ!?」
「威力が想定以上です⋯⋯
人体に影響が無いはずですが、これは⋯⋯」
「人体に悪影響があるのか?」
「はい、調整は可能だと思いますが
それでも人体への被害は避けられません」
「いい、全ては神さまの為
最低限人間が死なない程度に改修すればいい
すぐ調整に取り掛かるぞ」
「はい!」
記憶が揺らぎ情景が切り替わる。
◇◇◇
ー2271年の記憶ー
「くそっ!殺しても殺してもきりが無い!」
ナシアが切羽詰まった顔で焦燥している。
「なんでだ⋯⋯たかだか生物を絶滅させるくらいだろ!
どこで計算を間違えた⋯⋯
地球の表面積が約5.1億平方キロメートル
1度の生物の処理はX軸で半径1キロメートル⋯⋯」
ナシアがぶつぶつと呟いている。
「1度の処理面積⋯⋯π × 1² ≒ 3.14 km²
ダークマターもどきを量産して50台に増やし⋯⋯185年⋯⋯
185年で終わるはず!何故終わらない!」
ナシアが親指の爪を噛みながら考えている。
「一体いつになったら絶滅する⋯⋯くそっ!
⋯⋯⋯⋯生物⋯⋯交尾⋯⋯はぁ⋯⋯
種を増やす習性や期間を考慮していなかった⋯⋯
計算しなおさなくては⋯⋯くそっ!
人間としての生活や恋愛をしてこなかった代償か⋯⋯
そんな当たり前の事を計算し忘れるなんて⋯⋯
ああああぁ!くそっ!」
ナシアたちが動物の殺戮を始める少し前、神さまの御力が宿ったダークマターの現存数は10個のみで明らかに不足していた。
ダークマターはたったの10個⋯⋯つまり御力を発射できる射出機が計10機という事になる。
ナシアの当初の計算に誤りがあった。
どう考えても10機では足りない。
計算上、せめて50機は無いと生物の絶滅が難しいと嘆いていた。
その為、ナシアは御力を宿らせる為のダークマター自体を複製もしくは類似品を作る事ができないか研究を行う。
その中でナシアは気づく。
「ジェットに似ている⋯⋯」
エイティや研究員たちが集まってくる。
「ナシアちゃん、ジェットってなにー!
あたいにも教えてー!」
「ジェットはトルコで採れる有機質宝石の事で、
とても柔らかいんだ」
「へぇ~、でもダークマターに似てるのかしら?
ダークマターよりしっかりとした質量がありそうだけど⋯⋯」
「いえ、そういった部分というよりもジェットの性質よ
ジェットは死、記憶、喪失の象徴とされたりしているわ
そもそもこのジェットは
樹木が水中で長い年月をかけて化石化した純鉱石なの
元々生命体であり、長い年月を経て化石化、
鉱石だが硬すぎない、御力を放つのに
硬すぎるものは良くないから
条件にあっている気がするのよね」
「そうなのー?
あたい、男の事なら興味あるけどこのジェット?
ジェットも男なら~興味湧くかも~?
やだー!やっぱり良く分からないわ~!
神たまー!このジェットって石、
ダークマターの代わりになりそうかしら?」
『これは⋯⋯あるんだな、同一とは言えないが
ダークマターと性質が似ている部分も多いな』
「やだー!ナシアちゃんやるじゃなーい!
神たまのお墨付きよー!」
ナシアは勢い良くガッツポーズを取った。
『ただし⋯⋯』
「え、ただし?」
『生の名残が少ないな』
「生の名残⋯⋯?とはなんですか?」
『魂帯だ、
魂帯があればダークマターに近い存在になるかもだぞ!』
「魂帯⋯⋯?魂のおび⋯⋯」
『へその緒の事だ、このジェットとへその緒
あとはちょっとスパイスを混ぜれば
それなりの代替品になるかもしれんぞ?』
「神さま!へその緒を集めてきます!
少しお時間をください!」
『あー、ナシア、
へその緒は一つで大丈夫だからなー』
「分かりました!ありがとうございます!
あたし、自分のへその緒、
どこかに置いてあったので!持ってきます!」
暫くしてナシアはへその緒を見つけた。
棚と棚の隙間に落ちていたようだ。
それを持って神さまのところへ駆け寄る。
『お!おつかれさん!あったのか!』
「はい!見つけました!」
『おい、ほこり被ってるぞ、
このへその緒⋯⋯これナシアのだろう?
人間はこういうのを大事にするものじゃないのか?』
「いえ!あたしの大事は神さまですので!」
『そういうものかね~、
まあ、さっぱりしていて吾輩はやりやすいけどな!
