第24話 二人の友人
首都ミカヅチは雷の神、建御雷神が祀られていて、その加護のおかげで雷や地震の被害がない。
そんな街の中心にあるミカヅチ駅は、まるで美術館のようだ。
天井には、有名な画家が描いた天国の風景が広がっている。ほかにも、月替わりに工芸品や絵画が壁に沿って展示される。
俺にはちょっと眩しすぎる気もするけど、こういう空間を見ていると、不思議と落ち着く。
組合に勤務していたときは、一人でそれを見に行ったりしていた。
駅利用者の群衆に飲まれ揉まれ、出口がどこにあるのか見失いかけて、危うく迷子になるところだった。
これはもう、恒例行事みたいなものだけど……不愉快だ。
白猫は頭の上にしっかりしがみついていたので、俺よりは楽だっただろう。
傘に乗って飛んできたらよかったかな……。
まあ、それだとお嬢ちゃんの髪が崩れてかわいそうか。
「もう疲れた……」
「……すごい人ですね。これじゃ迷子になりそうです」
交差点の賑やかな街の様子は、都会の活気を感じさせる。
大勢の人々が四方八方から歩道を行き交い、足早に目的地へ向かっているようだ。
建物が立ち並び、大きな広告や看板が目を引く。
誰かが奏でる音楽や、人々の話し声が混ざり合い、街全体が生き生きと動いている。
駅を離れて少し進み、建御雷神の銅像の前に立った。雷の神――その銅像は空に拳を突き上げていて、信仰の象徴として誇らしげだ。
そこでぼけーっと突っ立っている中、道行く男性たちが、隣の彼女をちらと見ては去っていく様子を観察していた。
ハーフ男の横に美少女が立っていたら、それはもう目を引くだろう。
当人がまったく興味なさそうなのもすごくいい。
いくらか待つと、二人の男女が現れた。
「よーっす。ユウナ、なんかあった?」
「わざわざ依頼してくるなんて。電話に出た花房さん、すっごく心配してたんだけど」
肩の上のソラにも「こんにちは」と声をかけ、握手までしていた。
声をかけられた瞬間、懐かしさと少しの気まずさが胸をよぎった。
今さら気取る関係でもないけど。
「あー、依頼内容伝えてないからかも」
花房さんには申し訳ないことしたな。
「お嬢ちゃん。こちら“光癒の魔導士”の光峰那智と、“氷原の魔導士”の日向陽菜。俺が組合員だったとき、一緒に組んでいた友人ね」
組合は制服とかはないけど、左腕に必ず腕章をつけなくてはならない。
二人は動きやすい服装に、ミカヅチ本部の腕章をはめている状態だ。
「はじめまして、霜月優香です」
漆黒の目をきらきらさせて彼女を見つめる陽菜。口元がにやりと緩んでいる。
「えー! かわいい! ユウナ、この子どうしたの?」
「ちょっとね。事情があって、しばらくうちで面倒を見ることになってる」




