↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
3章 面倒事

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
75/282

第36話 ベールの中


「陽菜の氷魔法って、範囲指定か物体指定で凍らせた場合……どうなる?」



完璧に――寸分の狂いもなく魔法を発動すれば、金色の炎のように攻撃対象を絞ることができるんじゃないか?

属性魔法ならば。


そうじゃないと、“研究所だけ狙って焼く”なんて奇妙なこと……説明できない。



「言いたいことはわかるけど、たぶん無理」



静かにそう言った彼女は、自分の脇に置いてあった四本目の梅酒を開けた。



「指定した通りに凍らせたいんだけど……どうしても、氷が届きすぎたり、逆に届かない場所とかができちゃうのよ。でこぼこした壁面とかとくに」



なので、研究所の壁のすぐ下に生えていた雑草が、燃えていなかったのは通常ではありえない、ということだろう。



「ユウナが火の魔法使えるんなら、この件も納得できるけどねー」



なんでだよ。



「おい。俺を犯人にするんじゃない」


「まあともかく。こっちでわかったことはこんくらいかな」



買ってきた酒をぐいっと仰ぎ、那智はおいしそうにため息をついた。



――幻覚に似ているが、燃える効果がある。


俺が、お嬢ちゃんに見せるために作った“火もどき”は、金色にすることはできるだろうけど、物を燃やす力はない。

つまり、見た目だけ真似るならともかく、本物の炎としての効果は出せないということだ。


攻撃性はないくせに、建物だけを焼失させるってどういうことなんだ。


――とりあえず、火属性を扱う人間を洗い出すのが先決か。

……いや、でももし幻覚を見せられた可能性があるなら……光属性の魔導士も視野に入れるべきだな。



……そういえば学校に、卒業した全魔導士の名簿があったな。何か手がかりがあるかもしれない。

また春日井先生に連絡してみるか。



「本部って、この件から手を引いた感じ?」


「引いたっていうか……引かされたっていうのが正しいかも」


「調査結果の資料も、霜月さんに関しての資料も全部処分されちまった」



あわよくば、と思ったがやはりか。


……これ以上情報が出てこないとなると、どうにもならない。


頭の芯がじんじんと重くなるような、行き止まりの感覚。

思考の行き詰まりを感じて、丸まって聞き耳を立てているソラのひげをつついた。案の定、不愉快そうに顔をしかめて膝から出ていき、距離を置かれる。


かわいい猫ちゃんのおかげで少し気が紛れた。



――神屋大臣がこの事件の真相を遠ざけたい理由なんて知らないが、真相は俺が暴く。



依頼は依頼だ。報酬分はきっちり働いてやる。


……春日井先生、相場よりちょっと上乗せしてくれないかな。



決意は胸に留め、カグツチ村にやって来る最終列車の時間まで、三人で飲み明かした。


酒の勢いに任せて、くだらない話で笑い合い、つかの間の休息を楽しんだ。


さて、明日から忙しくなりそうだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。