しかし、それいつの時代のへその緒なんだ?
まあいい、とりあえずへその緒をバラバラにしてと』
次の瞬間、神さまはジェットとへその緒をご自慢の触手で包み込み始めた。
『ジェットにバイパスとしてへその緒を繋ぎ
中にネフを入れて⋯⋯融合』
神さまがあっという間にダークマターの代替品を作ってしまった。
「神さま、ネフって言われました?
ネフってなんですか?」
『物質と物質をくっつける接着剤みたいなものだ、
気にしなくて平気だ』
こうして、本来は10個しか存在しなかったダークマターは、計50個へと増産されることに成功した。
記憶が揺らぎ情景が切り替わる。
◇◇◇
ー2308年の記憶ー
『おい!ナシア!どこだ!』
「あら?神たま?どうしたのかしら?」
『エイティ、ナシアを知らないか?』
「んんんんんんん、お花でも摘んでるんじゃないかしら?」
『吾輩が見つけられないのだぞ?
用を足すだけならいつもどこにいるか分かっている』
「さあ、あたいだっていつもナシアちゃんの場所を
把握している訳じゃないから答えづらいわよ~」
『そうか⋯⋯もしナシアを見かけたら
あの忌まわしい巫女とフレイヤの
討伐作戦の話をしたいと伝えてくれ』
「神たま分かったわ~あたいに任せてぇ!」
記憶が揺らぎ情景が切り替わる。
◇◇◇
ー2310年の記憶ー
「神さま!巫女をやりました!あたしやりました!」
ナシアは1人の少女の首を掲げて誇らしげに勝鬨をあげている。
『よくやったぞ!ナシア!それでこそ我が眷属よ!
そいつらは「祝福された世界」などとという
欺瞞に満ちた導きで、世界を混乱へと貶めた!』
「はーい!
神さま、あたしフレイヤの傀儡である
天和瑞祈を討ち取りましたー!
討ち取ったぞぉぉぉおおお!」
『じゃはははは!
吾輩の触手をうまく使いこなしているじゃないか!』
「はい!神さま!
おかげさまで人の枠を超えられた気がします!
怖いものはありません!」
『気に入ってもらえたようだな!
吾輩は偽りの神、フレイヤを討ち取ったぞぉぉぉお!
じゃーはははは!じゃーはははは!
触手で穴という穴から内蔵をほじくり返して
食い尽くしてやったわー!』
「神さま!さすがです!あーはははははー!」
すると私には聞き慣れた声が聞こえてくる。
フレイヤ様が天和瑞祈に語りかけているのだろう。
《瑞祈⋯⋯我が選択を誤ってしまった故⋯⋯
だが、眠る前に一つだけ頼みがある⋯⋯
我が力を⋯⋯最後の力を受け取り⋯⋯
その力を撃ち放ってくれ⋯⋯》
その発言と同時に天和瑞祈の頭が激しく痙攣する。
「ちょちょちょちょ!なに!こいつ!
巫女の頭がめっちゃ震えてるんですけど!」
『ナシア!その頭を叩き割れ!』
「え!あ、え!?」
時すでに遅く、ナシアはただただ戸惑った。
既に事切れたと思われる天和瑞祈の目が開き
赤い光が漏れたと思うと強烈な光線が空に向かって発射された。
辺り一面に衝撃波と轟音が響く。
「きゃぁぁぁぁああ!なによ!」
ナシアは衝撃で天和瑞祈の頭を地面に落とすと、
そこでやっと光線が止まった。
『ぬぅ⋯⋯今のは最後のあがきか⋯⋯それとも⋯⋯』
邪神は困惑しているようだ。
フレイヤ様は意識が消える中で最後の想いを告げる。
《瑞祈から放たれた最後の一条の光⋯⋯
かの書庫へ⋯⋯次世代への襷は⋯⋯
確かに渡したぞ、アガルタ⋯⋯頼んだ⋯⋯》
記憶が揺らぎ情景が切り替わる。
◇◇◇
ー2666年の記憶ー
『何故だ!今年こそ大厄災の年であるのに
一向に計画が進まない!
ナシア!計画はどうなっている!』
「か⋯⋯神さま⋯⋯その⋯⋯ひとつご相談が⋯⋯」
『相談の前に吾輩の顕現はいつ成就するのか
現状の達成度を教えてくれ!ナシア!
今まで何度厄災の年に間に合わなかった?』
「あ、あの⋯⋯神さま⋯⋯⋯⋯
八割⋯⋯いえ!九割は終わっております」
『ナシアよ⋯⋯おまえとは随分と長い付き合いになるな⋯⋯
おまえは何回我が子を犠牲にして何回生まれ変わった?』
「かれこれ14回目の生まれ変わりかと⋯⋯」
『そうだよな⋯⋯ナシアと出会い663年もの間
おまえは随分と尽くしてくれたな』
「はい!もちろんです!神さま!」
『では、何故嘘を吐く?
