↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
3章 面倒事

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
60/282

第21話 お出かけ前の準備


一旦台所を離れ、廊下に置いてある黒い電話の受話器を持った。


壁掛けできるちょうどいい場所がなかったから、置型の電話機を想像し、魔法で作った自信作だ。どこの富豪の家にもないだろう。


作った当時のことを思い出しつつ、ダイヤルに指を入れて回した。



『――はい、魔導士協同組合ミカヅチ本部です。どうされましたか?』



この、しゃがれた声は花房さんだろうか。



「おはようございます、利他です」



組合に入ったばかりの頃、事務作業を教えてくれた恩人だ。現場仕事より先に事務を学ぶ組合のやり方のおかげで、今はこうして独り立ちできている。


いつかちゃんとお礼をしなきゃな。



「実は今日、光峰みつみね日向ひむかいに依頼したいんですけど……」




***




朝食を食べ終え、玄関のすぐ右手にある空き部屋に入る。そこには、橘屋で購入した、着物一式が用意してある。


お嬢ちゃんの顔に、そっと手を伸ばした。


昨日慌てて召喚した化粧道具を取り出し、化粧を始める。

大きな瞳がまっすぐこちらを見つめてくるのが、なんだか気恥ずかしい。


視線を意識するほどに指先が落ち着かなくなり、呼吸までぎこちなくなる。手が震えないようにと、そっと息を整えた。



眉毛を描いていると、ふいに「あの……」と声をかけられた。

戸惑ったように口を開いたり閉じたりしている。その声は、ためらいと覚悟がい交ぜになっていた。



「失礼な質問かもしれませんけど、利他さんのご両親って……」


「ああ。昨日会ってもらった人たちは、義理の両親だよ」



柑奈ねえさまとも、梅ちゃんとも血は繋がっていない。


両親どちらかが国外の人間だと聞いていたのに、会ってみたら全員こっちの国の人たちだったから、思惑が外れて混乱したのだろう。



「俺の親はちょっとわけありでね。幼少期に橘家に預けられたんだ」



それでもなかなか楽しい日々を過ごさせてもらっているから……その点では、生みの親に感謝している。

……その点だけは。



「そんな心配そうな顔しないで。今は楽しくやってるから」



申し訳なさそうにしている彼女にそう言うと、少しだけ安心したように頷いた。



次の準備に取りかかる。

後頭部の高い位置で髪をひとつに結び、黒地に銀の刺繍が入ったリボンを結び目に巻く。

さらに、買った着物の椿の柄に合わせて、赤い組紐をぐるぐると巻きつけ、花の形に整えた。これで完成。


この小道具たちも昨日作った。


……あれ、そういえば姿見ってうちにあったっけ?

彼女が着替える前に作っておかないと。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。