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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
3章 面倒事

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第26話 それぞれの目的


でも、俺は今日、彼女に付き添えない。だから、どうしても代わりの人間が必要だ。


変態を置いていくのは気が引けるけど……この子には、諦めてもらうしかない。



二人に声をかけたのはほかでもない。俺が春日井先生と面会している間、お嬢ちゃんの私物の買い出しに付き合ってほしいから。


組合勤めの人間は基本忙しく、私用の電話ではなかなか繋がらない。

なので仕方なく、依頼料を払って確実に呼び出せる組合に直電するしかなかった。


自分の分身でも出せたら、金なんか使わなかったのに。

金の力で友人を動かしたみたいで、ちょっと嫌な気分だった。



「……で。本題に入るけど、今日頼みたいことがあって」



若干荒々しい語気になったが、全部那智が悪い。



「この子、私物がまったくない状態でさ。俺が用事でいない間、二人には買い物に付き合ってほしくてね。とりあえず、いくらか渡しておくから、服とか小物とか選んであげて」


「利他さん……一緒じゃないんですか?」



お嬢ちゃんは困ったように、八の字眉になる。


その、子犬のような目で見ないでほしい。心が痛い。


どう見てもやばそうな人間と一緒にいたくない気持ちは分かる。

しかし、こればかりは仕方ない。



「ごめんね。ちょうど用が重なってて」


「組合員としては俺たちが先輩なんだから、任せとけって。なんなら夜まで帰ってこなくていいぞ」



「頼む、陽菜。この子からあまり離れないであげて」



彼女が頷いたのを見て、少し安心した。



「お嬢ちゃん、何かあったら本部に告げ口していいからな」と、言って三人を見送る。



友人たちの背中を見送ってからもしばらく動けなかった。


変なことにならなければいいけど……そんな不安を、ソラがしっぽで軽く払ってくれる。



「考えすぎだよ」


「……そうかもしれないけどさ」



まあ、何かあったら、陽菜が氷漬けにしてくれるだろ。


雲が薄く空にかかっているけど、風が少しあるから、午後からは晴れるかもしれない。


ソラが頭にしがみついた状態で、校長先生が待つ学校へ向かった。




***




ミカヅチ駅から徒歩十五分ほど。

目的地である八意やごころ魔術高等学校に到着した。


美しく整備された敷地が印象的で、中央には広場があり、噴水が爽やかな雰囲気を演出している。本当に金のかかった学校だ。


どこを見てもピカピカで、まるで誰かが常に磨いてるんじゃないかと思うくらい。


時計塔なんて、妙に立派で……なんというか、ちょっとした権威の象徴って感じ。



その学校には、劣化しないという七不思議があるらしい。


「本当か?」と言いたくなる。

まあたしかに、補修工事を見たことがないのに、いつも綺麗だ。





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