吾輩に言っていない事があるだろう?』
「いえ!その、嘘を吐いた訳ではございません!
お伝えする機会を逃していたというか⋯⋯
それくらい自分で解決しなくては⋯⋯と」
『それで?解決できていないんだから
共有すべき事ではないのか?』
「あの⋯⋯その⋯⋯生物を探知する力が⋯⋯
あたしにはありません⋯⋯」
軽蔑に満ちたかのような小さな一つの目玉が異空より現れ、ナシアを凝視している。
『ナシア、おまえに与えたはずだ
不死の術、軽度の洗脳術、そして生物の探知能力
その生物の探知能力は
吾輩を顕現する為の要になっていたはずでは?
能力を失っていたのであればすぐに伝えるべきであっただろう
吾輩は間違った事を言っているか?』
「いえ!おっしゃる通りです!
意地を張らず、相談すべきでした!」
『そう、これは遊びでは無い
ナシア、命をかけて吾輩を顕現する事を
誓ってくれたのでは無いのか?』
「はい、弁解の余地もございません」
『いつから生物の探知ができなくなった?』
「⋯⋯破滅の箱で両腕を失った時からです」
『はぁ?そんな昔からか?』
「最初は気のせいかと思ったのですが
徐々に生物の探知ができない事を実感しまして⋯⋯」
『はぁぁぁぁああああ⋯⋯
お気楽だな⋯⋯むしろそれで今まで良くやってきたな』
「神さまの力には到底及びませんが
生物の探知機を作りまして⋯⋯
それで世界中をまわっておりました」
『⋯⋯もう話していないような事は無いな?』
「はい、ございません」
『本当だな?』
「神さまに誓います」
『分かった、だがナシア、お主はもう生まれ変わるな』
「それはどういう⋯⋯神さま⋯⋯
神さま!やめてください!
あたしまだやれます!」
『吾輩は、お主に託すのはやめた
これでも随分待ったのだぞ?』
「神さま!どうかあと少し!あと少しの猶予をください!
どうかあなた様の顕現をあたしに達成させてください!」
『⋯⋯⋯⋯⋯⋯リミットは2730年⋯⋯あと64年だ
そこで最後だ
その時がナシアに頼む最後の顕現だと
心に刻み挑むんだ、分かるな?』
「はい!はい!もちろんです!
チャンスをくださってありがとうございます!」
『だが、もう生まれ変わるな
生まれ変われた事で寿命が延ばせるという甘えが
今のお主の失敗を生んだのかもしれない』
「しかし⋯⋯それでは、あたしの寿命が⋯⋯
任務を遂行する事が難しく⋯⋯」
『教団の研究員たちは随分と秀才揃いだな
その秀才たちが
クローンの技術なども推し進めてきただろう』
「はい、確かにクローン技術には力を入れてきましたが
現状実用段階では無く⋯⋯」
『その実用段階では無い技術を誰に使った?
ん?今この時代に生きていてはおかしい奴が
1人いるだろう?』
「⋯⋯はい、以前ご報告させて頂いた通り
神さまの御力を転用して、蘇生技術に使用⋯⋯
老衰で亡くなったエィティを復活させました」
『そう、あやつは今、吾輩の呪いの力を糧に動いておる
その術式をお前は成功させた⋯⋯
中々高度な事をやり遂げたんだ、少しは自信を持たんか』
「で⋯⋯ですが、あの術式はとても成功と言えるものでは⋯⋯
偶然の産物なのです
何故未だにエイティが問題なく活動できているのか⋯⋯
不思議なくらいです
もう一度やれと言われましても⋯⋯」
『分かった分かった⋯⋯だが呪いの力を使わんでも
研究してきたクローン技術を試す時であろう
ナシア、お前は頭が良い癖に抜けている部分が多い
本当に危機的な状況下で自身の力だけで、
なにを成し遂げられるのか⋯⋯
ここが踏ん張りどころでは無いのか?』
「⋯⋯⋯⋯」
『おい、ナシア聞いているのか?』
「おっしゃる通りだと思います⋯⋯
神さまに頼りすぎていた部分も多かったです
これからは生まれ変わらずに
科学の力でなんとかしていきます」
『ああ⋯⋯頼んだぞ
(ふん⋯⋯吾輩も焼きが回ったか⋯⋯)』
記憶が揺らぎ情景が切り替わる。
読んで頂きありがとうございました。




