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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
3章 面倒事

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第29話 少女の嘘


肩から降りたソラが膝の上でおとなしくまるくなっている。ふわふわの背を撫でながら、今後の活動について頭の中で考えを巡らせた。


「ああ、そうだ」と言って、前のめりになる先生に釣られて自分も前のめりになる。



「調査を禁止される前に、優香さんから事件当日のことを聞いたんだけどね」


「ああ。友人の家に泊まりに行っていて、わからないって言っていましたね」



巨大うなぎを討伐したあと、朝食を待っている間に彼女から聞いた話だ。

お嬢ちゃんの行方を証明できる人間もいることから、れっきとした現場不在証明になる。



「そのあと、優香さんが泊まったと言う友人の家を訪ねてみたんだ」



先生は緊張の面持ちで、口を開いた。



「――そうしたら、霜月優香という友人はいないし、その人物を知らないと言われたよ」



……え?



頭がぼうっとして、めまいが酷くなった。





――気づけば、校舎の外に足を運んでいた。


どこを歩いていたのか、最後に先生とどんな会話をしたのか、意識がはっきりしない。

あまりの衝撃で、思考が追いつかなかった。



「一体……どうなってるんだ」



足元で愛猫が心配そうに見つめてくる。



「優香は嘘つくような人間じゃないよ」


「じゃあ、どうして友人宅に泊まったなんて説明をしたんだ? そんな捏造をしたところで、調べられたらわかってしまうのに」



ソラに文句を言ったところで、どうしようもない。だが、それでも言わずにはいられなかった。

それだけ、お嬢ちゃんのことを信用していたんだ。


それに、彼女の目の動きや態度から嘘をついているように見えなかった。


もしその友人が嘘をついていたのだとしたら、なんのためにそんなことをしたのだろう?

いや……利益なんてないだろうし、友人とやらが嘘をつく必要なんてない。


じゃあ、あのとき火事を起こしたのは、お嬢ちゃんなのか?

……でも、自宅で見せてもらった炎は、金色じゃなかった。



……わからない。

まったく、意味がわからない。



春日井先生……やっぱり、彼女が火属性魔法の使い手だと知っていて動いてたんだな。


彼女の住まいをうちに勧めたのも……先生か。俺と一緒にいさせたら、何かわかるんじゃないかと思ってのことだ。



深いため息をついたせいか、通り過ぎる人たちがちらりとこちらを見ていった。


どうするんだよ。こんなめんどうな案件。



「……この件解決したら、報酬は弾んでもらおう」



いや、本気で。割に合わなすぎる。



「魔導士業界を揺るがすような依頼になりそうだねえ」



大臣からの圧力があるってことは、そういうことなのだろう。


おそろしい。上層部で一体なにをしているのか。



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