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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
3章 面倒事

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第28話 調査の禁止


ミカヅチ本部の責任者、小鳥遊たかなし玲さん。


あの人はとにかく正直で、思ったことをそのまま口にするような素直な性格だ。


そんな人が答えられないと言うってことは、自分よりも位の高い人物からの圧力があったってことじゃないか?


先生は椅子の背もたれから体を起こし、話を続ける。



「ほかの先生方や子どもたちに、もしものことがあったらと思うと気が気じゃなくてね。神屋かみや大臣に、事件の真相を調査する許可をお願いしたんだ」


「神屋大臣!?」



肩にソラが乗っているのに、つい身を乗り出してしまった。その拍子にしっぽで頭をぺしっと叩かれる。



あの人に直談判なんて……先生、どれだけ本気なんだよ……。


でも、表情は暗い。


青いネクタイを無意識に触れているのが、落ち着かない心境を物語っていた。



「まさか……断られたと?」


「断られただけならかわいいものさ。火事に関する調査は一切禁止されたよ。個人でも、組合を通しても、だめだって」



魔法大臣の神屋かみやあらた


二十代後半の頃に、魔導士協同組合を立ち上げた伝説の人だ。実績だけ見れば、確かに“魔導士界の神様”って呼ばれるのも頷ける。


この人に言われてしまったら、魔導士とその関係者はどうしようもなくなってしまう。


というか、なぜ大臣はそこまでして、あの火事の調査を拒んだのだろう?


視線を机の隅に落とす。


……肖像画や写真で見ただけの人間の考えなんて、見当もつかない。


黒髪を無意識に掻きむしりながら、頭の中を整理しようとする。



「さすがに納得がいかなくて理由を尋ねたら、『実験の失敗による爆発で起きた火災の可能性が高いと、消防士が言っていたため、これ以上捜査をする意味がない』と」



……実験の失敗、ね。

本当にそれだけなら、ここまで隠す必要があるのか?


玲さんに圧力をかけるのはやり過ぎな気がしてならない。



「つまり、先生自身は動けないから、組合員ではない俺に火事の原因調査を依頼したいってことですね」



春日井先生が調査していることにならないし、組合員に依頼しているわけでもないから、大臣からの命令を破っていることにはならない。そういうことだろう。



「ここまでする必要があるかと聞かれると困るけど。魔法に関わる人間が狙われるような事態になったら、わたしはとても悲しい。だからこそ、なんとしてでも解明したいんだ」


「わかりました。この依頼、秘密裏に進めさせていただきます」



そう言うと、先生は深く息を吐き、安堵したような微笑みを見せてくれた。


大臣に言われたことがよっぽど堪えていたんだろうな。



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