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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
3章 面倒事

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第31話 無実の証明


「ああ……ついにお別れか……」


「大丈夫だった? 何かされなかった?」


「ちゃんと見張ってたから大丈夫」



背中に買い物袋を背負い、両手の袋からあふれんばかりの荷物を持っているというのに、涼しげな顔でさらっと言ってのける陽菜がかっこよすぎる。



「今日は楽しかったです。ありがとうございました」



三人は軽くお辞儀を交わしていた。

ずいぶんと打ち解けられたようだ。


それにしても彼女、あまり人見知りしない質なのかな。

二人とも気さくな性格とはいえ、初対面からここまで仲よくなるとは。

研究所で大人に囲まれていたおかげだろうか?


引っ込み思案な人間からすると、めちゃくちゃうらやましい。


荷物が乗るほどの大きさの、木製の汽車を魔法で作り出す。かちゃかちゃと小気味よい音で部品が組み合わさる様子がおもしろいのか、みんなにじっと眺められてしまった。


買い物袋をおもちゃの汽車に乗せてもらい、行き先標に『自宅行き』と書いて魔法を発動。

がたん、と音を立てて車輪が回ると、木製の汽車は荷物を乗せたままゆっくり浮かび上がった。


何度見ても不思議な光景だな、と思う。

風魔法使えないのに飛ぶなんて。



「そういえば、ユウナが飛ばしてきたあの小さい汽車、組合の入り口に飾ってあるぞ」


「そうなんだ。今度遊びに行くとき大きくしてやろうかな」



二年前、研究所を焼いた金の炎を運ぶために出しただけの汽車だったけど、まさか組合の入り口に飾られてるとは。気に入ってもらえたのならよかった。


友人二人は一度本部に行って、今の仕事の報告に行かなければならない。

「買い物についてきてほしいって言われたから、行ってきました!」と報告するしかないが、組合責任者の玲さんが困惑しそうだ。



ああ、ここでお別れか。

なんか寂しいな。


俺は今日二人と喋れなかったから、少し話がしたい。

……誘っていいかな。



「今日の夜空いてないの? うち来ない?」


「あー、たぶん空いてる。んじゃ、また数時間後に」


「またあとでねー」



友人の背を見送り、再び戦場……もとい駅構内へ。

蒸し暑い空気と、石畳に反響する案内の声に、頭がじんじんしてくる。

人波が交差し、気を抜けばすぐ流されそうになる。


危険を察知したソラは、来たとき同様に頭にしがみついてきた。爪が出ていないのは彼なりの優しさだ。



やっとの思いで切符を買い、乗降所で待っている中、頭上のソラがお嬢ちゃんに「ねえ、優香」と話しかけている。



「今日楽しかった?」


「うん。知らない所いっぱい連れて行ってもらえたんだよ」



今こうしてあどけない笑顔を向けているが、家が燃え、叔父に暴力を振るわれ、壮絶な日々を送ってきたことを考えると胸が苦しい。

魔法の使い方を見る限り、彼女が放火犯であるとは思えない。けど、証拠がない限り確信は持てない。


――ああ、そうだ。


誰かが犯人に仕立て上げた可能性だってあるし、この子の容疑を晴らすために調査しよう。

疑心の目を向けられたまま生きていくなんてつらいだろうから。


決意を胸に、汽車に乗り込んだ。



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